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【経済本100冊】Vol.91:『大恐慌入門』(著:朝倉慶)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、朝倉慶さんの『大恐慌入門』です。

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基本情報

タイトル:大恐慌入門
著者名:朝倉慶
初版発行年月:2008年12月
ページ数(大体):約260pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


大和の適当あらすじ

これから金融市場は大恐慌が起きて大変なことになるから気を付けようぜって言う本。


全体の感想

経済危機を煽る終末論的な本って定期的に出たりしますが、この本もその類です。こう言った本は胡散臭いなぁとは思うのですが、読んでみると、リーマン・ショックに大きな影響を及ぼしたデリバティブ市場とは何かについて詳細に解説してくれているので、そこは非常に勉強になります。特に「CDS」と言うのは日本人には馴染みの無い金融商品ですが、それについての理解が深まります。最後の方は、金融恐慌に備えてどうするべきかと言う対策が書かれてあるのですが、結局投資に無縁な一般人は現金と米を蓄えておこうと言う、非常に凡庸な結論に至っていたのが、今一つ物足りないなぁと思う所ですね。

大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >


★リーマン・ショックの原因はデリバティブ市場の崩壊
★いつパンクするか分からないCDS市場
★CDSに目を付けたヘッジファンド
★複雑化した金融商品を政府が買い取ることは不可能
★リーマン・ショックに関わるヘッジファンド「LTCM」
★日本の投資市場はロボットに振り回されている
★ロボットの限界でLTCMは破綻
★日本の金融市場を決めているのはマネージド・フューチャーズ
★マネージド・フューチャーズの中身はロボット
★トレーディングのロボットを作ったのは数学者・物理学者
★トラッキングエラーを起こしたロボットトレーディング
★大恐慌に備えて現金を持って生活必需品を握りしめよう

< 各詳細 >

★リーマン・ショックの原因はデリバティブ市場の崩壊
・・・リーマン・ショックの混乱の主因は、想定元本が6京円にも上った「デリバティブ(金融派生商品)」市場の崩れである。今専門家と言われる人達は、6京円の10分の1の世界、通常の経済活動であるGDPの世界しか見えない。しかし、今回の経済危機は従来の経済とは全く異なるのである。デリバティブ市場は表からは目に見えない世界であり、その中の「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」は5400兆円、住宅ローン損保証券は700兆円、債務担保証券は300兆円にも上るとされ、その他株式・債権・商品・為替デリバティブや各種証券化商品等が含まれるのである。


★いつパンクするか分からないCDS市場
・・・「CDS」とは、金融商品の元金を保証する保険のようなものである。CDS市場には株式市場や債券市場、為替市場と言った公の市場は無い。相対(あいたい)取引である。それ故、CDSの売り手、即ち保険を引き受けた方は、損害が出たら保証しなければならない訳であるが、この売り手がそれに見合うだけの資金を持っているのかが公開されていないのである。つまりいつパンクするか分からない訳である。このCDS問題が、今回の金融危機を巨大な規模に拡大し、正しく未曽有の危機にまで追いつめている原因と言ってもいいだろう。

★CDSに目を付けたヘッジファンド
・・・CDSとは、債務不履行や倒産の時に備えた「保険」のようなものである。例えば100億円の社債を買っても、その会社が倒産してしまえば0円なので、倒産しても大丈夫なように保険をかける。その保険金の額が相場としてCDS市場で取引されていると言う訳である。従来だと我々の保険の概念は生命保険や損害保険だが、これが金融機関の扱う証券全般、貸出全般に拡大されたと考えれば分かりやすいだろう。本来は銀行同士がリスク分散の為に始めた取引だったが、やがて巨額の運用資産を持つヘッジファンドがこれに目を付け、こぞってこの市場に参入した。企業が倒産しなければ保険料はただ取りなので美味しいビジネスだったのである。


★複雑化した金融商品を政府が買い取ることは不可能
・・・リーマン・ショックを受けて、アメリカ政府は7000億ドル(約68兆円)の公的資金を活用した不良債権の買取策の策定に入った。しかし、作った人間すら分からなくなっている複雑な金融商品を一体買い取ることができるのか?と言う基本的な問題がある。CDO(債務担保証券)に至っては、様々なサブプライムローンを始めとする、数千ものローンが組み込まれており、現在ほとんど算定が不可能な状態になっているのである。複雑過ぎて分からないものに、値段を付けられる訳が無く、適正値段等無いに等しいのである。いくらか分からないものを買える訳は無いのである。


★リーマン・ショックに関わるヘッジファンド「LTCM」
・・・リーマン・ショックの問題は「LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)」に網羅されている。LTCMは、ソロモン・ブラザーズの伝説のトレーダーと言われたジョン・メリウェザーによって創立されたヘッジファンドで、パートナーにはノーベル経済学賞受賞者マイロン・ショールズ、ハーバード大学教授のロバート・マートン、元FRB副議長のデビット・マリンズ等、正にドリームチームだったのである。彼らは投資の世界に物理学や高等数学を導入して市場を定量的に分析して、所謂債権の裁定取引を始めたのである。

★日本の投資市場はロボットに振り回されている
・・・今、ほとんどの日本の投資家は知らないが、先物を使って日本の市場を自由自在に動かしているのは、ロボットトレーディングを使った「マネージド・フューチャーズ」と呼ばれる種類のヘッジファンドである。このマネージド・フューチャーズの取引の85%はロボット取引で、株式市場では「先物に振り回されている」とよく言われるが、その実態は日本人全員がロボットに翻弄されているだけなのである。このようなロボット取引を本格的に初めて行ったのがLTCMなのである。LTCMの人達は、トレーディングをしていた訳では無い。プログラムを作って、ロボットに取引を任せていたのであり、彼らはそれを管理していただけなのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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