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【無料】基礎から分かる水産用語<29> 延縄漁とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

延縄漁とは

 釣り針の付いた多数の縄(枝縄)を1本の長い縄(幹縄)に取り付け、一定の水深に敷設する漁法。マグロやフグ、ブリ類などを漁獲する。

 延縄漁の中核を担うのがマグロ漁だ。農水省の2021年漁業・養殖業生産統計によると、21年の遠洋マグロ延縄の漁獲量は6万2700トン、近海マグロ延縄は3万6900トン、沿岸マグロ延縄は4600トン。その他の延縄は1万7700トンで、延縄全体の漁獲量のうちマグロ漁が85%を占めた。海面漁業漁獲量全体に延縄漁が占める割合は3・8%。

 全国漁業就業者確保育成センターによると、近海マグロ延縄は約19~120トン程度の漁船で操業する。延縄は長いもので150キロ以上、枝縄は2000本以上となる。北西太平洋や南太平洋のミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ソロモン諸島近辺を主漁場に、5~120日程度操業する。

 遠洋マグロ延縄漁は350~500トンの大型船で操業する。長さ200キロの幹縄に枝縄3000本を取り付ける。漁獲したマグロは急速冷凍してマイナス60度の冷凍庫で保管する。1回の航海が400日に及ぶこともある。日本ではミナミマグロと大西洋クロマグロを狙う遠洋マグロ延縄漁業に対し、漁獲可能量(TAC)を個々の漁業者や漁船ごとに割り振る個別割当(IQ)方式を導入している。

みなと新聞本紙2022年6月28日付の記事を掲載