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【無料】基礎から分かる水産用語<111> 遊漁とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

遊漁とは

 水産物の漁獲のうち、営利目的の活動や調査・研究を除いたもの。釣りや潮干狩りなどが当てはまる。海水浴やサーフィンなどは水産物を漁獲しないため含まれない。

 日本で遊漁をする際は、漁業法や水産資源保護法、各都道府県の遊漁規則などに従う必要がある。漁業権の対象となる漁業の操業を妨害したり、漁場の価値を損なうことがあれば、漁業権の侵害として告訴される場合もある。

 渓流釣りなどが行われる内水面では、都道府県の遊漁規則で河川を管理する漁協に対する遊漁料、遊漁期間などが定められている。また、クロマグロの遊漁では広域漁業調整委員会指示により、30キロ未満の小型魚は採捕禁止、30キロ以上の大型魚は採捕した場合の報告が義務付けられている。

 2022年度水産白書は「漁業と一貫性のある資源管理を目指す中、漁場利用調整に支障のない範囲で水産関連産業の一つ」に位置づけた。講談社刊「最新水産ハンドブック」によると、遊漁需要が多い都市近郊のマダイ資源は漁業者が直接漁獲するより遊漁船業で利用する方が経済面で合理的な場合も多いという。

 日本釣用品工業会は22年の釣り用品の国内出荷金額を前年比3%減の1737億6000万円と見込む。20年以前との比較で高い水準。新型コロナの中、“三密”ではないアクティビティーとして定着したという。

みなと新聞本紙2023年5月2日付の記事を掲載