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令和6年第三定例会 代表質問・区長答弁

はじめに:施政方針演説・予算編成方針について

令和6年度第3回定例会において、みなと未来会議を代表し、清家区長並びに浦田教育長に質問をさせて頂きます。

清家区長は施政方針演説において、「区政運営の基本方針」としてこのようにも述べられました。

「超少子高齢化、国際競争力の低下、人手不足など、今後日本は厳しい時代を迎え、その波は港区にも押し寄せます。私はこのような社会課題に対し、世界をリードする強い意志を持って、港区から未来への突破口となるべく挑戦をして参ります。」と。

この区政の基本方針を高く評価しております。

また、令和7年度の予算編成方針では、
「未来への投資や先進的取り組みへのチャレンジなど、全国を牽引する自治体像を示した施政方針の実現に向け、各分野の取り組みを加速させます。」と記されました。

港区は、単なる基礎自治体ではなく、1800ある自治体の中で、日本全国を牽引していく先駆的な自治体を目指す明確なビジョンが打ち出されたことを心から歓迎しております。

私たち「みなと未来会議」はまさしく、ここ港区において未来志向の政策の実現を目指そうとする政策集団です。

港区には、世界中の知能、事業者、大使館が集積し、豊かな緑と水辺、歴史的遺産、人情あふれるコミュニティがあります。この港区の圧倒的なポテンシャルをいかし、新しい発想と技術を使って、世界をリードし、「人を大切にする国際都市 港区」をぜひ共に作り上げていきたいと考えています。

そうした未来を実現するため、これから質問に入らせて頂きます。

区職員の人員体制と職場環境の更なる向上について

私はこれまで何度も、区職員の働き方について取り上げてきました。港区の人口は2010年から約10年間で6万人以上増えており、今後も増え続けると予想されています。一方で港区の常勤職員数は10年間で2192人から2213人とほぼ変わっていません。人口の急増に比例して、当然ながら行政需要も急増しています。だからこそ、人口の増大に合わせて、区職員の数を増やすべきとの趣旨で、過去にも質問をさせて頂いております。

 清家区長は、「未来への投資や先進的取り組みへのチャレンジなど、全国を牽引する自治体像を示した施政方針の実現」を掲げる、チャレンジングな区政のあり方を提示しています。そして何よりも、区民と共にすすむことを大切にすると仰っています。

そんな港区を実現するために最も大切な存在が、政策立案・政策執行を担う区役所・区職員の方々だと思います。

多様な区民の声と対話し、これまでの発想に囚われずに課題解決に挑戦するためには、人員体制強化や、区職員が挑戦する意欲を持って、快適に働ける環境作りも極めて重要です。

こうした人員体制の強化や職場環境の更なる向上にどのように取り組んでいくのか、区長の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
ただいまのみなと未来会議を代表してのさいき陽(よう)平(へい)議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初に、区職員の人員体制と職場環境の更なる向上についてのお尋ねです。
 区では、人口の増加に伴い、複雑化・多様化する課題に対し、高い専門性やAIなどの先進的技術により効果的にサービス提供できる業務には、それらを積極的に活用し、政策立案や権限行使、利害調整など、常勤職員が担うべき業務・分野に必要な職員数を配置するよう努めております。
 その結果、指定管理者などの民間活力を積極的に導入する前の平成18年と比較して、人口増加1.5倍に対して、区民サービスの従事者は2.15倍増加し、マンパワーを活用したきめ細やかな対応をしております。
 また、働きやすい職場づくりの取組としては、テレワークや時差勤務の導入、男性育児休業の取得促進など、多様な働き方を推進しており、職場環境の更なる向上に向け、フレックスタイム制の導入に向けた検討も進めております。
 今後、DX組織改革を加速し、業務効率化と、柔軟な働き方を進めていくとともに、常勤職員が担うべき業務には必要な職員数を適宜見直し、職員が働きやすい職場となるよう、職場環境の整備や取組を推進してまいります。


少子化対策及び子育て支援について

少子化対策のチーム作りを

次に、少子化対策、そして子育て支援について伺います。

国は2030年までを少子化による若年人口の減少に歯止めをかける重要な分岐点としています。港区においても出生数が年々減少傾向にあります。

そんな中で、民間団体の「人口戦略会議」が今年4月に発表した報告書では、2050年までの30年間に20〜39歳の女性人口が増える割合が最も大きかったのがここ東京都港区で、7.6%、その割合が増えることが報告されています。

人口減少がより危機的な状況にある地方の自治体は、若年女性を招き入れる戦略をあの手この手で必死に取り組んでいる中で、港区は最も若年女性が流入する自治体であるという現実を私たちは胸に刻む必要があると考えます。

その港区において、全ての人が希望を持てば結婚でき、出産できる環境を整えることは社会的責務ではないでしょうか。

港区政策創造研究所が行った「令和5年度子育てしやすい環境の充実に向けた調査研究」では、港区の理想子ども数が既婚者で2.26人、未婚者で1.96人ということがわかりました。ただ、港区の最新の合計特殊出生率の値は1.23人に留まっています。「産みたいという希望があるのに、その希望を叶えられていない」その現実が、港区にあるのです。

そして、昨年実施された「港区こども・若者・子育て支援に関する実態調査」でも、港区に望む子ども・若者施策を問うたところ、「安心して出産・子育てできる環境作りを進める」が72.5%と最も高く、2位のスコアとダブルスコア近い差をつけておりました。

区民のニーズがそこにあることも明らかです。

そして少子化対策に関わる部署は多岐に渡ります。子育て支援・結婚支援は子ども家庭支援部、住宅政策は街づくり支援部、不妊治療はみなと保健所、教育費の負担軽減は学校教育部など全庁を挙げた取り組みが欠かせません。だからこそ、清家区長は区議時代も、少子化対策のチームを編成し、目標を設定し、PDCAサイクルを回していく体制作りが必要と議会でも提言されておりました。

何度も繰り返しになりますが、今、子どもを持つことを諦めさせてしまったら、それは取り返しがつかないのです。子どもを持つ希望を叶える取り組みは、一分一秒を争って実現に取り組む必要があります。

そこで質問です。少子化対策のチームを編成し、誰もが希望すれば結婚・出産できる環境作りを全力で進めて頂きたいです。区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、少子化対策と子育て支援についてのお尋ねです。
まず、少子化対策のチーム作りについてです。
区は、子ども家庭支援部が司令塔となり、各地区総合支所、各支援部が連携し、保育サービスの拡充、障害児支援、ちぃばす等の就学前児童の運賃無料化など、多様なニーズを捉えた施策を推進してまいりました。今年度に策定する「(仮称)港区こども計画」では、これまで実施した子育て支援策の検証結果等を踏まえ、区民が安心して希望する人数の子どもを産み育てられる施策を反映するとともに、少子化対策について検討するチームを編成してまいります。


