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【経済本100冊】Vol.45:『クルマは家電量販店で買え!』(著:吉本佳生)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、吉本佳生さんの『クルマは家電量販店で買え!』です。

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基本情報

タイトル:クルマは家電量販店で買え!
著者名:吉本佳生
初版発行年月:2008年11月
ページ数(大体):約280pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

『スタバではグランデを買え!』の続編。身近な経済的問題を取引コストの観点から、より深く突っ込んで解説してくれています。


全体の感想

吉本さんの『スタバではグランデを買え!』は、非常に内容が濃厚で、且つ分かりやすくて面白かったですが、続編である本書は、より社会的な問題に鋭く突っ込んだものとなっており、著者の見解や提言がより前面に出ています。なので、社会をどうしたらいいか考えている人には、様々なケース・スタディが詰まってますので、正に痒い所に手が届く本となってます。但し著者の意見が前面に出ている程、アンチも発生しやすいんですけどね(笑)

前作は「取引コスト」にウェイトを置いて書かれてましたが、こちらの本では「取引コスト」は勿論、より「裁定」の方にウェイトを置いて書かれた本とのことです(あとがきより)。実は、金融の世界を分析する為に使われる考え方を応用したものとのことですが、一つの理論をきちんと腑に落とすと、ここまで応用が利くものなのかと驚きました。

ここでは取り上げてないですが、大学の授業料問題や、二酸化炭素排出権取引の問題等も取り上げており、問題の構造を経済の考えで解き明かしてくれています。逆に、経済の目線で見ると、一見複雑に見える問題の構造も、本質からシンプルに捉え直すことができることが分かり、政治とか社会的問題は経済を抜きにして語れないなとしみじみ感じました。

難易度的には、前作よりもやや難しくなってますが、全体的には経済の基礎理論のケースバイケースの応用でしか無いので、丁寧に順を追って読んで行けば、経済素人でもきちんと内容を理解できるものになっていて、そこがこのシリーズの良い所だと思います。


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★人気がある程安くなり、人気が無い程高くなる家電製品
★家電量販店で自動車を買う時代が来る
★中国での偽ブランドの横行は、逆に日本の利益を増やしている
★マクドナルドは都会は高く、田舎は安い
★混むからこそ安くて美味しい
★フードマイレージは環境にエコかを測る指標としてはとても怪しい
★タバコ税の本来の目的は、喫煙者に社会的コストを感じてもらうこと
★雨の日に割増料金が設定できれば、タクシーは安定して儲けられる
★日本で、先発薬がジェネリック医薬品よりも高い理由
★外国人労働者は職種・技能別に選別しない方が良い

< 各詳細 >

★人気がある程安くなり、人気が無い程高くなる家電製品
・・・商品の性質によって、人気がある程価格が高くなり、人気が無くなると安くなると言う現象と、逆に人気がある程価格が安くなり、人気が無くなると高くなる現象の、どちらの現象も起こり得る。パソコン等の精密機器や、テレビ等の家電製品は後者の、人気が高い程安くなると言う、一見奇妙に見える価格付けが行われる。これは、人気があって販売数量が大きくなると、生産規模も大きくなって、1台生産するのにかかる平均コストが下がると言う現象が起こるからである。これを「規模の経済性」と呼ぶ。


★家電量販店で自動車を買う時代が来る
・・・ヤマダ電機が大阪難波の大型店舗等で、車の販売を始めている。トヨタ、日産、ホンダ、三菱等の全車種(レクサスを除く)の新車販売をするだけで無く、中古車や輸入車も扱っている。ヤマダ電機のような家電量販店には、ポイントによる実質値引き制度があり、そのポイントが車を買う時に使えるとしたら、大変魅力的である。日本全体では車が売れない状況なのに、ヤマダ電機は自動車販売ビジネスを拡大しそうな感じであり(2008/8/1の日経流通新聞)、将来的には、家電量販店で複数メーカーの車を比較検討しながら値引き交渉をして買い、その時にカーナビ等の装備も色々なメーカーと比較して買うと言った時代が来るかも知れない


★中国での偽ブランドの横行は、逆に日本の利益を増やしている
・・・中国での日本の偽ブランド品の横行がよく問題視されるが、実は日本のブランドの利益を増やしている側面がある。銀座のデパートでは、日本人よりも中国人客が多くブランド品を買い漁っていたりするが、彼らは中国のブランドショップを疑っているので、正真正銘のブランド品を確実に入手する為に、日本に来て買い物をして、銀座のデパートのレシートをその証拠とするのである。勿論、安い偽物を求める日本人が、中国で偽ブランド品を買うかも知れないが、そもそもそんなお客は最初からブランド品を買う可能性が低いので、差し引きで考えれば、中国人富裕層が日本でブランド品を買ってくれた方が、大きなプラスになっているのである。


★マクドナルドは都会は高く、田舎は安い
・・・2007年の夏に、マクドナルドが地域別価格を導入した。これによって、「都会は高く、田舎は安く」と言う方針が鮮明に表れた。何故そうなるかと言うと、都会のお店の消費者には、所得が高い為に少額の商品の買い物では余り価格を気にしない人が多いので、お店が値上げをしても、余り消費量は減らない。逆に、田舎は低所得で、節約志向の価格に敏感な人が相対的に多く、値上げをすると消費量が大幅に減る為、逆に値下げを選択するのである。このように、価格変化に対する消費者の反応の大きさを、「需要の価格弾力性」と呼び、都会では弾力的では無く、田舎では弾力的なので、それぞれに適した価格差別が行われるのである


★混むからこそ安くて美味しい
・・・ランチタイムでどのお店も込んでいるのを目にして、「みんながもっとバラバラに食事を取ればいいのに」と感じる人は多いだろう。しかし、ランチタイムに多くの人が集中的に昼食を取るからこそ、レストラン等は効率的にランチを提供できて、ランチの価格を安くできるのである。もし、どの時間でも混まずに平均的な混み具合で営業しているとなれば、どの時間でも客席の稼働率が低くなり、メニューを安くできる理由が失われてしまうのである。但し、混雑する時に安くすることが合理的かどうかはケースバイケースで、お店によっては、人気がある商品は高くても売れると言う論理を適用して、混雑時に高くすると言うやり方が有効なこともあるのである


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。


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