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【無料】基礎から分かる水産用語<73> 浜値とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

浜値とは

 生産者が漁獲・収穫した水産物が、港で水揚げされた直後に取引される値段。水産物は量販店や小売店、飲食店といった消費地で販売・提供されるまでに、消費地市場の卸、仲卸などを経て値段が徐々に上がっていくが、浜値とは水揚げされた産地で最初に付く値段のこと。産地を「浜」と呼ぶため。

 浜値はセリなどを通じて決定し、魚種よって異なる他、水揚げした日の取扱量、需給バランス、品質評価などによって変化する。例えば、漁獲が順調で水揚げがまとまり、供給が需要を上回っている場合は値段が下がる。一方、漁場で不漁となったり、しけで出漁回数が減ったりして水揚げが振るわない場合は、需要が高まり、品質がいまひとつでも品薄高の傾向となる。浜値は、消費地市場の卸値や小売値よりも小さい。

 また、水揚げした港から直接、消費地に流通するケースもある。インターネット上で水産物の売買システムを開発するウーオ(広島市、板倉一智社長)は、全国の漁港で水揚げされた鮮魚をスマートフォンで発注できるアプリ「UUUO(ウーオ)」を運営。全国の漁協や仲買人を通じて、各漁港の浜値を量販店のバイヤー向けに表示している。「鳥取や島根をはじめ、鹿児島、石川、宮城など全国100以上の漁港の浜値を見て発注できる仕組みを整えている」と同社担当者。

みなと新聞本紙2022年12月6日付の記事を掲載