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マインドフルリーダーとは? 世界的リーダーから聞くその真価

マインドフルリーダーシップインスティテュートの木蔵(ぼくら)シャフェ君子です。今日は必見ビデオとその書き起こしのご紹介です!

去る8月29日に日米のマインドフルリーダーを代表する皆様にご登壇いただいた第6回目となるマインドフルリーダーシップ・シンポジウム

パンデミックの最中、私たちの多くがビジネスやライフスタイルで暗中模索の中、どうマインドフルネスが私達を支える可能性を持つのか、ご講演、事例発表をしていただきました。

しかもオンライン実施も手伝って、遂に、リーダーシップ文脈でマインドフルネスの潮流を創った張本人、世界的ベストセラー作家であり、Googleで開発され50か国以上のリーダーに採用されたトレーニングS I Y(サーチ・インサイド・ユアセルフ)の創設者、チャディ・メン・タン氏が、心よく登壇を引き受けてくださったのです!

今の日本の私たちに必要な心のこもったメッセージと、非常に役立つ質疑応答、全てを字幕付きYoutubeビデオ(約40分)と、こちらnote(約1万字)でも書き起こしさせていただきました。


長文ですが、目次をご参考に、ぜひお役に立てていただけますよう。

オープニング瞑想 わずか3呼吸で瞑想の核心に触れる

皆さんこんにちは。今日はこのような機会をありがとう。
もし良ければ、私のお気に入りの瞑想から始めましょう。
とても短い、3呼吸だけのものです。
やり方はこうです。
最初の呼吸で、注意を集めましょう。
専門的に言うと「サマディ」
サマディとは集める、と言う意味です。
あなたの注意を、呼吸のもとに集めます。
そして2番目の呼吸
意識を身体全体に届けます。
これは洞察の実践です。
身体を見つめ、経験を見つめます。
3番目の呼吸で、落ち着きます。
身体が創り出すもの、カヤサンカラとも言いますが、

身体によって造られる全て、緊張やストレスも含め落ち着いていきます。
良さそうでしょ? じゃあ、最初の呼吸をやってみましょう。
注意を集めて、
2番目の呼吸。全身を意識します。
3番目の呼吸で、身体が創り出している状態を鎮めます。
ありがとうございました。
この瞑想はとても短く、とてもパワフルです。
この3呼吸をやると、よりリラックスと活力を
同時に感じることに、気づきましたか?
逆のことのように聞こえますが、その両方の恩恵を
同時に得られます。
そしてこれは非常にパワフルです。
なぜなら、瞑想には3つの重要なことがあり、
その3つ全てをやっているから。
1つは、集中「サマディ」
もう1つは洞察。すなわち現象を観察する叡智。
3つめは静寂。
この3つは全て瞑想で重要で、
3つ全て、この実践で手に入ります。3呼吸で。
じゃあ、もう一度やりましょうか? OK、もう一回。
最初の呼吸。注意を集めます。
2番目の呼吸。全身を感じます。
そして3回目。身体で起こっていることを鎮めます。
ありがとうございました。

これはリーダーの立場にある人にも役立つ実践です。
あなたのマネジャー、CEO、マインドフルリーダーにとって、
これはとても役立ちます。
特にミーティングとミーティングの間に。
1つの会議からもう1つの会議に移る時、
良いリーダーなら、会議に来た人全てに、ベストな自分で接するでしょう。
でも疲れます。多くの会議であらゆることに注意を払うのは。
どうやって全ての人にベストな状態で接するか?
これは重要な実践の一つです。
1つの会議が終わり、次の人が来るまでに10秒あるとします。
10秒で、この3呼吸をするのです。
すると次の人にも、ベストな自分で接することができます。
あなたが常に良いリーダーであることに、皆驚くでしょう。
これはご自宅でもできます。
心と身体の健康に、非常に良いからです。
OK。それでは、私のスピーチに入りましょう。


