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マインドフルネスの実践で、日々の生活に気づきを

当センターでは、ドイツのthe Institute of Mindfulness Based Approaches(IMA)と連携し、2021年4月からMBSR講師養成講座を開催しています。

その1期生として2022年10月に講師資格を取得した叶香代さんにご寄稿いただきました。臨床心理士、公認心理師、 小学校と大学でスクール・カウンセラーとしても勤務されています。ご自身の子育てやお仕事での経験も踏まえ、マインドフルネスの実践を通じて感じたことを書いていただきました。(ご本人プロフィールは文末)。

2月からは、金曜日の夜にMBSR8週間コースを開講予定です。
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以下、叶さんの寄稿です。

ふと我に返る瞬間は、一日にどのくらいあるでしょうか?

皆さんは、一日の中で、「我に返る」時間はどのくらいあるでしょうか。我に返るってどういうことでしょう。叶さんには、こういう体験があるそうです。

私は、目の前にいる人に夢中になってしまったり、起こっている出来事に心を奪われてしまったり、意識がすっかり自分から飛び出してしまうことが良くあります。そうすると、身体が疲れてきていることも感じられずに、夕飯を作る時間になって突然、あ、すごく疲れている、今日は作れないかも知れない。お惣菜を買うしかない。ということに気づくことがあります。

この場合なら、お惣菜を買えれば済む事ですが、運悪くこのタイミングで難しいコミュニケーションに遭遇すると、思わぬ強い口調で言葉が飛び出して、不用意に相手や自分を傷つけることになってしまいます。そこで初めて、疲れてイライラしやすくなっていることに気づくということもあります。

普段、自分が疲れていることにもなかなか気づかず、知らないうちに怒りっぽくなっているということは多くの人が体験しているのではないでしょうか。叶さんもそのような体験をした一人で、そんな中、マインドフルネスがどのようなサポートになっているのか、という問を投げかけます。

では、一体マインドフルネスが、どう私の生活の助けになっているのでしょうか

実は、自分にこういったことが起こっていることに気づいたのは、マインドフルネスの実践を続けるようになってからなのです。それまでは、自分の意識が自分の身体から飛び出して、お出かけしている状態があるという認識さえありませんでした。

どうせなら、疲れてしまう前にそれに気づいて、ほどほどにしたり、せめて強い口調が出る前に、疲れていることに気づくことが出来れば、次に口から出る言葉は変わってくるのに、と思われるかも知れません。

しかし、今私は、強い口調が出てしまってからでも、気付くのに手遅れということは無い、と思えるようになりました。

マインドフルでなかったことに気づくことがマインドフルなのだ」と言う言葉は、講師養成講座で繰り返し学ぶ機会がありました。もちろん早めに気づけば、傷が浅く、フォローも軽くて済むのでそれに越したことはありませんが、気づいた時点からは、マインドフルな対応になります。「あ、疲れてイライラしちゃってごめんね。」と伝えれば、コミュニケーションが負の連鎖反応に陥ることは防げます。

自分の状態を自分で知ることや、自分の状態を相手に伝えることでコミュニケーションは大きく変わるのだと思います。言葉にすると簡単ですが、この自分の状態をリアルタイムで知ることが、ことのほか難しいということもマインドフルネスの実践を重ねることで知りました。このように、マインドフルネスは、私の場合、そもそも自分が人生を生きていること自体に時々気づかせてくれることで、人生の助けになっています。

ここでは、まず気づくことの大切さ、そして、気づきに手遅れはない、ということが述べられています。気づきの力が養われると、まず自分が普段と違う状態にあることがわかります。そして、気づいたときに既に他の人にきつい態度をとってしまったとしても、0か1ではなく、気づいた瞬間からその時のベストの反応を選択(必要であれば、ごめん、と謝る)につながるのだといいます。そうすると、負の連鎖がおこることをそこで止めることが出来ます。私は常に100%完璧に生きられるわけではありませんから、100%を期待すること無く、そのとき時の自分の状態を許しながら、地道にそのときに行うことの出来る判断を積み重ねていくしかありません。気づきはその助けになってくれるでしょう。

実践をすることで、日常の気づきを増やしていく

私は、今は、1日40分くらいは我に返ろうとする時間を持っています。これは、フォーマルな瞑想をしている時間です。瞑想の実践を続けるうちに、日常生活の中でも、ほんの少しずつですが、我に返る、自分とつながろうとする時間が増えてきたように感じます。コタツで座っている状態から、立ち上がろうと姿勢を移行するタイミング、キッチンに向かう足の裏の感覚、散歩中に小枝を踏んだ時から数分の間など、自分とつながろうとすることを思い出せる機会が増えてきました。

そのために、叶さんは毎日40分程度の実践を行い、それにより日常での気付きが少しずつ増えていく体験をされています。

ふと我に返る瞬間は、一年ではどのくらいになるでしょうか?