子育て政策の広報について

次に、子育て支援政策の広報について伺います。
港区政策創造研究所が行った「令和5年度子育てしやすい環境の充実に向けた調査研究」では、港区の独自の子育て政策に関する認知度調査も行われています。魅力的な事業がある一方で、それが区民に知られていないという課題も浮き彫りになりました。

港区長選挙や区議選では、選挙管理委員会による選挙啓蒙としてSNS広告出稿が行われ、一定の成果を挙げました。

こうしたSNS広告出稿も含め、より積極的に子育て支援政策の広報に努めて頂きたいと思います。区の見解をお聞かせください

(区長答弁)
次に、子育て政策の広報についてのお尋ねです。
区は、広報みなとでの子育て関連情報の定期的な掲載をはじめ、港区出産・子育て応援メールや子育て支援施設のイベントなどをお知らせする港区メールマガジンきらっとの配信等、様々な手法を用いて、区民に子育て政策に関する情報を発信しております。
今後リニューアル予定の区ホームページでは、妊娠、出産、子育て期における支援をわかりやすく整理し、必要な方に確実に情報を届けるとともに、LINEやユーチューブでの動画配信など、より効果的な手法を積極的に工夫し、区の子育て支援政策の発信に努めてまいります。   


プレコンセプションケアの充実

 次に、港区独自の卵子凍結助成およびプレコンセプションケアの充実について伺います。

東京都では18歳から39歳の都内の女性を対象に、説明会への参加を条件に、卵子凍結に係る費用を最大20万円助成する制度を開始しています。最新の動向を東京都福祉局に伺ったところ、事業開始から9月3日時点までの、説明会への参加人数の累計は10330人、申込者は2334人となっています。

卵子凍結の助成は一般的に30万円から50万円程度であり、東京都の助成を活用すれば、10万円から30万円程度が自己負担となります。こうしたことから、港区が独自助成するニーズは一定程度見込まれることが予想されます。

もちろん、今年6月に保健福祉常任委員会で開催された勉強会で講師を務めて頂いた東京慈恵医科大学・産婦人科学教室の佐村先生の講演にあったように、卵子凍結は将来の妊娠に備える万全の対策と呼べるものではなく、子どもを持つことを希望するならば可能な限り妊娠適齢期で出産することが望まれます。卵子凍結をしたからと言って、それが着床し、出産に至れるかは結局、母体の年齢によるところが大きいからです。

佐村先生からは「不妊の最大の要員は年齢」「42歳以上では妊娠しても半分以上が流産をしている」といった科学的統計に基づいたスライドも提示され、プレコンセプションケアの重要性について改めて理解を深める機会となりました。

卵子凍結を望む方々の中には、必ずしもこうしたデータを完全に理解している人たちばかりではなく、「卵子凍結をすれば、40歳を超えて仕事に集中しても大丈夫」と考える人たちもいる可能性もあります。こうした方々が誤った認識の元で、妊娠の機会を見逃してしまい、不妊治療の大きな苦しみを味わうことや、子どもを持ちたかったのに持てなかったという辛さを味わうことになることは、希望の実現を支える港区としても、なんとしても避けたい事態です。

だからこそ港区独自の卵子凍結助成によって、卵子凍結の経済的負担の軽減をさらに後押ししつつ、申し込みの前提として、妊娠や出産についての正しい知識を知ってもらうことを条件とすることで、こうした方々へよりダイレクトにプレコンセプションケアを図っていくことを提案します。

説明会では、卵子凍結という手法が完璧な手法ではないこと。出産を望む場合は、妊娠適齢期の内に出産できる環境を整えることが最善の方法であること。そしてそのために、区としてのサポートするメニューとしてこんな施策があると紹介したりすることも、できると思います。また、東京都の助成よりも対象となる人数が区内に限られますので、個々の相談にのって、一人一人に寄り添う体制を作ることもできるのではないでしょうか。

さらに言えば、こうした方々から、すぐには出産できないと考えている理由、何が障害になっているのかを聞き取り、区の出産支援の更なる拡充の材料にもして頂きたいと考えます。

このように港区独自の卵子凍結助成を呼び水にして、プレコンセプションケアを積極的に実施していく手法を検討・実施して頂きたいと考えますが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、プレコンセプションケアの充実についてのお尋ねです。
区は、プレコンセプションケアのセミナーを通して、妊娠・出産についての正しい知識を普及啓発しております。
区では、引き続き、妊娠・出産に適した年齢を伝えていくとともに、現在抱えている病気や仕事のキャリアの問題など、様々な事情により、将来的に妊娠を希望する方を支援するため、東京都の卵子凍結費用助成の決定を受けた方に対し、区独自の上乗せ助成を検討します。
さらに、助成申請時には高齢での妊娠・出産のリスクなど、卵子凍結に関する注意事項を伝えるとともに、不安な点については保健師が相談に応じるなど、個々に寄り添った相談体制を構築し、区の出産支援政策に反映させるなど、プレコンセプションケアを積極的に推進してまいります。
    

保育園へのネイティブティーチャー派遣

次に、保育園へのネイティブティーチャー派遣についてお伺いをします。
令和6年度から区立幼稚園12園で実施されている英語のネイティブティーチャー派遣が高く評価されています。区民から国際理解教育に対する高いニーズは様々な調査から確認されており、インターナショナルスクールを選ぼうとする動機にもなっています。一方で、こうしたインターナショナルスクールは非常に高額で、そうした意味でも公立の施設における国際理解教育の拡充は区民に高いニーズがあるものです。ぜひ区立幼稚園だけでなく、区立保育園にも展開を望みます。

第二回定例会でも自民党議員団の代表質問でも要望があり、区長は「積極的に検討していく」と答弁されておられますが、その実現時期やロードマップについてお伺いをさせてください。区立幼稚園はモデル校を令和4年度から試行的に実施、全園の展開に至りました。区立保育園でも同様に試行的な実施をし、全園に展開するような進め方でしょうか。それとも、すぐに全園に展開するような方策を考えておられますでしょうか?区の見解をお聞かせください。
また保育行政に目を向けますと、大きな園庭を有する区立保育園の倍率が高い傾向にあり、保育ニーズを私立認可保育園と分担していくあり方が求められています。そうした観点から、私立認可保育園についても、希望する園に対して、ネイティブティーチャーの派遣を行ったり、あるいは必要な経費を助成する制度についても検討をいただきたいですが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、保育園へのネイティブティーチャー派遣についてのお尋ねです。
区立保育園へのネイティブティーチャーの配置については、今年度、一部の園での試行実施を検討しております。
試行実施における子どもの反応や園からの意見等を踏まえ、子どもが国籍や文化の違いに触れ、互いに尊重する多文化共生を実現する保育内容の検討や、現状の保育計画との調整を行い、来年度から区立保育園全園での実施を目指します。
 また、私立認可保育園での実施については、区立保育園での試行実施や各事業者の意向等を踏まえ、適切な支援の在り方を検討してまいります。