一触即発の戦場を救ったマインドフルリーダー

あるストーリーから始めたいと思います。
とても優れた若いリーダーの話です。
数年前、米兵がイラクに駐留していた時
状況は緊迫した非常に危険な状態でした。
一触即発でした。
米軍の小隊がイラクの大都市をパトロールしていたとき、
それは起こりました。
怒りに満ちた群衆に取り囲まれ
どんどん近づいてきます。
もしあなたがこの状況にいたら?
重装備の外国軍の小集団が、
怒っているが丸腰の民間人の大群衆に囲まれる。
そしてあなたがアメリカ兵の司令官だったら。
あなたはどうしますか?
勝ち目のない状況のように感じます。
どんな決断でも、多くの人々が死ぬ可能性があります。
決定を下すのに数秒しかありません。
あなたはどうしますか?
幸いなことに、その若いアメリカ軍指揮官は
非常に高いエモーショナルインテリジェンスを
持っていました。
彼は部下に銃を下ろして下に向けて置き、微笑むように命じ、
彼らはそれに従って微笑んだのです。
微笑みを見た群衆は、彼らに向かって進むのを止め
そして群衆は離れていったのです。
その日は誰も血を流さずに済んだのです。
一人の若い指揮官の知恵のおかげで。
これは驚くべきことです。


マインドフルリーダーシップ3つの資質

友人である皆さんにこれを話したのは、
マインドフルリーダーシップの力を示しているからです。
マインドフルネスを培い、
マインドフル・リーダーになるための訓練をするとき、
高められる資質は少なくとも3つあります。
1つ目は、冷静に考える能力です。
大きなストレスの下でも。
2つ目は、感情的な反応を調整する能力です。
3つ目は、共感とコンパッションです。
これらの資質のおかげで、若き司令官は
勝ち目のない状況を、幸いな状況に変えたのです。
これがマインドフル・リーダーシップです。
それほど強力なのです。この例では、
文字通り、それが生死を分けるものでした。


Googleで誕生して13年 S I Yの更なる重要性

大切な友人の君子さんに、この講演を依頼されたとき、
彼女からこう訊かれました・
SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)は
13年たった今も役立つか?
ご存知のように、S I Yはマインドフルネスのコースで、
2007年に私のチームがGoogleで開発し、
マインドフルリーダーシップの開発に非常に役立っています。
私の最初の答えは、もちろん
「S I Yは変わらず重要な意義がある」です。
なぜならば、SIYは、時代を超越した知恵に基づくから。
精神的・感情的な苦しみの原因と、
精神的・感情的な苦しみの解決策に関する、叡智です。
ある古代の聖典の中で、
私達の祖先は苦しみの原因となるものを、列挙しています。
病、老、死
欲しいものが手に入らない、
嫌なものを、受け入れなくてはならない。
皆さん、その苦しみの原因のリストは
2千年も前から変わっていません。
過去13年も変わりません。
苦しみの原因が変わっていないので、
解決策も今も同じなのです。
SIYはその教えに基づいています。
だからこそ、時代を超越しているのです。
今から50年後、私がとても年老いた時、
同じ質問をされても、同じ答えをするでしょう。
しかし、もう少し考えてみると、
それは間違いであると気がつきました。
SIYは13年前と同だけ、今の時代に重要というより、
実は今こそ重要性が増しているのです。
それはなぜか? 若い指揮官の話にもあったように、
マインドフルリーダーシップが最も力を発揮するのは、
最も困難な状況下です。
それは、体力をつけることに少し似ています。
普通、強くなるのは良いことです。
瓶の蓋を開けたりすることができます(笑)。
物を運んだり、強いことは良いことです。
しかし、自分の命が危険にさらされているとき、
または愛する人の命が危険にさらされているときこそ、
あなたの力が本当に発揮されるべきときです。
同じように、ここにいる多くの人が
マインドフル・リーダーシップを実践しているので、
通常の状況下で、それがいかに役立つかご存知でしょう。
しかし、非常に困難な状況な時こそ、
マインドフル・リーダーシップの力が立ち現れます。
困難な状況には、並外れたリーダーが必要です。
困難な状況になったときこそ、私たちが最も必要としているのは、
緊急事態でも冷静に考えることができ、
厄介な感情をコントロールすることができ、
これら全てを、全員への共感と思いやりを持って
行動できるリーダーです。


