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連載小説『aloneークリスマスに咲く花ー』(全16話)

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連載小説『aloneークリスマスに咲く花ー』を集めたマガジンです。 (2021年11月~2022年1月6日連載)
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記事一覧

【新連載】『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅰ.バー・シャンブル(1)

※はじめに  ・本作品はフィクションです。実在の国・宗教・事件等とは一切関係ありません。 …

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅰ.バー・シャンブル(2)

「何をぼさっとしてる! 次のリクエスト曲は、オルダーマン様からの『春の散歩道』だ。さっさ…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅱ.アラン(1)

       Ⅱ アラン  エリカの恋人のアランは、絵描きだ。元々は、この街の商人に雇わ…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅱ.アラン(2)

 その日、つまり2年前のクリスマスから、アランはエリカのアパートに転がり込み、一緒に生活…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅱ.アラン(3)

「何を言っているの? このピアノは、母の最後の形見なの。何度も話したわよね? 他の形見は…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅲ.エリカ(1)

       Ⅲ.エリカ  アランが自分ではない他の誰かを見ていると、エリカは少し前から…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅲ.エリカ(2)

「母さんと父さんが死んだのは、私のせいだ!」  夢の中でエリカが叫ぶと、母親が現れて「あなたのせいじゃないわ」と優しく言葉をかける。しかし、もう一人のエリカが現れて、表情のない顔で冷たくこう言う。 「あんたが5シェール硬貨(※通貨)をねこばばしなければ、パパもママも死ななかったのに。お金がないから、ふたりとも馬を無理して走らせていたのよ」  エリカは、クリスマスの日に、花の好きな両親に花束を贈りたかった。冬に咲く花は稀で、花屋へ行って買おうと考えたが、どうしても手持ちの

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅲ.エリカ(3)

 目を覚ますと、エリカは自分のベッドの上にいた。  側には、ピュシー夫人と、見知らぬ紳士…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅳ.オルダーマン(1)

     Ⅳ.オルダーマン  姿を消したアランを探し回ったエリカは、暫くキッチンで立ち尽…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅳ.オルダーマン(2)

 オルダーマンの視線に、エリカは一瞬どきりとした。  自分のピアノ演奏をこんなにも切望さ…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅳ.オルダーマン(3)

「話を娘に戻しましょう。娘の居所を突き止めた私は、娘と恋人が暮らす家に押しかけようとしま…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅴ.クリスマスの花(1)

      Ⅴ. クリスマスの花  オルダーマンが帰った後、エリカはいつもの様に「バー・…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅴ.クリスマスの花(2)

 その日の午後2時、エリカの部屋に扉をノックする音が三回響いた。  エリカは、オルダーマン…

『aloneークリスマスに咲く花ー』 Ⅴ.クリスマスの花(3)

「あなた、泣いているの? ごめんなさいね、きつく言いすぎてしまったわ。あなたのせいではないのよ。ああ、許してちょうだい」  エリカが顔を覆って泣いていると、やがて夫人がエリカの様子に気が付いて、少し困ったように声を掛ける。さっきまで、夫人は寒くて震えていたはずなのに、不思議と手は柔く温かだった。 「違うんです、違うの……」  エリカは、夫人に叱られたことが泣いている理由ではないと、顔を横に振って答えるが、うまく言葉が続かない。  その時、オルダーマンが杖をつきながらエリ