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【無料】基礎から分かる水産用語<36> 相対取引とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

相対取引とは

 売り手の卸売業者と買い手となる仲買らが、数量や価格について個別に交渉し、販売する方法。入荷量や価格が日々変わるセリ売りと比べ、影響を受けにくい。

 セリ売りは公開性に優れた取引方法の一方、入荷状況などにより日々価格が変動する。相対取引を取り入れることで、価格や供給の安定化を図りやすいメリットがある。卸売業者と仲卸業者や売買参加者が、あらかじめ決めた契約に基づいて取引する場合は予約相対取引という。

 農水省の「卸売市場をめぐる情勢」によると、2019年度の中央卸売市場での取引において、相対取引の割合(金額ベース)は85・4%を占めた。青果、食肉、花きともに8~9割と現在ではメインの取引形態となっている。農水省は「仲卸や売買参加者ら実需者の間で相対による値決めのニーズが高まっている」とみる。一方、相対取引の割合が増えることで、市場本来の需給関係の透明性が見えづらくなるという懸念もある。

 セリや入札、相対など売買取引の方法は開設者がそれぞれ業務規程で定める必要がある。横浜市中央卸売市場では、第三者販売における卸売業者の取引先を明確にするため、事前届け出の「相対取引事業者」を改正卸売市場法を機に新設した。同事業者は卸売業者から卸売を受けられる一方、セリには参加できない。

みなと新聞本紙2022年7月22日付の記事を掲載