世界が必要とするマインドフルリーダー=あなた自身

言い換えれば、世界的なパンデミックの中で、
経済、生態系、人々が限界までストレスを感じ、
ファシズムと悪が世界的に台頭している中で、
マインドフル・リーダーシップを実践している皆さんを、
世界は、これまで以上に必要としているのです。
友よ。世界が必要としているのは、あなたたちです。
今こそあなたが輝く時です。
これまで言ったこと全てを、違う言い方で伝えると、
3つの言葉、英語ですが、3語で言えます。
日本語だと違うかもしれませんが。
その3つの言葉とは、
マインド・イズ・チーフ。心こそ主人(あるじ)です。
世界の最大の問題は、人間の心が創り出したもので、
全ての問題を解決する力も、人の心から生まれます。
マインドフルネスとは、心を使いこなす訓練です。
ですから、マインドフルリーダーシップによって、
世界の問題を解決することが可能になるのです。
そして、私の友である皆さんこそが、そうなるのです。
今日の私の話から一つだけ覚えるとしたら、
マインド・イズ・チーフ、心こそが主人(あるじ)である
ということ。
二つのことを覚えられるなら、
マインドフルリーダーとして、 あなたが待ち望んでいた存在とは、
あなた自身である、ということ。


実践を深め、恥ずかしがらず行動し、次のレベルへ

それは、次の質問につながります。
私たちは、何をすれば良いか?
全てのマインドフルリーダーができる
2つの提案をしたいと思います。
この困難な時代においても。
まずは実践を深めることです。
一つ分かったことは、
人生の課題が大きければ大きいほど、
それを克服するために
より深いマインドフルネスが必要です。

例えるなら、ジャグリングを学ぶようなもので、
3つのボールをジャグリングする場合、
それなりのスキルレベルが必要ですが、
突然ボールが4つになると、
より高いスキルレベルが必要になります。
課題が増えれば増えるほど、
より高いレベルの精神力が必要になります。
ですから、友よ
私の最初の提案は、座位の瞑想を行うこと
次のレベルに上がるよう、1日に少なくとも45分です。
ビデオゲームで次のレベルに行くように。
次に皆さんに提案したいのは、
恥ずかしがらずに率先して行動することです。
何かをする必要があるとき、
恥ずかしがらずに行動する。
リーダーが必要とされる場合に、
恥ずかしがらずにリーダーになること。
もちろん、その一部は世界に還元し貢献することです。
私達は皆、マインドフルネスを学ぶ幸運を得ました。
だから、行動するとは、世界にお返しをすることです。
世界が私たちに与えてくれた恩恵に対して。
私たち自身のために、より良い世界を作ることです。
私たちの子供達、さらにその子供たちのためにも。


現実社会での行動なくして実力アップはない

しかしさらには、世界で行動を起こすことそのものが
実践の一部であるということです。
例えば、ボクシングを学んでいるのであれば
ジムで体力をつける必要があり、
攻撃と防御のテクニックを学ぶ必要があります。
それを学んで、次は?
実際にリングに上がって、人と試合をする必要がある。
それがボクサーの本当の練習です。
それはなぜか?
人を相手に試合をしないと
身につかない技術があるからです。
同じように、マインドフル・リーダーシップの実践では、
明らかに瞑想の実践が重要です。
しかし
現実の世界でしか開発できない
マインドフルネスのスキルがあります。
ですから、現実の世界で行動を起こすことも
実践の一部となります。
例えば、
感情の引き金の対処法、集中力と喜びを維持するスキル、
活動の最中でも、
レジリエンス、絶望を克服すること、
人を鼓舞してやる気にさせること、
さらには思いやりを持ちながら人を解雇することなど。
これらのスキルは座っているだけでは得られません。
マインドフルリーダーシップの実践とは、
すなわち、マインドフルネスの実践なのです。
私の友人であるみなさん、覚えておいてください。
マインド・イズ・チーフ。心こそ主人(あるじ)です。
自分の心をマスターすればするほど、
より素晴らしいリーダーになることができます。
そして、もう一つ覚えておいてほしいのは
世界はマインドフルリーダーを必要としている
かつてないほどに。
それはあなたです。
ですから、実践を深め続け、
世に出て行動を起こすことを恥ずかしがらないで。
なぜなら行動自体が、実践となるから。
親愛なる皆さん、ご清聴ありがとうございました。
そしてマインドフルネスで
みんなを導いてくれてありがとう。


質問1:1日45分の瞑想実践を推奨されましたが、これは数回に分割してもいいですか?

