ロンドンで見た中国現代アート
美術の知識ゼロなのに、大学のオプション授業で「Art History(美術史)」を学ぶことにした私みなぞう。
ロンドンの中心リージェントストリートのすぐ裏にあるギャラリー「sadiecoles」を見学に行った思い出について書いてみる。
SOHOのあたりは大通りから1本入ると全然雰囲気が変わって、現代アートのギャラリーもちらほらあり、授業でも何回か巡った。
ここ最近バンクシーのおかげかイギリス現代アートも注目されている感があるが、イギリス美術というと肖像画・風景画のイメージの方が強い気がする。
が、アートのクラスの先生はYBA(ヤングブリティッシュアーティスト)という現代アーティスト集団の研究をしている方で、現代アートのことも色々教えてくれた。
爽やかな衝撃
さて、さっそく衝撃を受けたのはLuYangのpower of willという作品。
自分の顔を巨大化させたバルーンで、目からレーザービームが出ております。
「中国現代アート?アイウェイウェイさんなら聞いたことあるかも?」というレベルの私への洗礼である。
気持ちは分かるが、まあ落ち着いて。現代アートはコンセプト・メッセージの理解が必須なのよ。
という先生の説明を聞きつつも、、
ひっ!こっちを見てくる。髪の毛もたなびいている。
ちなみに、コンセプトは国籍や性別からの解放、という内容だった。
アニメ・漫画などサブカルチャー、そしてタイの黒魔術からもインスピレーションを受けたという、もはや何を聞いても納得してしまう圧倒的存在。
現代アート理解のスタートラインに立てたような、まだまだなような。
静かなる衝撃
見た目のインパクトがすごすぎたLuYangの作品と真逆の衝撃だったのが、Bees and The Bearableという写真中心の作品。
画像を載せるのはやめておくが、若者の自傷行為や手記(遺書だったのか・・?)などを展示してある。
先ほどのバルーンがまだ「アート作品」に思えるほど、この世の苦渋を集めて掲示しました、という感じ。
言い表すのが本当に難しいが、社会から見放された絶望・不信感・諦観などなど、すごく分かりやすいようで、簡単に分かった気になってはいけない気分。
他にも作品はあったがその中でも印象に残り、じわじわと衝撃を与えてくる作品だった。
空のスーパーで締め
最後は中国の有名現代ポップアーティストXU ZHENのスーパーマーケットで締めくくられた。
本物のスーパーのような空間なのだけど、よく見ると並んでいる商品の中身が空!
「中身の価値など考えもせず、広告に踊らされパッケージだけ見て市場価格で購入している消費者たちよ・・・」ということらしい。
香港にも同じ作品があり、オークションで有名なSotheby'sで売買されたらしくWebページにも載っている。
正直、最後がポップな作品で少し安心した。
ちなみに「中国現代アートを定義してみよう」という授業テーマだったのだけれど、歴史的・政治的な内容もあるので事細かに自分の考えを書くのは自粛しようかと。
ぼんやりまとめてみると、「生きづらさ」みたいなものがコンセプトの根底にあるように感じた。
中国の現代アートというと売買の拠点として語られがちだけれど、アーティストも活動していて、そしてけっこう衝撃的だと知った良い経験であった。
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