一時預かりの利用登録などについて

次に、港区での児童の一時預かりについてお伺いします。港区では現在、区内8カ所ある、子育て広場あっぴぃにて一時預かりをお願いすることが出来ます。

ただ、あっぴぃの運営事業者は施設ごとに異なるため、利用に際しては、施設ごとに利用登録をする必要があります。利用者からすると、港区が提供する同じ「あっぴぃ」で、「一時預かり」のために、施設ごとに利用登録が必要になるのは不便だとの声を頂いております。

子どもを預かるという大切な仕事をするために、利用登録が必要ということは理解できますし、個人情報の取扱い等があるかと思うので、難しい部分はあるかと思うのですが、何とか利用者の手間を軽減する方法は考えられないでしょうか。

特に「一時保育は予約を取るのも大変なので、複数個所登録したいが、その度に施設に足を運び登録をしなければならない。小さい子を連れているとそれだけで重労働だ。」というお声を頂いています。

例えば、大阪府寝屋川市では一時預かりのための利用登録申請の面接をオンラインでできるようにしています。港区もオンラインでの面接も選択できるように運営事業者と協議するなども方策の一つかと思います。

また、現状はあっぴぃのホームページから様式をダウンロードしようとするとPDFファイルのダウンロードのみで、すべて手書きでの記入が求められます。PDFではなく、Wordファイルを用意するだけでも少しは利便性が上がるかと思います。

(1)そこで質問です。一時預かり登録の負担を軽減する策を講じて頂きたいのですが、いかがでしょうか。

港区は子育て支援に関する素晴らしい施策が沢山あり、皆様のご努力を感じます。その分、今述べたような申請や利用時に求められるものの煩雑さの改善が、今後の伸びしろだと感じます。子育て支援事業がストレスなく港区民の皆様に享受されるよう、申請や登録の更なる利便性の向上をお願い致します。

またあっぴぃ高輪が来年7月に開設される方針が示されたこと、心から感謝致します。その上で、一時預かりはまだまだ予約枠が足りないとの声を頂きます。

港区政策創造研究所において実施された「令和5年度子育てしやすい環境の充実に向けた調査研究」でも、区の子育て支援関連サービスの16の事業の中で、一時預かり事業は49.2%の方が「一層、充実を希望する」と回答しており、拡充への高いニーズが確認されています。

(2)区の方針として、あっぴぃ高輪に留まらず、今後も一時預かりが可能な事業を拡大していく姿勢があるかについて、伺わせてください。

(区長答弁)
次に、一時預かりの利用登録についてのお尋ねです。 
 区では、子育て家庭が初めて一時預かり事業を利用する際には、子どもを安全にお預かりするため、利用する施設ごとに面談を実施し、子どもの日頃の様子や健康状態など、丁寧に確認するとともに、施設の利用の仕方を説明した上で、利用登録をしていただいております。           
 今後も、子どもが安全に過ごすことができ、保護者も安心して子どもを預けられるよう、オンラインでの面談を実施するとともに、一度の登録で各施設が利用できる、保護者の負担を軽減する仕組みについて、検討してまいります。
次に、一時預かりの拡大についてのお尋ねです。 
 区は、増加する一時預かりの需要に対応し、子育て家庭の利便性向上につなげるため、令和7年7月に新たにあっぴぃ高輪を開設します。
 さらに、子育て家庭が必要な時に子どもを預けることができるよう、ベビーシッター利用支援事業の拡充を含め、様々な手法を講じて一時預かり事業の拡充について検討を進めております。
今後も、ますます増加が予想される一時預かりの需要に確実に応えてまいります。


病児保育

次に、病児保育について伺います。来年1月に、麻布十番に新たな病児保育室が開設されることになりました。こちらも我が会派として、様々な場面で要望を重ねており、この方針を高く評価しております。集団感染が起きた時には、ニーズが逼迫し、そうでない時期には比較的利用しやすいなど、ニーズに大きなムラがあることが病児保育の定員調整の難しさではありますが、私たちはまだまだ病児保育のニーズは高いと認識しております。

集団感染が起きた時など、できる限り、利用のニーズが最大化した値を目標と捉えて、今後も病児保育のサービスの拡充を図っていただきたいと考えますが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、病児保育についてのお尋ねです。
病児保育の拡充は、需要の最大値を捉えながら、感染症ごとに隔離できる保育室を確保することがニーズに応じた拡充と考えております。
来年1月に開設を予定している新たな病児保育室では、定員と同程度の隔離室を設け、症状に合わせてより多くの子どもを受け入れられるような体制を整える予定です。
今後も、感染症流行期の利用状況等を踏まえ、既存施設を改修した隔離室の増室による定員拡大、施設間連携による利用率の更なる向上、訪問型病児保育の利用促進など、様々な手法を取り入れることで、区民が利用したいときにいつでも利用できるよう、積極的に取り組んでまいります。


学童の預かり時間の延長及び夕食の提供を

次に学童の預かり時間の延長についてお伺いします。現在港区における学童の預かり時間は最大で原則午後7時となっています。

あるシングルファザーの区民から寄せられた声としては、「今の学童にも大変お世話になっているが、どうしても仕事が長引いて困ってしまう時がある。夕食も提供し20時ごろまで預かってくれる民間の学童はあるものの、非常に高額で家計的に大変だ。」とのことでした。

またこれはシングルの子育て世帯だけでなく、共働きで子育てする世帯からも数多く意見を頂いています。夕食の提供も含め、学童の預かり時間を延長して頂きたいですが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、学童クラブの預かり時間と夕食の提供についてのお尋ねです。
区は、保護者の就労形態が多様化し、学童クラブにおいても様々なニーズが高まっていると考えております。開設時間は、保護者の就業時間に合わせて設定することも必要ですが、児童の発達や自宅での生活時間に配慮することも重要です。
区は、夜間保育の需要に対応するため、昨年度からベビーシッター事業の利用対象を小学6年生まで拡大しております。
今後、学童クラブの実施時間を更に延長することについては、児童への夕食の提供や職員配置だけでなく、児童と保護者の両方の視点で検討してまいります。


見守りシステムのにアップデートについて

 次に、港区在住の児童・生徒に配布されている防犯ブザーについてお伺いします。我が会派のメンバーも以前から提案を重ねさせて頂いておりますが、平成15年度から導入している現状の港区の防犯ブザーには、壊れやすい、電池交換が面倒である、防犯対策としての実効性を欠くのではないかといった様々な声が寄せられております。

技術の進展に伴い、防犯ブザー単体の機能を持つ見守りシステムだけでなく、子どもの居場所がいつでも把握できるGPS機能を搭載したり、登下校の通知システムを搭載したり、緊急時に通話できる機能を持つものなど、様々な見守りシステム及びプロダクトが開発をされております。こうしたテクノロジーをもっと活かしていくべきではないでしょうか。

共働き家庭が増え、親が子どものそばにいたくてもいられないという状況は当たり前になりつつあります。そして、そうした隙間を狙った犯罪へのリスクも高まり、子どもの安全に対する心配も高まっています。こうした現状を踏まえ、子どもの安全と親の安心の双方を実現できるニーズのある機能が付加された見守りシステムへとアップデートしていただきたいと思いますが、教育長の考えをお伺いします。

