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慢性の痛みの軽減に重要なこと、身体の感覚に意識を向ける

慢性の痛みを抱える多くの人にとって、
身体感覚への意識を高めることは、
痛みの軽減に非常に有効です。

えっ、でも身体の感覚に意識を向けたら、
よけいに痛みを感じやすくなるんじゃないの?
そう思われるかもしれません。

ところが、身体感覚に集中することで、
自然のバイオフィードバックが働き、
自己調整が促進されることによって、
自律神経系のバランス、
筋骨格系のバランス、
そして認知の再配分が進むんです。

今回は、身体の感覚に意識を向けることの意義を、
取りあげていきます。


1. 慢性の痛みとその影響

慢性の痛み(chronic pain)は、
痛みが長期間(3~6か月以上)持続する状態を指します。
この痛みは、身体的な不調だけでなく、
精神的なストレスや生活の質の低下を引き起こすことがあります。
慢性の痛みは、痛みが6か月以上続く場合に診断されることが多く、
その原因は様々です。例えば、関節炎、腰痛、神経痛などが挙げられます。
しかし身体的な要因だけでなく、
心理社会的な要因も深く関係している場合が多くあります。

2. 身体感覚とは何か

身体感覚(body awareness)とは、
自分の体の内部状態や動きを感じ取る能力を指します。
これは、呼吸のリズムや心拍数、筋肉の緊張具合、
皮膚の感覚など、身体のさまざまな信号を含みます。
身体感覚への意識を高めることは、
自分の体の状態をより良く理解し、
適切に反応するための重要な手段です。

3. 身体感覚への意識向けが、慢性の痛みの軽減に有効な理由

(1) 自然のバイオフィードバックと自己調整
身体感覚に意識を向けることは、
自然のバイオフィードバックメカニズムを活性化します

バイオフィードバックとは、体の状態をリアルタイムで感じ取り、
その情報をもとに適切な反応を引き出す過程です。
例えば、筋肉が緊張していることに気づいたら、
意識的にその緊張を緩めることができます。
これにより、痛みの原因となる筋肉の緊張やストレスが軽減されます。

(2) 自律神経系のバランス
身体感覚に意識を向けることで、
副交感神経が活性化され、
リラクゼーション反応が引き起こされます。
これにより、ストレスホルモンのレベルが低下し、
心拍数や血圧が安定します。
結果として、自律神経系のバランスが改善され、
慢性の痛みが軽減される
のです。

(3) 筋骨格系のバランス
身体感覚への意識は、
筋肉の緊張を緩和し、
姿勢や動作のバランスを改善します。
これにより、痛みの原因となる筋肉の不均衡が緩和され、
全体的な体の調整が進みます。
例えば、ヨガやピラティスなどのエクササイズは、
特定の筋肉群に注意を向けることで、
筋肉の緊張を緩和し、
筋骨格系のバランスを整える助けになります。

(4) 認知の再配分
身体感覚に意識を向けることで、
痛みに対する過度な注意が軽減され、
他の感覚や思考に注意を向けることができます。
これにより、痛みの主観的な強度が減少し、
全体的なストレスレベルも低下
します。
また、自己認識が向上し、
自分の身体や感情の状態を、
より良く理解できるようになります。

4. 実践例とその効果

(1) マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想
は、
呼吸や身体感覚に意識を向けることで、
自然なリラクゼーション反応を引き起こし、
自律神経系のバランスを改善します。
研究によれば、
マインドフルネス瞑想は慢性痛患者において、
痛みの強度やその影響を軽減する効果があることが
示されています。

(2) ボディスキャン
ボディスキャン
は、
身体の各部位に順番に意識を向けるテクニックです。
これにより、筋肉の緊張を緩和し、
全体的な筋骨格系のバランスを整えることができます。
ボディスキャンを定期的に行うことで、
慢性痛の軽減が期待できます。

(3) ヨガや太極拳
ヨガや太極拳
は、
身体の動きと呼吸に意識を向けることで、
筋骨格系のバランスを改善し、
リラクゼーション反応を促進します。
これらのエクササイズは、
慢性痛の緩和に効果的であると
多くの研究で示されています。

5. 身体感覚への意識向けのデメリットと困難性

前回お伝えしたように、
マインドフルネスにはデメリットもあるように、
身体感覚への意識向けにも、マインドフルネスと同様に、
デメリットも存在します。

また、身体感覚に意識を向けることは、
痛みが増強されるかもしれない怖さが
引き起こされる可能性も考えられ、
困難性が伴うことも考えられます。

こうしたデメリットや困難性への対応方法については、
また次回以降にお伝えします。

まとめ

身体感覚に意識を向けることは、
慢性の痛みの軽減に非常に有効です。

自然のバイオフィードバックメカニズムを活性化し、
自己調整を促進することにより、自律神経系のバランス、
筋骨格系のバランス、認知の再配分が進みます。

これにより、慢性の痛みが軽減され、
全体的な健康状態が改善されます。

身体感覚への意識向けは、
そのデメリットに留意する必要(次回で取り上げる予定)があるものの、
マインドフルネス瞑想、ボディスキャン、
ヨガや太極拳などの実践を通じて、
日常生活に身体感覚への意識を取り入れることをお勧めします。

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