なんにもない
ペルソナに塗り固められた鏡
映らない影とふわりと浮く肌
口から漏れ出る真っ赤な嘘は
いつのまにか透明になっていた
陽炎のようにゆらめく
花の香り、風の感触、光の眩さ
ゆらめいては消えていく
人の匂い、声の響き、濡羽の髪
なんにもないね
なんでもなくなってしまったね
あんなに僕の心を焼いたのに
あんなに僕を見て泣いたのに
なんにも、ない
僕は君が好きでした
そんな気がしていたの
なんでも、ないよ
なんでもないよ
あっちむいてて
それでも、
僕にはまだ虚しいと思う心がある
まだ君に伝えたかった言葉がある
いつか、いつの日か
そう思う未来も今はまだ
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