(教育長答弁)
ただいまのみなと未来会議を代表してのさいき陽平(ようへい)議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、少子化対策と子育て支援についてのお尋ねです。
まず、見守りシステムについてです。
 教育委員会では、登下校中の児童の安全を守るため、小学校の新入学児童に対して防犯ブザーを配布しております。
 防犯ブザーの配布から20年が経過し、GPS等ICT技術を活用した様々な見守りシステムが普及していることから、教育委員会では、ICT技術を活用した、より効果的で効率的な新たな見守りシステムの導入を検討してまいります。


地域の特色を活かした国際理解教育を
ーまちなか留学の拡充を(大使館との連携強化)ー

 次に、地域の特色を生かした国際理解教育について伺います。
今年7月に港区教育委員会後援でハローワールド社による、まちなか留学が実施されました。この「まちなか留学」はその名の通り、首都圏に住む外国人世帯に週末子どもたちがホームステイをしに行くことで、手軽に異文化体験、国際理解力を高めていける事業です。

区立小学校に通う14名の学生が参加し、バングラディシュ、ロシア、インド、パキスタン、ネパールのホストファミリーに、1泊2日のホームステイをすることで、子どもたちが異文化理解を深めてくれました。最終日の学習発表会も見学させて頂きましたが、学生たちの楽しそうな表情が印象的でした。

保護者からの事後アンケートでも「海外に一人で行ってもらうにはまだ心配な年齢なので、都内でホームステイできるのは安心できた」であるとか、「異文化体験できたことで、英語学習への意欲に繋がってよかった」といった好意的なフィードバックが得られておりました。

今回は港区在住の外国人家庭ということではなかったですが、港区との連携体制を強化していけば、港区在住の外国人家庭と港区の子どもたちを結びつける施策にもなると考えます。それは地域の多文化共生社会の構築に繋がり、また、災害時に外国人の世帯を孤立させない地域の中の結びつきを創出することにも繋がると考えます。そして、港区の子どもたちにとっては、シンガポール海外修学旅行や、オーストラリア派遣に留まらない、より重層的な異文化理解教育の支援にもなると考えます。

さらに港区には80以上の大使館が立地しており、こうした大使館との連携も織り交ぜたプログラムとなれば、港区の子どもたちにとってより強力で、唯一無二の学習機会となると考えます。

ぜひこうした地域の特色を生かした、国際理解教育を進化させて頂きたいと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。

(教育長答弁)
次に、地域の特色を生かした国際理解教育についてのお尋ねです。
各小・中学校では、大使館と連携した文化交流や近隣大学の留学生との交流、海外からの派遣団の受入れを行うなど、地域の特色を生かした国際理解教育に取り組んでおります。
本年度、芝浜小学校に韓国の小学6年生が訪れ、児童同士の交流を通して、異文化理解を深めました。
また、来年1月には、海外派遣で訪問しているオーストラリアのパース市から、中高生を受け入れ、区立学校に通う児童・生徒の家庭でのホームステイや学校での交流についての準備を進めております。 
引き続き、教育委員会は、多くの大使館がある、国際色豊かな区ならではの国際理解教育の更なる推進に努めてまいります。


区立学校の魅力化について

ここからは区立中学校の魅力化についてお伺いしていきます。
公教育の充実化は、区政において極めて重要であると考えております。教育は未来への投資であり、港区の未来を作る何よりの礎と考えます。

港区においては、区立中学校への進学率は年々減少傾向で、それに比例して私立の進学率が高まっている状況です。私立に進学することは決して否定されるべきことではありませんが、望む教育環境が区立中学校では得られないという理由で区立中学校に進学できていない状況があるとすれば、早急な改善が必要など考えます。そのためのいくつかの方策について、順次ご質問させて頂きます。

進路支援講座(放課後塾)の拡充を

まず、今年度から開始された進路支援講座「みんなとゼミナール」についてお伺いします。この事業は、放課後の時間に民間の事業者による都立高対策講座が受講できるというものです。我が会派としても代表質問や予算要望で実現を強く要望していた事業でもあり、大変評価している事業の一つです。

我が会派のメンバーと共に、三田中学校での都立高対策の講座を実際に見学させて頂き、事業責任者の方々とも意見交換をさせて頂きました。

現在この事業は、三田中学校と青山中学校の2校を拠点校とし、10の区立中の全ての学生が選抜を経て通える方式となっていますが、教育委員会から頂いた資料によりますと、希望者は当然ながら、青山中は青山中の近隣の学校の希望者、三田中は三田中の近隣の学校の希望者が多い傾向にあります。ぜひ拠点校の拡充をお願いしたいです。

また、区立中学1年から中学3年生でみますと、中学1年生の希望が多く、中学3年生の希望が少ない傾向が見られました。3年生にもなっていると既に塾に入っており、タイミングが合わなかった学生も多かったと推察されます。そんな中で、夏季・冬季休暇中の集中講座は現在3年生のみの実施となっています。ぜひ、1・2年生にも長期休み中の集中講座の提供をお願いしたいです。

加えて、習熟度別のクラスも現状は中学3年生のみと伺いました。習熟度別クラスを設ければ、委託する塾の教員を増やしてもらうなどの対応が必要になるかと思いますが、ぜひ1・2年生にも習熟度別で、より手厚い指導を実現して頂きたいです。

この事業は教員の負担を新たに増やしていくものではなく、民間の活力を活かす事業です。そしてどの提案も予算を増やしていけば実現可能性が高い施策だと思います。
事業の今後の拡充を強く求めますが、教育長の見解をお聞かせください。

(教育長答弁)
次に、区立学校の魅力化についてのお尋ねです。
まず、進路支援講座の拡充についてです。
今年度から開始した進路支援講座「みんなとゼミナール」は、三田中学校と青山中学校の2校を拠点とし、定員160名のところ、163名の応募がありました。受講した生徒からは、学校の垣根を越え、切磋琢磨しながら学力向上に取り組めるという評価をいただいております。
今後、教育委員会は、学校別の応募状況や出席状況を踏まえ、事業の更なる改善に向け、成果や課題を検証してまいります。
さらに、生徒を対象に、受講方法についてニーズ調査し、拠点校の拡大や1・2年生の習熟度別講座、夏季休業中の集中講座の実施について、検討を進めてまいります。


公立学校で魅力的な部活動を

 次に、公立学校における部活動について伺います。言うまでもなく、部活動は非常に大切な学習活動の一つです。何かに打ち込むことで関心が広がったり、部活で苦楽を共にした仲間が、生涯の友人として親交が続いている方も多いのではないでしょうか。

区では、教員の負担軽減を図るとともに、生徒が専門性の高い指導を受けられる体制整備のため、区立中学校の128にわたる文化系、スポーツ系問わず全ての部活動に部活動指導員をリーフラス社に約1.5億円かけて委託しています。

