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【無料】基礎から分かる水産用語<49> 定塩とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

定塩とは

 ギンザケやサバといった商材を一定時間、食塩水に漬け込む加工方法。日本は山のようにサケと塩を交互に積み上げ熟成する「山漬け」による加工などを伝統的に行ってきたが、近年は定塩加工が中心とみられる。

 定塩サケ製品の原料には日本がドレスだけで10万トン前後輸入するチリのギンザケの他、北海道や東北各県などが漁獲するシロサケ(秋サケ、チャム)、米国とロシアから輸入するベニサケが主に使われる。講談社刊「最新水産ハンドブック」によると、定塩サケは原料のフィレーを10%から飽和にいたる濃度の食塩水で一昼夜以上、立て塩漬けして製造する。食塩含量は2~6%程度のものが多いという。

 定塩加工を行うメリットとしては、食塩水の濃度の調整による軽塩志向への対応や、部位ごとの身の厚さ・薄さに起因する食塩含有量の差を縮めることなどが期待できる。2022年の新商品では極洋が減塩商品「かるしお銀鮭フィーレあごだし配合」を量販店の水産売り場に提案する。また、アイセン・アジアが発売する現地生産の骨取り定塩ギンザケフィレーの「塩分濃度は軽塩志向などを踏まえ、2%以下に設定した」と同社。

 総務省家計調査(2人以上の世帯)によると、21年の塩サケに対する1世帯当たりの支出額は過去10年平均比1%減の2112円。購入数量は8%減の1359グラムだった。

みなと新聞本紙2022年9月9日付の記事を掲載