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【無料】基礎から分かる水産用語<180> 干潟とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


干潟とは

 干潮時に干上がり、満潮時には海面に水没する砂泥質の浅場のこと。水産庁によると、波浪の影響を受けにくい穏やかな海岸や河口部に、海水や河川の流れによって運ばれてきた土砂が蓄積し形成される。国内では9割以上が、潮の満ち引きの差が大きい千葉県以南の本州太平洋側、四国、九州に分布する。

 干潟は水質浄化の機能を持つ。干潟の砂泥に生息する藻類や二枚貝類などは、海に流れる河川水に含まれる大量の栄養塩や有機物を消費する。また、環境省によると、ある干潟では1日の間に海に流入する汚染源の窒素2・4トンのうち、1・3トンが取り除かれているという。

 国内では高度経済成長期に伴う沿岸域の埋め立て工事の進行により、1945年から50年あまりで約4割の干潟が失われた。

 しかし近年、干潟の水質環境を維持する役割の価値が再認識され再現、保護する試みが全国で進む。その一例が人工干潟の造成。岸と潜提との間に清浄な砂を投入し浅場をつくることで、干潟に生息する多様な生物を呼び戻す効果が期待できる。また、アサリやクルマエビなど漁業資源の回復や増殖にもつながる。

 その他、漁業者による保全活動として漂着ごみの回収や、一度に大量の二枚貝を捕食するナルトビエイの駆除などが実施されている。

みなと新聞本紙2024年1月26日付の記事を掲載