見出し画像

「ジュラシックパーク」とビジョンデザイン

こんにちは!みなつきです。

最近、大学院の授業で、今まで自分では作ったことがないような物を作って、美大っぽさを満喫しています。一緒のチームで取り組んでる、美大出身の同級生の人は、行動力と発想力がすごくて刺激になります。とりあえず形にしてみるという体勢を強制的に取らされることが、美大にきて得られる、最大のメリットなのかもしれない。

ところで、いきなり話が脱線しますが、最近、会社でFFS(Five Factor & Strength)という診断を受けさせてもらいました。FFSとは、人間の特性を5つの因子、「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」を比較することによって、その人の先天的な思考・行動特性を表すものとされています。先天的なため、基本的に特性は変化しないとされています。

(最近、本屋で見かける宇宙兄弟の本もFFSについてなので、興味がある人は是非)

診断によると、自分は「弁別性」が高い部類に入るらしく、弁別性の特徴は、「合理的な理由を求める傾向がある」とのことでした。

何が言いたいかというと、先ほど、”美大にくる最大のメリット”というふうに書きましたが、そのあたりが、まさに自分らしいところであり個性なんだなあと。要不要をスパッと切り分けて、必要だったらとことんコミットするという性格だから、こんなふうに考えてますが、他の人は美大に入ってどんなふうに感じているのか、いつか本音を聞いてみたいものです。

さて、早速ですが、今回もクリエイティブリーダーシップ特論についての感想や考えたことです。今回のゲストは、ミミグリデザインの安斎勇樹さん。

安斎さんは東大大学院学際情報学府博士課程で「人と組織の創造性を高めるファシリテーションの方法論」を研究され、ファシリテーションやワークショップのコンサルティングや、組織の創造性の研究・発信を事業とするミミグリデザインを創業されました。(主な仕事として、資生堂のVision 2020の実現に向けたTRUST8を全世界の社員に浸透させるワークショップの実施や、ファシリテーションの方法論をインストールしたものなど)

著書には、「問いのデザイン」や「ワークショップデザイン論」などがあります。

画像2

■IDEOが誇った最強の”問い”

安斎さんは、「ちょっとした問いかけの違いによって、人のポテンシャルが発揮される」ことに興味を持ち、「ワークショップ」の研究をするために東大大学院に進まれました。確かに私も、いわゆる「論点=問い」が良いと、物事がぐんぐん前に進むことを仕事を通して感じています。

授業でも習ったのですが、デザインコンサル会社のIDEOは、プロジェクトにおいて「HMW:How Might We?(私たちはどうすれば、XXできるだろうか?)」という問いを大事にしたと言います。

画像3

これは、"Must"でも”Can"でも"Should"でもなく、"Might"という「”遊び”がある感覚」を作っているところがポイントになっています。特に新しいことをやろうとするとき、ある行動アイデアがでたとしても、理性で考えたら、それを否定することは、比較的簡単にできてしまいます。

それでも、あえて”どうやったらできるか?”と制限を取っ払って考えることで、クリエイティブなアイデアを引き出すもので、IEDOが作った”良質な問い”といえます。

冒頭のイントロでも書きましたが、結局、自分も含めて、ビジネス側の人たちは論理的・理性的に物事を考える癖が染みついているので、こういう”遊び”を持った思考ができないか、できたとしても、それを受け入れる組織風土がない場合がほとんどです。だから、美大卒の人が持っている”とりあえずやってみる”という行動ができないのです。

私がいるリクルートは特にそうだといいますが、過去の結果から”計画”を立てて、それを走りながらゴリゴリ修正して、実現に持っていくという、「延長線的な思考方法」では、クリエイティブなアイデアは日の芽を見ないのかもしれません。

かといって、何の根拠もないアイデアにお金を使ったら、株主から怒られるでしょうし、この辺のバランスが相当難しいというのが現実だと思います。

■良い企画かは、”最初”に決まる

大学時代、世界的ビジネスデザイナーの濱口秀志さんの講義を直接受ける機会がありました。そこで教えていただいたことが、「コンセプト期(=アイデア出しの段階)は、自由度が最大になっているが予算・資源が最小になっている。そこから戦略→意思決定と進み、最後の実行段階は自由度が最小になっている一方で、予算・資源が最大になっている」というインサイト。

濱口さんは、このことに、松下電工時代の2年目の段階で気づき、経営陣のことを「アホちゃうか?」と思っていたそうです(笑)。

「コンセプト」を大事にしてる割に、その時期は論点設定が曖昧でふわっと終わってしまうというのは、今、私がしている営業企画の仕事にも当てはまってるので、ドキっとします。良い企画とは「最初の論点設定(つまり”問い”の設定)が最も大事であり、そのためには、最初の段階で”最後のシーン”まで考慮した全体俯瞰が必要」ということです。

ちょうど週明けから、営業企画のプロジェクトの最初の起案を走らせる予定なので、改めて、この部分を意識してやりたいなと思いました。(これ、今日書いててよかった(笑))

■良い物語には、”良い問い”あり

世界的映画監督の、スティーブン・スピルバーグ は脚本を書くコツとして「ラストシーンから描く」と述べたと言います。例えば、スピルバーグがメガホンをとった、映画史上に燦然と輝く名画「ジュラシックパーク」のラストシーンはこれ。

画像1

T-Rexが、ジュラシックパーク 内の博物館に侵入し、主人公たちを追い詰めるラプトルを蹴散らし、咆哮を上げた、この”記憶に残るシーン”は、「なぜこうなったか?」という問いを生み出し、そのシーンにつなげるためにバックキャスト的な思考を強力に推進する力を持っています。

(ちなみに、このシーンは小学生の時に見ましたが、いまだに脳の中に映像として残ってるぐらい、印象的なシーンでした)

いま、武蔵美の授業で”ビジョンデザイン"という、「ありたい姿」をまず想像して、そこから、次の1歩のアイデアに逆引きでデザインしていく方法論を実践授業で学んでいますが、「ジュラシックパーク」も、この"ビジョンデザイン"で作られているのだと言えます。

物語には人を動かす強力なパワーが秘められていますが、良い物語には、「良いビジョン」があり、そこに人が共感するからこそ、「良い物語」たり得るのです。

「良い企画屋」になるには、「良いストーリーテラー」になるビジョンを持って、今の仕事にバックキャストしていくことが必要なのかもしれません。

では今日はこのへんで。

おおきに、ありがとうございました。

みなつき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?