こうした部活動の地域移行は、教員の働き方改革には明確に繋がった部分があり、評価できると思います。その上で、部活動指導の負担をどう解決していくかという「教員側の論点」から、生徒たちにとってより質の高い指導を受けられる体制整備になっているかといった論点や、生徒たちにとって魅力的な部活動のバリエーションを増やしていけているのかといった論点がこれからより大事になってくると考えます。

 私立学校は様々な魅力的な部活動を設置し、学生たちを惹きつける経営努力を生き残りをかけて取り組んでいます。例えば、日本最大の通信制高等学校となったN中等部・N高等学校では起業部や投資部、政治部、eスポーツ部など多彩な部活動で学校の魅力化を図っています。

そうした中で、香川県の三豊市では市立中学校に「探求部」や「メタバース探求部」「みとよマネー部」などユニークな部活動を取り入れることで、私立に負けない学校の魅力化に取り組んでいます。

例えば、みとよマネー部では、「お金との向き合い方を探究し、将来のためのリテラシーを身に付ける」ことを目標とし、三井住友信託銀行の講師による金融の講義やワークショップ、また、自分のライフプラン・マネープランを考え発表する活動などを行っています。このような部活動の魅力化を、港区にはさらに取り組んで頂きたいと考えます。

 加えて、現在港区では小中一貫校が増えつつありますが、魅力的な部活動で小中接続をより高めることも期待されます。小学校で愛着を持って続けた部活動を、中学校に上がっても続けたいという意欲に繋げ、小中一貫校の魅力を引き出す手法も考えられます。

このように、公立学校における部活動が生徒たちにとって満足度や教育効果が高まるような取り組みをより一層力を入れて取り組んでいただきたいと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。

(教育長答弁)
次に、魅力的な部活動の創設についてのお尋ねです。
御成門学園のダンス部やお台場学園のセーリングヨット部をはじめ、各中学校では、地域の特色を生かし、生徒にとって魅力ある部活動を創設しております。
各部活動では、外部指導員から専門的な指導を受け、技能を向上させたり、仲間との人間関係を育んだりすることで、生徒の満足度が高まり、教育効果を上げております。
本年度は、六本木中学校と高陵中学校でダンス部、赤坂学園で軟式野球部とサッカー部が新設されるなど、各中学校の生徒の思いやニーズにあわせて部活動が設立・運営されています。
今後も教育委員会は、地域部活動を拡充するとともに、生徒が自主的・自発的に部活動に取り組む環境を整えてまいります。


区立中学校の広報強化について

次に、区立中学校の広報強化について伺います。

東京都教育委員会が公表した2023年の港区の私立中学校の進学率は42.47%と、23区の中でも三番目に高い自治体となっています。

私立中学校は合同説明会を開催したり、魅力的なカリキュラムを作るなど弛まぬ経営努力でマーケティングを展開しています。また、中学受験塾も様々な形で広報を図っており、中学受験をするメリットを保護者に訴求しています。

こうした現実を直視し、区立学校も民間に負けない広報を行っていくことが重要と考えます。学生と保護者には、公立学校という選択と、私立学校の選択の双方のメリット、デメリットを理解した上で、最後は、生徒ひとり一人にあった選択をなされることが最善です。しかしながら、私立学校が民間の経営努力で必死に広報する一方で、区立学校の情報が十分に発信されていないと、結果としては、偏った情報の中で、意思決定がなされてしまうことになります。これは望ましいこととは言えません。

例えば、私立進学率一位となっている、文京区では、「区立中学校のオープンキャンパス」と題して、各区立中学校の学校公開日の日程をまとめ、チラシとして広報を行っています。

また、学校ごと個別の説明会ではどの中学校が良いのか考えるために何度も説明会に行く必要があります。希望選択制をとっているわけですから、ぜひ中学校合同説明会を実施し、保護者や生徒さんが行きたい中学校を選びやすいようにしていただきたいです。

その中で例えば、「港区立中学校から、高校に進学し、充実した学生生活を送っている先輩の高校生」や「私立中学受験と悩みつつ、港区立中学校への進学を決めた方の保護者」などを集めてパネルディスカッションを行うなど、区立中学校の持つ魅力を伝えるコンテンツや、高校受験の不安を解消するようなコンテンツを考えるべきではないでしょうか。

 加えて、広報の時期をより早期から開始することも重要な視点です。小学3年生ごろからは既に塾に通い始める児童も多いため、小学2年生時点の親御さんから、区立中学校という選択の魅力を伝えていく努力が求められる状況があると言えます。

教育委員会の皆様の努力によって、オーストラリアの海外派遣事業、シンガポール修学旅行、みんなとゼミナールなど、港区立中学校ならではの魅力化策が講じられる今、その魅力をさらに高めつつ、それがしっかりと保護者と児童に伝わる広報が重要ではないでしょうか。

そこで質問です。区立中学校への広報体制を抜本的に強化して頂きたいと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。

(教育長答弁)
次に、区立中学校の広報強化についてのお尋ねです。
教育委員会では、中学校合同説明会に替え、児童・生徒と保護者が、個別に都合の良いタイミングで各学校の活動内容等を確認できるよう、ホームページでの紹介動画の掲載や中学校の魅力をPRするリーフレットの作成、SNSを活用した情報発信など、様々な工夫をしております。
今後も、小学校の早い段階から区立中学校の魅力を周知し、選択していただけるよう、他自治体の事例も参考にしながら、動画コンテンツや情報発信手法の改善などを行い、区立中学校の魅力を効果的に広報できる取組を進めてまいります。


生成AIの教育現場での活用について

 次に、教育現場における生成AIの活用についてお伺いをします。
内閣府が発表しているいわゆる骨太2024において、イノベーション人材の育成強化、クラウド環境や生成AIの活用等による教育DXの加速など、教育のDXに関する記載が多く盛り込まれました。文科省は令和7年度までに生成AIを校務で活用する学校を50%にすると打ち出しており、国として本格的に教育DXを推し進めていく姿勢が見られます。

生成AIは教員の働き方改革や、生産性向上による生徒への支援の強化に繋がることなど大いに期待されるテクノロジーだと考えます。

経産省未来の教室実証事業者であり、港区に本社を置く株式会社ライフイズテックは鎌倉市などで教員向けの生成AI研修を開催しています。こうした区内の事業者ともコラボレーションしながら、教員向けの生成AI活用研修の検討も進めるなど、生成AIを積極的に活用をして頂きたいと思います。

そこで質問です。教育現場における生成AIの活用についてどのような方針で望まれるか、教育長の見解をお聞かせください。

(教育長答弁)
次に、生成AIの教育現場での活用についてのお尋ねです。
現在、教育委員会では、国の通知に基づき、区立幼稚園、小・中学校における教員の生成AIの活用について、ガイドラインの作成を進めております。
具体的には、個人情報については取り扱わないことを前提に、教材や保護者等への文書の作成において、生成AIを活用することで、業務の効率化を図り、教員が子どもたちと向き合う時間を増やすことを想定しております。
今後、ICT担当であるGIGAリーダーが実践した好事例やガイドラインの運用について、教員研修で取り扱い、教員が生成AIを適切に活用できるようにしてまいります。


