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【WEBマーケ本100冊】Vol.28:『なぜ、それは儲かるのか』(著:山口真一)のあらすじ

 こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、WEBマーケ関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破したWEBマーケ関連の本を紹介して行きます。

既にWEBマーケティングに詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、山口真一さんの『なぜ、それは儲かるのか』です。


基本情報

タイトル:なぜ、それは儲かるのか
著者名:山口真一
初版発行年月:2020年7月
ページ数(大体):260pg
難易度所感〈五段階〉:★★★★ ややムズい


 大和の適当あらすじ

 フリーとソーシャルを売りにしているビジネスは今日、覇権を握っているよねと言うことを教えてくれる本。


全体の感想

 著者が大学の教授だけあって、結構学術的な内容だなと言う印象を受けました。マーケティングの用語が色々出ますが、一つ一つ解説してくれてあるので、一応予備知識が無くても読める本になってます。とは言え、濃厚な内容なので、ある程度予備知識はあった方が、読みやすいと思います。

 著者は、今日の情報社会で覇権を握っているビジネスモデルを、4つの特徴の「フリー」「ソーシャル」「価格差別」「データ」の英語頭文字を取って、「FSP-Dモデル」と呼んで、注目しています。所謂フリーミアムはこのFSP-Dモデルに相当します。

 基本的に、ITサービスが最強と言う理論なのですが、ITサービスでは無い会社も、データを利活用してビジネスモデルの根本的な転換を図るべきだと言うことも主張しています。

 それはいいのですが、何でもかんでもIT化・フリー化・データ利活用ありきで、何でもデータから統計を取らないと勝つ為の戦略が立てられない、と言うのがいささか極論かなーと言う印象を受けました。

 勿論、僕のそんな意見を予想してか、著者のこう言う反論も本書にはあります。

 誤解しないでいただきたいのは、「経営者もデータ分析できなければいけない」と言うわけではない。飽くまで、統計的手法の特徴を把握した上で、分析結果を適切に経営に活かすマインドを持つと言うことである。

 それは確かにそう思いますが、散々データ化とIT化を煽りながら、予想される反論に対しては精神論にすり替えられているので、ここが若干弱いかなと思いました。

 情報化社会になっている分、リアルにおける価値も上がっている部分があると思うので、そこの所の事例何かもあるとバランスがいいんじゃないかと、個人的には思います。例えば、「うちは中小企業だけど、大企業には無いリアルな商売の面で、こう言う所が強み・差別化ポイントになっているから、ここを強化して行こう」、と言った発想ですとか。。。もしかすると本書は、大企業向けの本なのかも知れません。

 とは言え、今の世の中のビジネスの大きな流れを把握するには、十分過ぎる程の情報量ですし、無料コンテンツやソーシャルを売りにしているビジネスモデルの肝が理解できると言う点で、良い教材だと思います。また、この本ではマーケティング的な分析を行ってはいますが、ビジネスと言うより産業全体を分析している本だと言う認識を最初に持っておくと、読み進めやすいと思います。


大和の学びポイント

< 学びポイントまとめ >

★フリーミアムとは
★お金の奪い合いから時間の奪い合いの時代へ
★Twitterは誕生から10年間赤字続きだった
★大辞泉のスマホアプリはフリーミアムで失敗
★フリーミアムでは新たな顧客体験を提示しないといけない
★フリーで成功するには差別化が重要
★フリー戦略は熱心なユーザーがいて成り立ち得る
★バイラルマーケティングの成功条件
★ドロップボックスがバイラルマーケティングで成功した事例
★海外マクドナルドのバイラルマーケティングの失敗事例


< 各詳細 > 

★フリーミアムとは
・・・近年、「フリーミアム」のビジネスモデルが流行っている。これは、基本機能は無料で提供し、付加機能には料金を課すビジネスモデルで、「フリー+プレミアム」の意味である。フリーミアムで成功しているサービスに共通するのは、フリー版は機能が限定されてはいるものの、それだけでも十分成立すると言うものである。逆説的なようだが、質の高い無料版を提供して消費者に良い体験をさせることが、収益の増加に繋がっているのである。

★お金の奪い合いから時間の奪い合いの時代へ
・・・情報社会以前は、物が豊富にあるので、予算の範囲内で自由に消費できる時代だったが、情報社会になり、フリーのものが豊富にあることで、使える時間の中で自由に消費できる時代にシフトした。つまり、お金の奪い合いから時間の奪い合いにシフトしたと言うことである。その競争では競争相手は多種多様になる。本のライバルは本とは限らず、時間を消費するチャットや動画サイト、ゲーム等もライバルになって来るのである。

★Twitterは誕生から10年間赤字続きだった
・・・フリーで成功しているようで、実は赤字が続いていたケースの代表例にTwitterが挙げられる。Twitterは無料で全機能を使うことができ、広告収入で稼ぐビジネスモデルである。Twitterは2006年に誕生したサービスだが、実は2016年までの10年間、ずっと赤字続きだった。フリーと高い利便性で大量のユーザーを獲得しても、広告料だけで黒字化を達成するのがいかに大変かがよく分かる。この事例から分かることは、新サービスを展開するには、凡そ5年以上は赤字が続くことを確保しなければならないと言うことである

★大辞泉のスマホアプリはフリーミアムで失敗
・・・フリーミアムは失敗例も数多い。代表例として、小学館のデジタル国語辞典「大辞泉」のスマホ向けアプリが挙げられる。これは2013年5月に発表された最初のバージョンではフリーミアムで、フリーではアプリの利用回数に制限がかかっていた。回数が無くなるとしばらく使えないが、時間が経つと回復すると言う仕様で、有料版では回復が素早かったり、上限撤廃が可能だった。しかし、DL数は伸びたものの、有料ユーザーは0.5%止まりで、1年も経たずに採算が取れずに失敗であることが判明した(現在は買い切り)。

★フリーミアムでは新たな顧客体験を提示しないといけない
・・・フリーミアムは、有料版で新たな価値・体験が得られることを提示できないと、失敗することが多い。大辞泉が失敗したのは、有料版で得られるのが回数制限の突破のみに留まっており、それが故に、デフォルトでは既にサービスに制限がかかっている状態で、撤廃する為にお金を払うと言う印象をユーザーに与えてしまったからである。これがスポティファイだと、無料でも有料でも4000万曲が聴き放題で、有料だとスマホでオンデマンド再生可能、オフライン再生可能等の新たな価値・体験が得られるのである。


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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