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【無料】基礎から分かる水産用語<97> 北極海航路とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

北極海航路とは

 ロシア北西部と極東を北極圏を経由し航行する北回りの航路。欧米が禁輸する中、水産物をアジア市場などへ転送を図る輸送航路として注目を浴びている。バレンツ海産のカニや極東産のスケソウダラを運んだ昨年に続き、今年は2回往復する予定だ。

 同航路は北西部のサンクトペテルブルクやムルマンスクと、極東のペトロパブロフスク・カムチャツキーやボストチヌイを結ぶ。

 ロシアメディアによると、同航路の一部は11月~翌年7月ごろに厚い氷で覆われており、航行には強力な砕氷が必要。ロシア国営原子力企業ロスアトムの子会社「アトムフロート」(ムルマンスク)が原子力砕氷・コンテナ船「セブモルプーチ」を運航させている。

 アトムフロートによると、ムルマンスク漁港からスエズ運河を経由して日本の港までは約1万9000キロで、輸送に37日間かかる。北極海航路を経て輸送すれば約1万キロで、半分の18日間で航行できるという。

 ロシアは同航路の活用拡大を推進する。同航路の2022年における貨物量は3400万トンで、24年には8000万トンとする国家目標を昨年8月に掲げた。30年には1・5億トン、35年には2・2億トンを目指す。ただ、国の補助金が投入されており、収益性が現在の課題だ。

みなと新聞本紙2023年3月10日付の記事を掲載