教育行政の専門職を

次に、教育行政の専門職の採用についての質問です。

これまで様々な教育に関する提言、提案をして参りましたが、新規の施策の取り組みには、相応の人員強化が欠かせないと考えます。

鎌倉市では新たな役職として教育行政職を新設し、民間企業等での経験を通じて得られた専門性を地方自治体の教育行政の場で発揮できる人材を採用しました。「いま教育現場が必要とする施策を打つためには自由な発想のもと立案・実行を推し進められる人材、そして現場で起こる様々な課題に向き合い解決へと導く専門家」が必要であるという考えのもと、採用に踏み切ったということです。

一般任期付職員採用制度を活用するなど、教育行政の専門職の採用についてぜひ検討をお願いしたいです。教育長の見解をお聞かせください。

(教育長答弁)
最後に、教育行政の専門家の採用についてのお尋ねです。
教育委員会では、令和4年度から、特別職の非常勤職員として、文部科学省で勤務経験のある教育情報参事官を配置し、GIGAスクール構想の実現に向け、専門的な知見を活用してまいりました。
また、令和5年度から、学級運営支援講師を配置し、各学校に対し、学級の安定的な運営に向け、指導・助言を行っております。
今後も、教育委員会は、多様化する教育課題に迅速に対応するため、ICT教育や国際理解教育に関して見識が高い非常勤職員や会計年度職員の活用など、教育行政の専門家の採用について検討を進めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。


街づくりについて

区有施設の有効利用について 

 次に、区有施設の有効利用についてお伺いをします。港区の人口は2010年から約10年間で6万人以上増えており、今後も増え続けると予想されています。今区民からは、子どもの遊び場がもっと欲しい、スポーツできる場がもっと欲しい、平置きの自転車の駐輪場が欲しい、特別養護老人ホームが必要だ。など、様々な公共的な施設の整備に対するニーズが高まっております。

しかしながら、港区は地価が大変高く、土地取得を実現することは容易ではありません。だからこそ港区が既に所有している施設のポテンシャルを最大限に生かすことが、区民のニーズに応える有効な方策の一つだと考えます。

赤坂支所の上層部分に、シティハイツ赤坂といった区立住宅を建設したことも、区有施設の有効利用の好例だと考えます。

既存の区有施設の中で、高度利用が可能な施設がどれだけあるのか総点検などもぜひ行って頂き、あらゆる機会を捉えて、区有地・区有施設の有効活用に取り組んで頂きたいと考えています。区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、区有施設の有効活用についてのお尋ねです。
限りある区有地において、人口増加に伴う施設需要の拡大へ的確に対応するには、各区有地を可能な限り効率的・効果的に活用した施設整備を行っていく必要があります。
区では今年度、各区有地において容積率や日影規制などの建築条件を踏まえた整備可能な建物の規模を調査しております。
今後も様々な施設需要へ対応していくため、調査結果を踏まえて容積率等を十分に活用した建物を整備するなど、更なる区有施設の有効活用について、積極的に取り組んでまいります。


福祉政策について 

ヘルステックの更なる活用について

 次に、福祉領域におけるヘルステックの更なる活用についてお伺いします。

 介護が必要な高齢者を支えるために必要な介護職員の数は、団塊ジュニアの世代が高齢者となる2040年度には272万人となり、57万人不足することが厚生労働省の推計で分かりました。国は介護職員の処遇改善などに取り組んでいますが、依然として不足を解消するめどは立っておらず、今後、介護保険のサービスを維持するためにもさらなる対策が求められています。

 そんな中で注目を集めているのがヘルステックです。ヘルステックとは、テクノロジーを活用して健康管理や医療を革新する分野のことです。デジタルプラットフォーム、ウェアラブルデバイス、AIなどを使って、予防、診断、治療の精度や効率を向上させることが目的です。具体的には、健康データの収集や解析、リモート診療などが含まれます。

 ヘルステックの活用は、地域医療の革新と健康促進において極めて重要です。先進的なテクノロジーを導入することで、医療サービスの質を向上させ、患者の健康マネジメントを効率化でき、人手不足が加速する介護事業者をサポートすることも期待されています。

 そうしたテクノロジーの一つである、ヘルプパッド2は、高齢者の排泄をセンサーで感知し、スマホやPCへ通知する介護支援デバイスです。AIが正確な検知を行い、介護者は適切なタイミングでオムツ交換することが可能になります。千葉県や、三重県など様々な自治体の特別養護老人ホームで、導入が進み、大きな成果をあげていることで注目されています。

 このように最先端のテクノロジーにアンテナをはり、区の介護施設で積極的にヘルステックを導入し、介護人材の負担を軽減しながら、健康で長生きできる港区を実現させて欲しいですが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、ヘルステックの更なる活用についてのお尋ねです。
区では、人手不足が深刻な介護職員の負担軽減や、介護サービスの質の向上のため、介護現場への介護ロボット・ICT機器の導入を支援しています。
本年8月には、最新機器の展示を含めた普及啓発セミナーを開催するとともに、介護ロボット等を導入する事業所に対しては、相談専用窓口で、事業所の規模や課題に合わせた機器の選定方法などをアドバイスし、400万円を上限に補助を行っています。
今後も、健康で長生きできる港区の実現に向け、国の最新の取組や最先端技術に精通した専門家の意見を取り入れるなど、介護施設の現場の課題に対応した、より効果的なヘルステックの導入を積極的に進めてまいります。


孤独対策および自殺対策について

 次に、孤独・孤立対策および自殺対策についてお伺いをします。

日本の自殺者数は減少傾向にあるものの、若年層の自殺率については深刻な状況が続いています。我が国の自殺死亡率、人口10万人当たりの自殺者数、は主要先進7カ国の中で最も高くなっており、15〜39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっている状況です。

WHO(世界保健機関)は「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である」と明言しているように、自殺は社会の努力で「避けることのできる死」であるというのが、世界の共通認識となっています。

現在港区では「いのちのサポート相談」で午前9時から午後9時30分まで区民のための電話相談窓口を用意しており、この取り組みは非常に大切だと思います。しかし、希死念慮に関わる相談件数が高まる時間帯は深夜から明け方の時間帯であり、厚生労働省の調査によると一番自殺死亡数の多い時間帯は、朝の5-6時だそうです。
悩み・苦しんでいる人たちにとって、相談窓口の対応時間外である深夜から明け方というタイミングが一番、相談体制が必要な時間となっている課題があります。
そんな中で、注目を集めているのが、NPO法人あなたのいばしょと連携した自治体の「24時間相談窓口」です。このNPOでは、アメリカやヨーロッパなどで働く在外日本人と連携対策を構築し、世界32か国1000人以上配置している相談員に、時差を活用して夜中の対応を任せることで24時間対応を可能にしています。

