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【無料】基礎から分かる水産用語<70> カーボンニュートラルとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

カーボンニュートラルとは

 気候変動問題の主要因である温室効果ガスの排出量を抑えつつ、やむを得ず排出する分は植物の吸収量や除去した量を差し引き、実質的な合計をゼロとする考え方。具体的な取り組みには省エネ化の推進や化石燃料の使用減、植林や森林管理などがある。近年は海洋生態系が作用する炭素の吸収・貯蔵効率の高さが注目を集めており、藻場を活用した技術開発や造成に向けた取り組みなどが広がっている。

 植物が燃える時に排出される二酸化炭素(CO2)の量は、成長過程で光合成により吸収される量と均衡し、大気中の増減に影響しないとする環境用語に由来する。日本では2020年10月、政府が50年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすると宣言。翌21年4月には、30年度までに温室効果ガスの排出量を13年度から46%削減するなど具体的な数値目標を設定し、脱炭素社会の実現に向けた機運を高めている。

 水産庁は21年度水産白書の中で「カーボンニュートラルへの対応」と銘打ち、漁港施設などへの再生可能エネルギーの導入促進や、漁港・漁場利用の効率化で燃油使用量の削減などを推進することを明記。また、海藻類を対象として藻場のCO2固定効果の評価手法の開発に取り組む方針も示しており、水産分野におけるグリーン化の促進が本格化している。

みなと新聞本紙2022年11月25日付の記事を掲載