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【無料】基礎から分かる水産用語<13> 地方卸売市場とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

地方卸売市場とは

 都道府県知事の認可を受けて開設された市場。農水産物の集荷や分荷、価格形成といった機能を担う。空港に隣接しており輸出に対応できる成田市公設地方卸売市場(千葉県成田市)など「地域の強みや特徴を生かした売買取引を行うことも特徴」(農水省)という。

 地方卸売市場のうち、産地市場は近隣漁港に水揚げされた水産物を取り扱い、消費地市場や近隣の小売店などに仕向ける役割を担う。消費地市場は周辺の産地市場や中央卸売市場などから集荷した水産物を取り扱う。市場開設者は県や市などの自治体をはじめ、民間企業や漁協系統、第三セクターとさまざまだ。

 農水省によると、2019年度末時点では1009の地方卸売市場があり、うち消費地市場は693。水産物のみを扱う市場は産地市場が316、消費地市場が113となっている。

 近年、消費地市場での水産物(生鮮・冷凍・加工品)の取扱数量は減少傾向にある。08~15年度までは年100万トン台で推移していたが、16年度に98万8000トンと100万トンの大台を割り、19年度は87万6000トンだった。同省は「漁獲量の減少が主な要因」だと説明する。

 同省は地方市場について「周辺地域住民への安定した食料供給といった役割が大きい」と説明。公的な取引の場としての役割を期待する。

みなと新聞本紙2022年4月26日付の記事を掲載