また近年、日常生活の中でも電話よりチャットする比率が高まり、特に若年層は電話自体に抵抗がある世代も増えつつあります。既存の窓口に加え、24時間のチャット相談体制を確立することでより重層的に悩みを抱える人々に寄り添う体制を構築すべきと考えます。区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、孤独対策・自殺対策についてのお尋ねです。
区は、生徒・学生向けのSOSの出し方などの講座や社会人向けのメンタルヘルス講演会などの実施に加え、夜間帯は電話やSNSで自殺の相談に対応するほか、今年度からは、ひきこもり支援専用相談窓口を開設し、自殺や孤独に対する相談・支援体制を整えております。    
区は今後も、全国的な小中高生の自殺者数の増加や孤独・孤立対策への関心の高まりなどを踏まえ、更なる施策の推進に向け、24時間対応の相談体制の構築を検討してまいります。


防災対策について

帰宅困難者対策について

 次に、首都直下地震に対応できる「都市型防災」についてお伺いします。
 まず、帰宅困難者対策についてお伺いします。港区地域防災計画によりますと、首都直下地震が発生した際に港区で発生するとされる帰宅困難者の数は、53万人にも及ぶことが推定されています。

 公共交通機関が運行を停止している中で、大量の帰宅困難者が徒歩等により一斉帰宅を開始した場合には、緊急車両の通行の妨げになる可能性があり、人命を救うための応急活動に支障をきたすことが懸念されます。 このような帰宅困難者の一斉帰宅に伴う混乱を回避することと併せ、帰宅困難者自身の安全を確保する取り組みが重要です。

 そこで港区は現在、区内のオフィスやマンションなどに、一時滞在施設を開設する支援を行なっています。

 また、本年5月から来年1月まで、東京都との補助と区の独自補助とを組み合わせ、帰宅困難者用の備蓄品の購入費用の全額補助を行なっております。昨年度の実績としては4件、令和6年度現時点の申し込み数は5件と聞いておりますが、申し込みがさらに拡大されることが期待されます。ぜひこうした取り組みの周知により力を入れて頂きたいです。このように、帰宅困難者対策を、東京都と連携しながら、より深めて頂きたいと考えますが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、防災対策についてのお尋ねです。
まず、帰宅困難者対策についてです。
広域自治体の東京都が中心となり担う帰宅困難者対策について、区は帰宅困難者が避難できる場所を確保することで、区民が安心して区民避難所に避難できることから、積極的に東京都と連携して取り組んでおります。
区は、区民や区内事業者に身近な自治体としての利点を生かし、区内事業者に協力を求め、帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設の確保・拡大に努めております。
現在、東京都の補助に上乗せしている区の補助は、区ホームページやチラシによる案内のほか、駅周辺滞留者対策推進協議会に参加の事業者などに案内しております。
今後、一層の周知に努め、東京都との連携を深め、帰宅困難者対策を推進してまいります。


災害対策用職員住宅

 次に、災害時に備える職員住宅について伺います。防災課は災害応急対応業務に必要な人数を285人と算定しておりますが、災害対策に緊急出動できる職員住宅の数は、入居率や参集可能な人数を割り出したところ、約30人分が足りていない現状にあります。清家区長は、区内在住の職員を増やし、災害への対応力を高めることを公約の一つに掲げて当選されました。
いつ何時、万が一の事態が起きても対応できるよう、災害対応にあたる職員住宅の確保を進めるべきと考えますが、改めて区長がこうした取り組みについてどう考え、どう進めようとされているか、見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、災害対策住宅についてのお尋ねです。
災害発生時の初動態勢要員を確保するためには、災害対策住宅の空室の発生及び設置数の不足が課題です。
空室の問題につきましては、これまで入居者の募集を年に2回の定期募集としておりましたが、今年度から職員の退居後のリフォーム等をスピードアップし、随時募集も行い空室期間を減らすよう努めております。
また、設置数の不足につきましては、区有施設の改修等に併せて災害対策住宅を併設する計画としておりますが、整備に一定の年数を要するため、目標戸数を整備するまでの間、賃貸住宅を借り上げるなどの手法を検討し、着実に確保してまいります。


ペット同室避難について

 次に、ペット同室避難について伺います。今や家族の一員ともなっているペットと共に避難できる体制、ペット同室避難には区民からの高いニーズがあります。それは動物が苦手の方も、ペットを家族として大切にされている方も、双方が居心地が良い状態で避難できる体制作りに繋がるからです。それぞれの避難所にペット同室避難が可能な個室のスペースを用意できるか総点検を行ったり、避難所近隣のペットホテルや動物愛護団体と連携してできる体制作りを行ったりするなど、民間企業や団体、そして地域の避難所運営の担い手となる各地区防災協議会の意見にも丁寧に耳を傾け、ペット同室避難を実現させて欲しいと考えます。区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、ペット防災についてのお尋ねです。
ペットの安全な避難については、ペットに避難のための訓練を行うとともに、避難所での専用スペースや動線に配慮するなどの工夫が不可欠です。
全ての避難所において、ペットの避難場所の点検・確認をするとともに、ペットも飼い主も共に健康的な避難生活が送れるよう、避難所運営を担う地域防災協議会等と連携し、スペースの活用等について検討してまいります。
なお、今年度、ペットについての専門家を交えた会議体を設置し、ペットにも飼い主にも優しい実効性のある対策を講じてまいります。


ふるさと納税について

早期に返礼品事業を開始することについて

 次に、ふるさと納税の返礼品についてお伺いをします。返礼品創設の方針は既に示されており、高く評価するものであります。その上で、今回は、その実施時期について伺わせてください。


返礼品をつくればすぐに効果が出るわけではありません。返礼品を検索できる大手サイトの多くは人気順で返礼品がリストアップされているため、返礼品を創設した年は、実績がないためなかなか人の目につきません。取り組みが成果をあげるのに必要な事業であり、財源流出に歯止めをかけることは喫緊の課題だと私たちは捉えています。ですから返礼品事業に速やかに着手して頂きたいです。早期実施に向けた決意を伺いたいのですが、いかがでしょうか?