短い答えと長い答えがあって、
短い答えは、何回に分割してもOKです。
5分の実践を何回もするとか。
私も、実際とても短い実践をするのが好きです。
1呼吸、3呼吸のように。
短い実践は非常に役立ちます。
それが短い方の答え。
少し長めの答えは、2種類の実践について。
マインドフルネスの実践と、集中の実践があります。
マインドフルネスとは観察。現象を観察すること。
具体的には、身体の観察。五感を通してやってくる。
マインドフルネスは蓄積によるものです。
実践の全ての瞬間が積み重なり、深まります。
もう一つの半分は、集中です。
集中の特徴として、ほとんどの人にとって
心を鎮め集中するのには、時間がかかります。
ある人にとっては10分かかるとしましょう。
その場合、瞑想時間が10分以下だと、
集中に至ることはできません。
15分だけの時は、恩恵があるのは5分だけです。
ですから、私自身は、 両方混ぜるのが好きです。
2回長い瞑想と、多く短い実践を混ぜるのです。
両方のいいとこ取りができます。
ちなみに、私は1日2時間やっています。
単に口で言っているだけでなく、
実践しています。


質問2:メンさんご自身がマインドフルネスや瞑想をやっていて具体的にその効果を感じたエピソードは?

たくさんあります。 (笑)
短い瞬間に感じたという例もありますし、
そこに至るまで長い時間かかったという例もあります。
それぞれ両方のケースをお話しします。
瞬間的なケースは、大抵大勢の前でスピーチをする時。
私が国連でスピーチをしたときのことです。
TEDで話したときのように、とても怖かった。
たくさんの人に見られると思うと、とても緊張しました。
待っている間、脚が震えていました。
マインドフルネスを取り戻す必要がありました。
ステージから落ちないように。
それが瞬間的な一つの例です。
長い時間の例は、
SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)の本の中で書いた話で、
既に読んだ人もいるかもしれません。
会社の友人がいて、私はずっと上の役職でしたが、
この友人は顧客サービスの部署で働いていて
新しいボスがきた途端に解雇されてしまった。
私はとても腹が立ちました。
私は会社でより高い役職にあり、
皆さんも想像できるでしょう。
そいつのオフィスに乗り込んで
ドアを開け、怒鳴って喧嘩を始める勢いでした。
そこで「マインドフルネスの実践だ」と言い聞かせました。
(深呼吸)なぜこの人はそうしたのか?
なぜ私の友人をクビにしたのか?
それ相当の理由があったに違いない。
適当にやってきて、クビにしたわけではないだろう。
そこでまず、彼の理由を理解することにしました。
単に理解するだけでなく、謙虚に学ぼうと、
そして彼が成功するように助け、
その結果私の友人にも役立つように。
私は彼にメールで自己紹介と、何が知りたいか送りました。
状況を伝え、君から学びたいと言いました。
そして彼と会って、お茶を一緒に飲みました。
それから全ての状況は解決したのです。
私たちは友達になりました。
このような状況はよく起こりますよね。
争って敵同士になるか、
マインドフルネスの実践のおかげで、状況を改善し
最終的には敵が友達になる。


質問3:マインドフルネスに関心がない、疑いや抵抗がある、といった人たちにどう勧めたら良いのかアドバイスをください

原則は、常に相手の助けになるかどうかということ。
大体の人がどういう言い方をするか、
それについて私がどう思うかお話しします。
大体の人が自分の目線で伝えます。相手の目線でなく。
でも私は「その人が必要なのは何か」を見つけます。
その人のニーズのために問題解決を手伝います。
その過程で、マインドフルネスの実践を紹介します。
同じ理由で、私がSIYをGoogleで始めたとき、
成功を目的としました。
メンタルヘルスやストレス軽減ではなかったのです。
成功のため、です。
その理由は、Googleの誰もが成功を望んているから。
エモーショナルインテリジェンスを持って、
様々な状況をコントロールしたいと思っていました。
しかしその方法を知らなかった。
そこで、彼らに話して、マインドフルネスのやり方を伝えました。
それで、彼らはマインドフルネスを取り入れたのです。
問題を解決するために。
これが一般的な解決法です。まず彼らのニーズを探り、
手助けしつつマインドフルネスを紹介します。


質問4:マインドフルネスを実践するのに、近親者に対して行うことに難しさを感じます。子供やパートナーなど、なぜ難しいのでしょうか?甘えがあるからでしょうか?

