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MBCT for Lifeに参加して(前編)〜今ここにある幸せに気づく〜

2021年にMBCT for Lifeコースを終了された、受講者のAさん、Bさんにインタビューさせていただきました。

Aさん:40代女性、医療関係
Bさん:40代女性、教育関係
インタビュアー:井上清子(University of California, San Diego にてMBCT Certified Teacherの資格を取得。Oxford Mindfulness CenterでAlison Yiangou氏に師事)

幸せは内側から湧き上がり広がるものだと気付いた

【井上】
皆さんMBCT for Life8週間のコースを終えられて、受ける前と変化したことや自分自身がどう感じているのか教えてください。

【Aさん】
私がこのプログラム参加したのは、自分が幸せになりたいと思ったのが理由です。幸せは、追いかけるものだとずっと思っていました。自分なりの幸せの理想像があって、それに頑張って近づいていくものだと思っていたのですが、今回のこの8週間のMBCT for Lifeを受講して、幸せは外にあるものではなく、自分の中から湧き上がり、広がっていくものだという感覚になったのが一番の驚きでした。生活の中に幸せがなんとなく側にあると思って過ごせるようになりました。

【井上】
ありがとうございます。もしかすると、幸せを頑張って追いかけるものだと思っていると、ずっと目がそちら側にしか向かないので、幸せをキャッチするのが難しかったのかもしれませんね。生活にものすごい変化があったり、状況が変わったりしたというよりも、今、ここにあるものに気付く力が生まれてきたのだと思います。

それは、凄く大きな財産です。「こうでないと幸せではない」という固定概念に縛られてしまい、自分の思った幸せでなかったり、幸せが手に入らない状態にあったりすると、ずっと心が満たされません。

私自身も、マインドフルネスを通じて、いつもじんわりとここに幸せがあるという感覚があります。もちろん、感じにくくなる時もあります。そういう時も、今すぐに感じられなくても、何かここにあるんだなという感覚があります。マインドフルネスを始める前と比べて、生活の彩りが豊かになりました。

他人をサポートした時に自分が幸せだと感じていることに気付いた

【Bさん】
一番「あ!」と感じたことは、「親切な行動」のワークです。学校で仕事をしているので、いつも、支援やサポートが必要な人を探しています。MBCT for Lifeを受講する前は、支援を受けている相手の気持ちに意識が向いていましたが、MBCT for Lifeを受講してからは、他人をサポートした時の自分の気持ちや自分の状態に意識が向くようになりました。相手のために一生懸命やっている自分の感覚に意識を向けた時に、凄く幸せを感じていることに改めて気がつきました。このコースに参加して良かったなと改めて感じられました。

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ほかにも、長い時間歩いて足の辛さを感じた時に、ハッと空を見上げて綺麗だな、と一瞬で気持ちが切り替わる瞬間を楽しく感じるようになりました。1秒でも2秒でも、5秒でも実際に目の前にあるものに目を向けたときに、前の状態から一変する楽しさをたくさん味わう機会が増えました。

【井上】
有難うございます。このコースを通して、生活の中で、今ここにある豊かさ、幸せ、喜びというのを感じられることに、だんだん皆さんも気が付いていたかもしれません。これは、仲間との学びがあったからこそ気づけたことなのかもしれません。コースを通じて、皆さんの表情が変わってきて、内側から出てくる暖かさと柔らかさを、感じていました。

先ほどの話は、レーズンエクササイズに少し似ているのかもしれません。レーズンの味がしていたとしても、目がほかの方に向いていると、味をキャッチできません。自分の中から沸き起こっている気持ちやつながりに注意が向いていなとキャッチできないからです。

よく、私は瞑想の最後に、目と瞼が触れている感覚、を感じることを言います。目と瞼は、普段でも触れているのですが、その感覚は、目の中にゴミが入ったときや、コンタクトをつけるときくらいしか感じないものだと思います。それが、そこに意識を向けてみると、スポットライトが当たったように、そこで起きている感覚をキャッチできるでしょう。それが、ここにあるものに意識を向けられる力です。

私達の頭の上にある「空」も、昔からあるものですが、目には入っていてもそちらに注意が向かず頭は別のことを考えていると、その空の存在に気づきません。それが、歩いている瞬間に感じられたというのは、目が磨かれたからです。仲間と一緒に色々な角度やつながりの中で学べて、凄く暖かいなと思っています。

「嫌な出来事」が「マインドフルに見つめるチャンス」に

【井上】
Aさんは、同じMBCTのなかでも、MBCT for depression(うつの再発予防のためのプログラム)とMBCT for Life(人生の豊かさを育むプログラム)の2種類を受講してみていかがでしたか。

【Aさん】
ふっと思い出したことがあります。
自分にとって苦手な出来事や嫌な状況に出会った瞬間に「嫌だ」で終わっていたのが、MBCTを学びはじめてから、「これはマインドフルに見つめるチャンスだ」と思うようになりました。いつまで経っても嫌なものは嫌なものにしか見えないときもあれば、毎日見つめ続けて、4日目位に本当は嫌なのではないのではないかと気付き、むしろ「変化が面白い」と思えることが増えました。

今、(井上)清子先生やBさん話で思いだしたのですが、MBCT for Lifeのプログラムを受けているときこういうことがありました。夫の事情で飼うことになった犬の散歩が嫌いで義務的な散歩や時間をもったいなく感じて、苦痛に思うことが多かったんです。それが、MBCT for Lifeを受けている時に、「犬のために散歩をしているのではなく、自分のための時間だと思えばいいんだ」と気づきました。散歩の途中、犬が丘の上で気持ちよさそうに風を浴びながら「ぽわーん」としているのをみて、それまで私は「いつまでやっているんだ」といつも思っていたんですよね。

人生の、複雑でないシンプルな楽しみ方

【Aさん】
ある時、「この時間って、私も寝転がってもよい時間なんだ」と思って、ベンチに寝転んでみたんですよ。空を眺めたら、たまたま青空で、雲がふわっ、と流れていて飛行機雲が突き抜けていって、それが凄く贅沢な時間に感じられたのです。空の変化や風の感覚をじっくりながめて、「ははーん」と思うのが人の最高の娯楽なんだなと。みんな人の世の中でごちゃごちゃ楽しもうとするけれど、一番肝心で大切な娯楽はこういうところにあるんだ、と気付いたのがMBCT for Lifeのプログラムを受けたときです

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【井上】
ありがとうございます。2つのプログラムのベースは同じですが、MBCT for depressionのほうは特に強めの思考、不快感を強く感じるときに、その瞬間何が起きているのか、何がどう見えているのか、ネガティブな思考や落ち込みにどのように対応するのかに重点が置かれています。MBCT for Lifeのほうは、ネガティブだけでなく、ポジティブなことを日々の中で見つけていくことが入っています。

【以下後編へ続く】

2021年8月開講MBCTは以下より

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