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【無料】基礎から分かる水産用語<160> サンゴ礁とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


サンゴ礁とは

 クラゲなどと同じ刺胞動物の造礁サンゴや原生生物の有孔虫の遺骸が、長い年月をかけて積み重なり作られた地形。日本では、島の周りを縁取るようにして発達する「裾礁(きょしょう)」タイプが多くみられる。熱帯で濁りのない澄んだ海に形成され、国内では主に沖縄本島や奄美諸島などに多く分布している。

 サンゴ礁は9万3000種以上の動植物の生息場所となり、それらを漁獲する漁場としての機能を持つ。沖縄ではハタ類やタカサゴ類、ブダイ類などサンゴ礁付近を回遊する200~300魚種を対象に、追い込み網漁や素潜り漁が行われている。その他、美しい景観がもたらす観光機能や、津波を防止する天然防波堤としての機能がある。

 しかし近年、高水温でサンゴに栄養分を届ける褐虫藻が失われサンゴの白い骨格が透けて見える「白化現象」や、オニヒトデによるサンゴへの食害が懸念されている。水産庁によると、サンゴが部分的に壊れた状態では、正常形態に比べ付近に生息する魚の個体数は30%に減少。完全に消滅すると個体数は8%と大幅に減り、漁業にも大きな影響を与える。

 対策として、漁業者などに協力を得ながら行うオニヒトデの駆除や、適切な成育環境への移植、日常的にサンゴの生息状態を観察する「リーフチェック」などが実施されている。

みなと新聞本紙2023年10月31日付の記事を掲載