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【経済本100冊】Vol.41:『億万長者への道は経済学に書いてある』(著:加谷珪一)のあらすじ


こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、加谷珪一さんの『億万長者への道は経済学に書いてある』です。

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基本情報

タイトル:億万長者への道は経済学に書いてある
著者名:加谷珪一
初版発行年月:2018年12月
ページ数(大体):約220pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい

大和の適当あらすじ

様々な経済学の学説や方程式は、実は株式投資にも有効何だよと言うことを色々教えてくれる本。


全体の感想

加谷珪一さんは優れた投資家としても非常に有名な方ですが、実はマクロな経済学の概念が株式投資に役立っていると言うことを、この本で開陳してくれています。

株価の動きって、一見マクロな経済の動きと関連無くバラバラに動いているように見えたりするものらしいですが、大局で見るとやはりきちんとマクロな経済動向と連動しているんだと言うのは、ちょっとした感動でした。経済学と言うと、現実には役に立たない学問とよく言われたりしますが、その理論をきちんと独自に落とし込んで、極めて現実的な株式投資に活用できている当たり、加谷さんの力量の凄さを感じます。

この本では投資の小賢しいテクには触れられず、ひたすら経済の基礎理論からどのように経済の動向、延いては株価の動向が予測できるかと言う原理原則が丁寧に解説されています。イラスト図解付きで、重要箇所は太字で表記する等、要点がどこなのかビギナーにも分かりやすく工夫されているのが親切設計だなと思います。

余り経済政策自体の良し悪しは述べずに、ひたすらニュートラルに、投資家としてどう判断すべきかを語っていますので、恨み節全開のそこらの経済本と比べると、池上彰さんの本とかテレビ番組みたいに、客観的に先ずどう考えるかと言う思考力を養うことができる良書と言えるでしょう。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★日経平均株価はGDPの動きと一致する
★日本経済は約10カ月単位で景気循環している。
★トヨタとホンダの儲け方の違い
★現地生産型と輸出型企業のお金の回り方の違い
★古典的な貨幣数量説は金融政策を否定している
★物価は貨幣量に比例することを表した、フィッシャーの交換方程式
★貨幣の取引需要・資産需要
★貨幣市場では金利が上昇するとGDPも増加する
★GDP=消費+投資+政府支出
★財政出動とGDPの関係
★開放経済圏では財政出動は無効になってしまう
★金融政策は閉じた経済でも開放経済でも極めて有効
★アメリカは巨大な島国のような経済動向が見られる

< 各詳細 >

★日経平均株価はGDPの動きと一致する
・・・日経平均株価は大抵の期間において、GDPの動きと一致している。これは多少の投資経験のある人程、意外だと思うことである。何故なら、株価と言うのは動く時には経済動向とお構いなしに動くので、経済を勉強しても投資には役に立たないと思っている人が大半だからである。しかし日経平均株価やTOPIXと言う株価指数は結局の所、日本の産業界全体の動きを示したものなので、大きな視点で見れば、株価は大抵の場合、マクロ経済の動向を示す結果となるのである。


★日本経済は約10カ月単位で景気循環している。
・・・これまでの日本経済の動きを見ていると、日本経済は約10カ月程度の期間で上下変動を繰り返していることが分かるそしてこの動きは、基本的に世界経済の動きとぴったり連動している。こうしたマクロ経済の景気循環の動向を知っている人は、株式投資で大失敗をする確率が低くなるので、結果的に市場で生き残る可能性も高くなる。この事実を知った上で投資をするのと、単に株価の動きを見ただけで投資をするのとでは、気持ちの上での安心感が全く異なるのである。


★トヨタとホンダの儲け方の違い
・・・日本は輸出大国であり、製造業が経済のカギを握るが、近年は消費地の近くで製品を製造する「地産地消」が進んでおり、輸出が経済全体に及ぼす影響が低下して来た。例えば自動車の場合、日産の国内生産比率は18%、ホンダの国内生産比率は16%しか無く、日本経済への寄与度が低い。しかし全てのメーカーが生産を海外に移している訳では無く、最大手のトヨタは国内生産体制の維持にこだわって、現在でも45%を国内で生産している。またスバルはほとんどの製品を海外で売っているが、生産の75%は国内となっている


★現地生産型と輸出型企業のお金の回り方の違い
・・・海外市場において、現地生産の場合、販売した企業にしか利益が還元されないが、輸出企業の場合には、下請け会社等へ幅広くお金が行き渡る。輸出型の方が国内に入って来るお金の額が大きく、お金が落ちる範囲も広いので、国内消費への影響は大きくなる。一方、現地生産型は、お金が国内に落ちる範囲が限定的である。最大の違いは設備投資で、現地生産型の設備投資は現地に向かうが、輸出型は国内に向かう。その為、輸出については単にその増減を見るよりも、お金の回り方に着目した方が良いと言える


★古典的な貨幣数量説は金融政策を否定している
・・・物価は貨幣量に比例すると言う理論を「貨幣数量説」と言う。古典的な貨幣数量説では、貨幣は単に取引の仲立ちなので、その量は実体経済に影響を与えず、見かけの物価を変えるに過ぎないとされる。これを「貨幣の中立性」と呼ぶ。しかし貨幣数量説は長期的には成立しやすいが、短期的には貨幣量が経済に影響を与えるので、注意である。日銀の量的緩和は貨幣数量説をベースにしているものの、古典的な貨幣数量説は金融政策を否定しているので、貨幣数量説と他の理論をミックスしていると考えた方がいい。また、経済理論をミックスすることは現代では主流なので、余り○○派と言う分け方にはこだわるべきではないだろう。

★物価は貨幣量に比例することを表した、フィッシャーの交換方程式
・・・貨幣数量説に基づいて、シンプルに物価と貨幣の関係を示したのが、「フィッシャーの交換方程式」である。これは、「M(貨幣量)V(貨幣の流通速度)=P(価格)T(取引量)」で表される。Vは各国毎に固有の数字があり、短期では変化しない。Tの取引量は実質GDPで代替可能である。なので物価水準Pを決めるのは貨幣の量とGDPの2項目、即ち「P=M/T」と言うことになる。そして実質GDPも大きく変わらないと言うことになれば、「P=M」で、貨幣の量が物価水準を決めると言う結論が得られる。よって、フィッシャーの交換方程式によれば、物価は貨幣の量に比例するのである


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