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【無料】基礎から分かる水産用語<150> 漁道とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


漁道とは

 河川に設置されているダムや堰(せき)などが水生生物の遡上(そじょう)を遮らないために、ダムなどの施設に水路を付属させたもの。日本ダム協会のホームページ(HP)によると、日本では主にアユやサケを対象とした階段状の「階段式魚道」が多いという。

 魚道が必要な理由として、京都府のHPでは、成長や産卵に伴い、上流へ遡上したい魚がいるため▽本来は上流域で生息する生物や魚などが、台風に伴う洪水で流された場合に元のすみかに戻れるようにするため-と説明している。

 国土交通省北海道開発局によると、国内最大級の魚道は北海道下川町のサンルダムの魚道という。同局旭川開発建設部は「主にサクラマスを対象としている」と話す。魚道の方式は「ダム本体上流域は、ダムを迂回(うかい)して河川まで魚が上れるようにするためのバイパス魚道、ダム本体から下流は階段式魚道を配置している」とする。

 ダムや堰などに設置する魚道とは別に、魚が水路から水田に出入りできるよう、水田と水路をつなぐ「水田魚道」がある。農林水産省は水田魚道の役割として、水田を産卵や成育に利用する淡水魚の保全や水田の汎用(はんよう)化を挙げる。その上で「水田魚道の整備にあたり、農作物を作る際の排水環境や水田の生態系について考慮する必要がある」と話す。

みなと新聞本紙2023年9月26日付の記事を掲載