見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<2> 漁業権とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

漁業権とは

 漁業者や漁協、民間が都道府県知事から免許を受け、一定の水面、期間といった条件のもとに特定の漁業を営む権利を取得する制度。共同漁業権、区画漁業権、定置漁業権の3つに分かれる。2020年に施行した改正漁業法では、民間の参入が容易になった。

 漁業権のうち、定置漁業権は大型定置を決まった場所に設置し、魚などを獲る権利。共同漁業権は地元漁業者が共同で漁場を利用し漁業を営む権利で、漁獲魚種や漁法などで5種類に分かれる。区画漁業権は一定の区域で養殖業を営む権利で、養殖法で3種類に分類される。漁業権には存続期間があり、共同漁業権は10年、区画漁業権は5年または10年、定置漁業権は5年ごとに更新する。

 今回の法改正で定置網と区画漁業については、海区漁場計画を策定する際に個人や企業に免許する個別漁業権、漁協などが漁場を一元して管理する団体漁業権のどちらかを行政が設定する(共同漁業は団体漁業権)。

 また、定置網と区画漁業については、従来は漁協に優先していた漁業免許の優先順が廃止され、漁業権者のいない沖合や遊休漁場では、民間の参入が容易になった。既存の漁業者や漁協が漁場を「適切かつ有効」に活用している場合は優先して免許するが、活用状況が改善しない場合は漁業権の取り消し、行使の停止もあり得る。

みなと新聞本紙2022年3月18日付の記事を掲載