また、叶さんは、我を忘れることが、人生を生きる、ということにおいて意味することにも言及しています。

私は、自分の、我を忘れて過ごす時間の長さを感じたことで、マインドフルネスの実践の必要性を強く感じるようにもなりました。我を忘れて過ごしているという認識もないまま、我を忘れて過ごしていることの怖さは、ショッピングモールの化粧品コーナーで、これが未来のシミの予備軍ですという自分の肌のシュミレーションを見せられた時の怖さに似ているような気がします。ボーっと生きているうちに、気づいたらそんな肌の状態になっていたら、と思うと怖くなります。それと同じように、我を忘れて目の前の問題解決に追われているうちに、気付いた時には、人生が終わっていたらどうしよう、というような感覚があります。

私は、シーズンズオブラブというレントというミュージカルの曲が好きです。インターネットで歌詞の和訳を見ると、一年は、525600分ある。人生の一年をいったいどうやってはかる?夕焼けの数?笑った数?怒った数?それとも愛はどうだろう?と歌っています。もし、私がマインドフルに過ごそうとした時間で一年をはかるとしたらどうなるでしょうか?フォーマルな練習の時だけしかマインドフルにすごそうとした瞬間がないと仮定すると、1年では、どのくらいになるでしょうか?40分×365日で14600分つまり、243時間です。これを24時間で割ると10.13888…つまり10日です。1年で10日。

1年365日のうち、10日分しか気づきの中にいないとしたら、どうでしょうか。この10日分=実践の時間を、どう日常の生活に広げていくか。日常生活に生きてこそのマインドフルネスの実践という観点から、日常での気付きの事例を次に挙げていただきました。

マインドフルネスからの小さなご褒美

身体や呼吸は、マインドフルネスの瞑想の中でも、日常の気付きのワークでも、よく用いられる実践方法です。それにより、叶さんが感じたことは、嬉しさ、との関係でした。

自分の身体や呼吸とつながって、我に返っていると嬉しいことがあります。一番嬉しいのは、刺激に対する感覚の感度が格段に増すように感じる時です。例えば肩を揉んでもらっている時、自分の身体や呼吸とつながっていると、気持ちの良さは数倍に感じられます。揉んでくれている人の手の大きさ、暖かさ、硬さを感じると同時に、繋がりを感じ、喜びが溢れてきます。そして、少し大げさかも知れませんが、幸せな気持ちと感謝で身体と心がいっぱいに満たされます。

また、レーズンエクセサイズでもお馴染みですが、飲食の時も同様です。コーヒーの味や香り、唇に触れるマグカップの感触など五感から受け取る感覚の刺激が増すように感じます。

私は、こういった、小さなご褒美や大きな喜びをもらいながら、日々マインドフルネスの実践を続けています。もし私が、これから先、日常生活の中でも様々なタイミングでマインドフルに過ごし、快適な感覚だけではなく、不快な感覚や、ニュートラルな感覚にもリアルタイムに気づけるようになってくると、マインドフルネスが、自分の助けになっているということを、より強く実感できるようになるのではないかと感じています。

講師紹介 & 叶さんのMBSR8週間コース

叶さんのMBSRコースは以下にて実施されます。無料のオリエンテーションも行っていますので、ご興味あればご参加ください。(以下をクリックしていただくとコースの詳細へとびます)

また、この2月期は、以下のMBSRコースも開講しています。(日程は開講日、名前のあとはMBSR講師資格以外の関連する分野)
以下()内は開講日
日曜朝(2月5日)8:00-10:30 宮本:MBCT, MBCL, MBPM講師
月曜夜(2月20日)19:45-22:15 江崎:公認心理師、産業カウンセラー
火曜昼(2月21日)9:00-11:30 粟野:企業、コミュニティ
火曜夜(2月7日)19:45-22:15 井上:MBCT, MBCL, MBPM講師
水曜夜(2月7日)19:45-22:15 小保方:精神科医
金曜夜(2月10日)19:45-22:15 叶:臨床心理士、スクールカウンセラー
土曜夜(2月11日)19:45-22:15 家永:作業療法士(精神科)

最後までご覧いただきありがとうございます。一緒にマインドフルネスを深めていきましょう。お気軽にご連絡下さい!