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常磐線の車窓から見た東北地方太平洋沖地震【東北地方太平洋沖地震から11年 災害弱者を守るためには 1/4】

 東北地方太平洋沖地震により、被害にあわれた皆様に、心よりお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に、深くお悔やみを申し上げます。

はじめに

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から11年が経ちました。今回の私の担当では、4回にわたって、災害弱者を災害から守るためにはどうすれば良いか、考えたいと思います。
 みんぼうネットワークは、2022年3月5日(土)に開催された「仙台防災未来フォーラム2022」に出展しました。その際、私は茨城県に住んでいるので、常磐線の特急ひたちで仙台へ向かいましたが、その車窓から見た景色には、東北地方太平洋沖地震の爪痕が、まだ、多く残されていました。今回は、その報告をいたします。乗車日は「2022年3月4日(金)水戸から仙台」と「3月6日(日)仙台から水戸」です。

常磐線沿線の復興状況

常磐線路線図

 常磐線は、正式には日暮里-岩沼間の区間ですが、列車運行上の常磐線は品川-仙台間の区間になります。

富岡駅周辺

常磐線路線図

 常磐線富岡駅は津波により甚大な被害を受けました。

富岡駅周辺の常磐線と津波浸水範囲
東北地方太平洋沖地震後の富岡駅 photolibraryによる

 富岡駅のホームの向こう側に見える施行中の道路、福島県道391号広野小高線は海岸線を通るため、堤防の役割も果たします。

富岡駅の海側に施行中の堤防道路

富岡駅-浪江駅間

常磐線路線図

 東北地方太平洋沖地震により被害を受け、段階的に復旧してきた常磐線は、福島第一原子力発電所の事故による帰還困難区域を含む富岡駅-浪江駅間が最後まで不通になっていましたが、2020年3月14日に、この区間も運行を再開することになり、常磐線は全線が開通することとなりました。

常磐線の全線開通 環境省エコジン2020年4月・5月号vol.76による

 夜ノ森駅-大野駅間の熊川沿いのゲートの看板には「自転車・歩行者通行できません」と書いてあります。

夜ノ森駅-大野駅間 熊川沿いの道のゲート

 常磐線の四ツ倉駅-岩沼駅間は基本的に単線ですが、列車の交換をするため2か所だけ複線となっているところがあります。広野駅-木戸駅間と大野駅-双葉駅間です。しかし、震災後、大野駅-双葉駅間は単線化されました。周辺の帰還困難区域の放射線量が高く、避難指示解除のめどが立たないため、東側の上り線路跡には非常時などに車両などが行き来できるように舗装路を整備しました。複線化の計画は未定です。

常磐線 大野駅-双葉駅間の単線化と帰還困難区域 環境省エコジン2020年4月・5月号vol.76による
単線化された大野駅-双葉駅間の様子

 双葉駅・浪江駅周辺には、空き地・荒地が目立ちます。

双葉駅・浪江駅周辺の様子

駒ケ嶺駅-浜吉田駅間

常磐線路線図

 津波で流された常磐線の駒ケ嶺駅-浜吉田駅間は内陸へ移設されました。新ルートの4割は高架線です。

移設された駒ケ嶺駅-浜吉田駅間と津波浸水範囲

 福島県道・宮城県道38号相馬亘理線は、以前は福島・宮城県境付近から亘理町内にかけて常磐線と並行していました。しかし、東日本大震災後、防災の一環として、福島県道・宮城県道38号相馬亘理線は、内陸移設された常磐線新地駅-山下駅間の旧線路盤を盛り土して、高さ5 ~7mの堤防道路となりました。

常磐線の旧線路盤を盛り土して作られた堤防道路

 山元町にある中浜小学校は2階建てです。海から400mと近いため、1989年の校舎建て替えの際、地域住民の要望により、敷地全体を2mほどかさ上げするなど津波や高潮への事前の防災対策が施されました。3月11日の大津波は2階の天井近くまで達しましたが、児童や教職員、地域住民ら90人は屋上の屋根裏倉庫に避難し、全員無事でした。現在、中浜小学校は震災遺構として保存されています。

震災遺構の中浜小学校

 宮城県内有数のイチゴの産地・山元町では、津波により町内のイチゴ農家は98%が被害を受けました。こうした中、震災の翌年、山元町はイチゴ農家のハウスを集約した、「いちご団地」の整備を始めました。

山元町のいちご団地

最後に

 私は浜通り地方で仕事をしたことがあるので、土地勘があります。今でも思い出すのが、大熊町役場の方が「原発ができる前の浜通りはとても貧困な地域だった。」とおっしゃってたことです。このような、甚大な災害が発生して、本当に悲しく思います。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 来週は「災害弱者を守るためには」どうすれば良いか、考えたいと思います。

参考文献など

朝日新聞.福島)常磐線全線再開は来年3月 JR東が復旧作業公開.2019年3月8日.(参照日2022年9月10日)

河北新報.県道相馬亘理線、山元の全区間開通 かさ上げ復興道路に.2021年3月27日.(参照日2022年9月10日)

環境省 エコジン.Re:ふくしま 福島再生の今、これから.2020年4月・5月号,vol.76.(参照日2022年9月10日)

日本経済新聞.常磐線・浜吉田-相馬間が再開 震災5年9カ月「ついにこの日が」.2016年12月10日.(参照日2022年9月10日)

毎日新聞.東日本大震災9年 JR常磐線 全線運転再開までの9年.2020年3月14日.(参照日2022年9月10日)

宮城県メールマガジン「メルマガ・みやぎ」.あれコレ!みやぎ・・・・山元町「震災遺構中浜小学校」.2021年3月25日.(参照日2022年9月10日)

FNNプライムオンライン 仙台放送.津波で全て流されても・・・名産地として復活 山元町のイチゴ 東日本大震災から11年【宮城発】.2022年3月11日.(参照日2022年9月10日)

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