(笑)この質問には2つあって、
1つは近親者に対して、もう1つは子供に対して。
まずは、近親者とマインドフルネスの実践について。
それから、特に子供に対して話しますね。

なぜ難しいかというと、結果に執着するからです。
隣のオフィスにいる、ほとんど知らない人であれば、
彼が実践しようがしまいが、あなたの気分に影響しません。
私が彼に教えて、彼がそれをやったらイェーイとなり、
やらなくても、どうでも良い。
しかし、近しい誰かに対しては「なんでやらないんだ?」
「何が問題なんだ」となります。
結果に対する執着があるからです。
それが苦しみを起こします。
子供についてはさらに厄介で、結果に執着するだけでなく、
成長して、ハッピーで健康で成功してほしいと望みます。
親として、さらに問題なのは、
子供の成功に、親自身が多くを投資しているため
子供が成功したら、自分も成功した気になります。
そのため執着はさらにひどくなり、
そのため、共に実践するのがより難しくなります。
じゃあ、解決法は何か?
まずは執着に気づくことです。
気づくことが解決の半分です。
2つ目は、執着に気づいても、まだ難しければ、
何をどう気にしているか探りましょう。
それから結果に執着しない方法を探りましょう。
特に子供についてはいくつか提案があります。
一般的に 子供に物事を教える唯一の方法は、
2つに集約されます。
手本を示すこと。
ああ、実際は1つだけです。(笑)手本を示すこと。
「○○をしなさい」と決して言わないこと。
やりなさい、というと必ず反抗します。
何度も自分がやって見せるのです。
すると、子供もやります。
私にとってのロールモデルは、ジョン・カバット・ジンという人です。
マインドフルネスを知る皆さんの多くがご存知ですね。
息子のウィル・カバット・ジンはご存知ないでしょう。
彼はもう成人し、非常に優れたマインドフルネス講師です。
彼らによく言うのですが、ウィルの方が父のジョンより講師として優れていると。
ウィルの子供時代、ジョンは特に教えようとしませんでした。
ジョンは自分だけ瞑想を続け、そこにウィルが10秒だけやって来て、去ってしまう。
でもウィルは父親が常にやっているのを見て、最終的には自分でもやるようになり、
今では父よりも良い先生になっています。
以上、結果に執着しないこと。
子供を無条件に愛し、手本を示す。


質問5:社会・世の中にある分断は私たちの心が作り出すものだと思います。だからその解決策も自分自身の心から始まると思うのですが、それでも他の人の心についても配慮する必要があると思います。どのようなアプローチが良いでしょうか?

