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【無料】基礎から分かる水産用語<153> ナンキョクオキアミとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


ナンキョクオキアミとは

 南極海に生息するオキアミ目甲殻類。鯨やオットセイ、ペンギンなどの餌として南極の生態系を支える重要な魚種で、魚粉や食用としても利用されている。

 水産研究・教育機構の「令和4年度 国際漁業の現況」によると、体長(額角先端から尾節末端)は50ミリ、体重1グラム以上に達し、寿命は5~7歳とみられる。

 年間漁獲量は約35万~40万トンで推移。主漁場のスコシア海(48海区)における推定資源量は約6260万トンで、南極海全体でも豊富な資源量があると考えられる。直近の漁業国はノルウェー、中国、韓国、ウクライナ、チリの5カ国。国内では日本水産(現ニッスイ)が1974年に民間企業で初めて事業化したが、2012年に漁船を売却。現在、わが国は操業していない。

 各国とも魚粉の製造が大半を占めるが、ウクライナは食用として、船上でボイルした冷凍のむき身を生産している。海郷(佐賀県鳥栖市)の水頭元嘉社長によると、東欧では食用として一般的という。日本では年間1000トン超が食用で利用されているものの、冷凍品をキムチなど食品に混ぜる、エキスをサプリメントに使用するといった用途が大半を占める。

 名古屋港水族館では1992年にナンキョクオキアミの飼育に挑戦し、2000年に世界初の繁殖に成功している。

みなと新聞本紙2023年10月6日付の記事を掲載