見出し画像

【経済本100冊】Vol.73:『精神論ぬきの電力入門』(著:澤昭裕)のあらすじ


こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、澤昭裕さんの『精神論ぬきの電力入門』です。

画像1


基本情報

タイトル:精神論ぬきの電力入門
著者名:澤昭裕
初版発行年月:2012年8月
ページ数(大体):約200pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

抽象的な理想論では無く、現実的に電力エネルギーはどうすべきかと言うことを説く本。

全体の感想

エネルギー問題は政治性の強い、中々一筋縄では行かない難しい問題ですが、本書ではエネルギー源を多様化することで、リスクヘッジをするべきだと説いています。その上で、それぞれのエネルギーの長所・短所をきちんと理解した方がいいと言うことで、各エネルギーの特徴が解説されています。

特に個人的に面白いと思ったのは、石炭火力が現代でも極めて有効であると言う点でした。石炭と言うと寂れて使われなくなった古いエネルギーと言うイメージでしたが、海外からの輸入した石炭を今も火力発電として用いられており、しかも日本の石炭火力の環境技術が世界最高水準にあると言う所にも、何だか日本の持つエネルギー事業の強みを知れて、少し誇らしい気持ちになりました。資源に乏しい国といたずらに嘆くよりも、日本の持つエネルギー関連技術の強みに着目すれば、まだまだ色々な工夫ができるのでは無いかなと思いました。


大和の学びポイント

< 学びポイントまとめ >


★原子力・LNGに次いで石炭火力が日本を支える
★石炭は国際的に広く普及しているエネルギー源
★日本の石炭火力の環境技術は世界トップレベル
★石油火力はバックアップ電源として優秀
★日本では再生可能エネルギーの設置可能場所が狭い
★再生可能エネルギーの買取コストはユーザーに転嫁される
★新しい固定価格買取制度は無競争の極み
★スペインやドイツでは固定価格買取制度で電気料金が急上昇
★固定価格買取制度は逆進性が強い
★固定価格買取制度では技術革新が起こらない
★固定価格買取制度は早く参入した者勝ちの制度


< 各詳細 >


★原子力・LNGに次いで石炭火力が日本を支える
・・・原子力・LNGと並び、日本の発電量を支えているのが石炭火力である。2010年時点で、発電量の24%を占めていた。現在日本では、国内で使用されるほとんどの石炭を輸入している。供給は安定していて比較的低価格でもある為、LNGと並んで評価が高い燃料である。かつて日本のエネルギーのメインは石炭だったが、1970年代に価格の安い石油に取って代わられ、各地の炭鉱は急速に寂れて行った。しかし90年代に安い海外炭が入って来た頃から再び注目され始め、北海道電力、中国電力、沖縄電力、北陸電力等の電力会社においては、今でも石炭が火力発電の主力となっている


★石炭は国際的に広く普及しているエネルギー源
・・・石炭は国際的に見ても先進国から途上国まで広く普及している環境大国のイメージが強いドイツやデンマークでも、石炭が電力の50%近くを供給している。太陽光や風力等、高価で不安定な再生可能エネルギーを積極的に導入できるのも、安価で安定供給が可能な石炭が基幹電源として支えていると言う事情があるのである。現在ベストミックスの議論になると、LNGの有効性ばかりが語られるが、エネルギー源の多様性を考えれば、一つのエネルギーに偏重するのは危険で、バランスを取る意味では石炭火力の有効性にもっと目を向けるべきではないか。

★日本の石炭火力の環境技術は世界トップレベル
・・・エネルギーとしての石炭の最大の弱点は環境性である。大気汚染の問題に加え、二酸化炭素の排出量が高い為、地球温暖化の観点からは敬遠されがちだった。しかし現在の日本の石炭火力は、世界最高水準の環境性能を誇っている。日本の石炭火力発電所が大都市と近接できるのも、排煙中の硫黄酸化物、窒素酸化物、煤塵等の大気汚染物質を、周辺環境に全く影響が無いレベルまで除去する技術があるからである。日本はこうした「クリーンコール技術」を世界に先駆けて開発しており、そのレベルの高さは外国の石炭火力と比べても卓越しているのである。


★石油火力はバックアップ電源として優秀
・・・石油はエネルギーとしては発電効率が高く、大量貯蔵が可能なので、予備電源やピーク電源として優れている。日本国内には備蓄施設が大量に整備されており、その国家備蓄は約116日分、民間備蓄と合わせれば200日分にもなる。石油は全量が輸入停止になっても半年以上は保つのに対し、石炭は約1ヵ月分程度、LNGは2~3週間分しか備蓄が無いので、その備蓄量は際立っている。また、ガソリン・灯油等、様々な用途に使えるのも便利である。但し裏を返せば、石油火力は緊急時に力を発揮するのであり、通常時はその値段の高さ故に、できれば発電を控えたい電源である

★日本では再生可能エネルギーの設置可能場所が狭い
・・・エネルギー上、日本特有の問題は、国土が狭く山間部が多い為に、再生可能エネルギーの設備を設置できる場所が限られていることである。再生可能エネルギーは自然環境や地理的な条件に左右されるので、施設を建てれば電力が増えると言う単純な図式では無いのである。例えば日本の国土と風況図を照らし合わせても、風力発電に適した場所は北海道、東北、九州南端と言った一部の地域に集中し、他の地域では厳しいと言う現実がある。また、低周波や騒音、景観破壊と言った問題もあり、市街地から一定距離離れ、自然環境を壊さない場所を選ぶ必要があるので、設置できる場所は更に限られて来るのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

↓↓↓その他の経済関連の書評は下記リンク先をご参照下さい↓↓↓
【経済本書評】超ネタバレ!経済本100冊読破&書評まとめ


ここから先は

1,667字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?