よろしければ、あるストーリーを話させてください。
数年前のこと、Googleは私についてのドキュメンタリー映画を作っていました。
世に出ることはなかったのですが。
最後まで私は知らなかったんですが、映画の一部で、
映画のチームは世界中の人にインタビューしました。
私によって人生が変わった、と言う人たちです。
制作の終盤になって、チームからそのことを聞いて、
私は「OK、知らせてくれてありがとう」と言いました。
すると彼らは「これはスペシャルだから見た方がいい」と見せてくれたのです。
それはエジプトの若者でした。
オマーと言う名前でした。
オマーはエジプトで育ち、ユダヤ人を憎んでいました。
彼は私の本を読んだとき、17歳でした。
サーチ・インサイド・ユアセルフを読み、彼の心は変わったのです。
ユダヤ人も生きる権利がある、と決めたのです。
それは大きな変化でした。
私はとても感動して、彼に尋ねました。
「サーチ・インサイド・ユアセルフのどの部分が、あなたの気持ちを変えたのか?」
彼は「『私と同じ』と言う実習だ」と言いました。
「私と同じ」と言う実習には3つのパーツがあって、
他者を思いながら、その人は同じ人間である、と考えます。
私と同じように。
私と同じように、幸せを願っている、と考えます。
そして私と同じように、苦しみから解放されたいと望んでいる。
彼はこの実践をユダヤ人を思いながら行いました。
そして気づいたのです。その人たちも人間であると。
私と同じように。
そのように気持ちが変化したと。
簡単ではない実践ですが、非常に良いものだと思っています。
まずは「私と同じ」をやって、さらに、 それを越えて、苦しみに気づくこと、
人々がどれほど苦しんでいるか知ること。
人の苦しみに気づくと、
あなたの中の「助けたい」という部分にも気づくかもしれない。
行動に起こさずとも、苦しみが終わってほしいと願う。
もしそれを感じたら、それを育みましょう。
それがコンパッション と呼ばれるものです。
そしてこのプロセスも簡単ではないでしょう。
でも、これこそが分断をなくすプロセスです。

最後の質問:メンさんからいただいたメッセージで、特に私たち一人一人が実際に行動を起こすことで、リーダーシップが培われることが心に残りました。それこそが日本に必要なことだと思います。そのように行動を起こす時、恐れ、心配、ためらいを克服するにはどうしたらいいでしょうか?

私の恐れについて話しましょう。
多分全ての人に共通すると思うので。
その恐れとは、「苦しみへの恐れ」です。
私が行動を起こして、目立ったら、人々は私を見て揶揄するかもしれない。
私を変わっている、あるいは敵だと思われるかもしれない。
ふりをしているだけと思われるかもしれない。
それらは全て私に起こる苦しみで、私はその苦しみを感じます。
さらに加えて、私は失敗するかもしれない。
私のキャリアは終わった、軽蔑される。
それが苦しみです。
自分の全ての苦しみには、1つ共通点があると悟りました。
それは苦しみを恐れること、です。
ですから、苦しみが減れば、人生における恐れも減り、
より勇敢になれる。
私にとってのブレークスルーは、
慈悲の瞑想の実践を初めてやったときでした。
これもサーチ・インサイド・ユアセルフに書いたと思います
「トンレン」と言う瞑想で、
恐ろしい苦しみを吸い込んで、光を吐き出す。
初めてやった時、それは私に大きな影響を与えました。
苦しみを吸い込むことが怖い、と気づいたからです。
やる続けるうちに怖くなくなり、私の自信は永続的に高まったのです。
わずか10分で、自信が永遠に高まりました。
それで、私の問題は苦しみへの恐怖であると悟りました。
またこれも克服しづらいことです。
ここでも第一の解決法は「気づくこと」です。
問題がどこにあるか。
問題は、苦しみへの恐怖にあります。

2番目のパートも、さらにアウェアネス(気づき)です。
自分をその状況に置いてみて、人から罵られ、恐れでいっぱいの状態。
その状況を思い浮かべ、身体に何を感じるか?
苦しみと、苦しみへの恐怖
これら全てを観察しながら、徐々にそれを克服していきます。
それから自信が高まる。
難しいのはわかります。
そこで最後のアドバイス、これは私もやっていることで、
皆さんにも役立つと思うのですが、
少しだけ、コンフォートゾーンを超えよう、ということです。
コンフォートゾーンから離れすぎると、硬直して何もできなくなります。
コンフォートゾーンの中だけだと、成長しません。
少しだけ超えると、成長できるのです。
そして今まで話した気づきの力など、発揮できます。
例えると、ダンベルで鍛えるとき、重すぎると筋肉は成長せず、
軽すぎても筋肉は成長しません。
ちょうどの重さで、負荷は感じても、持ち上げられる。
すると筋肉は成長します。
それがコンフォートゾーンを少しだけ超えることです。

皆さん、この機会をいただきありがとうございました。
私がお伝えしたことが役立つものでありますよう。
そして私の髪を気にしないでいただきたい。
カリフォルニアの自粛規制で
3月から髪を切っていないので。(笑)

以上


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