(区長答弁)
次に、ふるさと納税の返礼品事業についてのお尋ねです。
まず、返礼品事業の早期実現についてです。
区は、豊富な観光資源を有しており、それと関連付けた返礼品はシティプロモーションにつながる取組の一つであると考えております。
現在、職員が返礼品を実施している自治体を訪問し、事業スキームや課題等を調査するとともに、複数の事業者からヒアリングを行うなど、情報収集を行っております。区独自の取組である団体応援寄付金への寄付も増加傾向にあることから、現在の制度を活用しつつ、区ならではの返礼品の創出が速やかに実施できるよう、引き続き、準備を進めてまいります。


旅先納税の活用について

 次に、ふるさと納税の「旅先納税」についてお伺いします。「旅先納税」とはふるさと納税の制度を活用し、旅行や出張で訪れた自治体に寄付できる仕組みです。旅行先の宿泊施設や飲食店、地元商店街やお土産店などから、スマートフォンで申請すれば、5分ほどでその場で電子クーポンが発行され、旅先の様々な消費に使うことができます。

札幌市、京都市、軽井沢町など現在70の観光自治体で既に導入されています。2023年度北海道の倶知安町では約7000万円、軽井沢町では1500万円が集まった実績があり、観光地との親和性が高い制度です。港区も都内一位の宿泊客室数を抱え、地元産業・地元商店の振興にも資するものと考えます。ぜひ港区での導入を検討頂きたいのですが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、旅先納税の活用についてのお尋ねです。
区は、最先端の建物や施設、歴史的な文化財や史跡、豊かな緑や水辺などの多彩な観光資源を有する区の強みを生かし、一般社団法人港区観光協会と連携しながら、シティプロモーションにつながる区ならではの返礼品を導入したいと考えております。
「旅先納税」については、その仕組みや効果を調査・研究しつつ、様々な観点から、区の魅力を最大限発信できるような返礼品について、検討を進めてまいります。


観光政策について

観光協会への支援強化について

 次に、観光協会への支援強化についてお伺いします。
観光産業は、日本において重要な位置を占めています。2023年の訪日外国人旅行消費額は5兆3,065億円と過去最高となりました。今後も訪日観光客の増加により、宿泊、飲食、小売、交通など多くの関連産業が恩恵を受け、雇用創出につながります。港区においても、宿泊業、飲食業、商業施設、エンターテインメントなどが密接に結びつき、観光による経済効果が高いエリアの一つです。また、国際会議やイベント、ビジネスツーリズムの需要も高く、MICE誘致の強化など、港区ならではの観光支援策の拡充が求められると考えます。
こうした港区独自の観光政策を練り上げていくために、大きな役割を期待されるのが港区観光協会です。地域の観光事業者とハブとして役割を果たしている、観光協会が核となり、地域の事業者のニーズにフィットした政策の積み上げを図っていただきたいです。そのためには人員体制の支援を始め、観光協会が取り組もうとしている施策の支援強化などが必要です。こうした支援の強化について、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、港区観光協会への支援強化についてのお尋ねです。
区は、これまでも一般社団法人港区観光協会が、区の多彩な観光資源を活用した観光振興を図れるよう、港区観光フォトコンテスト等の協会が運営する事業や、事務局体制に対する支援を行ってまいりました。
現在、港区観光協会では、会員企業による水辺部会、ナイトタイムエコノミー部会、寺社部会の3つの部会で、区内観光の活性化等について、意見交換が行われております。
今後は、この部会の意見を踏まえた港区観光協会の更なる事業拡大や観光課題の解決に向けた取組と人員体制について、港区観光協会の将来ビジョンや方向性を確認しながら、支援を強化してまいります。


環境・リサイクルについて

リユースの促進について

 次に、リユースの促進についてお伺いします。港区では不要となった木材家具を無料で引き取り、港資源化センターにて家具のリサイクル展にて再度販売する事業を行っています。またそれをジモティに掲載し、リユースの促進に取り組んでいます。我が会派の琴尾区議は、令和6年度予算委員会で、木材家具に限らず、連携を拡大することについて提言をさせて頂いておりました。

 ジモティと自治体の連携拡大で、地域活性化と環境保護に大きく貢献することが期待されます。住民同士が不要品を無料または安価で譲渡し合うことは、言うまでもなく廃棄物削減に寄与します。また、災害時の物資共有やイベント情報の発信など、地域コミュニティの結びつきが強化されることも期待されます。自治体はコストを抑えながら、住民サービスやSDGsの推進を効果的に行えるというメリットがあります。

 こうした民間事業者と連携を図りながら、リユースの取り組みの拡大に取り組んで頂きたいですが、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、リユースの促進についてのお尋ねです。
区は、港資源化センターにおける家具のリサイクル展において、家具の一部を株式会社ジモティーの掲示板に掲載し、家具の紹介や事業の周知を図っております。
一方、自治体の中には、ジモティーと協定を締結し、同社の地域情報サイトの中で、住民同士が直接、家具等の引取りを行えることを案内している事例があります。
住民同士の取引を可能にするプラットフォームの利用など、民間事業者との連携については、他自治体の事例を調査し、検討してまいります。


羽田空港新飛行経路の固定化回避について

 次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避についてお伺いをします。以前より港区としては独自の騒音調査などを実施し、国土交通省に情報提供するとともに、羽田空港新飛行経路の固定化回避に係る技術的方策検討会での取り組みを求めてきました。

 また港区議会は、国土交通省に対し、騒音の現状と区民からの不安の声を真摯に受け止め、港区の上空を低空飛行する新飛行経路の固定化回避のため、空港の管制方法の見直しや地方空港への分散などの選択肢を早急かつ具体的に検討することを強く求める意見書も全会派一致で提出してきました。

 しかし残念ながら依然として区民から羽田空港新飛行経路の固定化回避について検討は十分に進んでいるとは言えず、区民から様々な要望や問い合わせは寄せられ続けています。

 港区のホームページでは区民の声への回答として、「引き続き、国の責任において、区民の不安や疑問の払拭に向けたきめ細かな情報提供や丁寧な説明を行うとともに、航空技術の進展に伴う新たな取組、海上ルートの活用、地方空港への分散化など、新飛行経路の固定化回避に係る検討を加速するよう、強く要請してまいります。」と述べています。

 しかし、令和4年8月に第5回羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を実施して以降、令和5年秋ごろ予定していた第6回の検討会が未だ開催されていません。この第6回の会合は、検討会の「基準素案」が示される重要な会合であり、港区の住民にとっても重要な意味を持つ会合だということは繰り返し指摘してきたところです。国土交通省自身が示したスケジュールを遵守し、1日も早く検討会を開くことが望ましいと考えております。

 こうした区民の声を代弁すべく、清家区長は、就任早々に、議長と共に国土交通省に対し、要望書を提出してきたと伺っております。区民の声を届けて頂いたことを高く評価すると同時に、区長としてこの羽田新飛行経路の固定化回避にどう向き合うのか、改めて決意をお聞かせください。

(区長答弁)
次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避に向けた取組についてのお尋ねです。
私は、8月28日に港区議会議長とともに国土交通省を訪問し、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」及び住民説明会の早期開催等を要請してまいりました。
今後も、区は、国に対して、海上ルートの活用を含め、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう、強く求めてまいります。


投票率向上施策について

投票環境の向上に向けた取り組みについて

次に、投票環境の向上に向けた取り組みについて伺います。

港区の投票率は区議選や区長選では、23区の中で最も低いレベルにあり、区民の声を区政に反映していくためにも投票環境の向上に向けた取り組みが必要です。

現在20時までとなっている期日前投票についてですが、港区には忙しく働くビジネスパーソンが非常に多い自治体でもあり、20時では投票に行けないといった声も多く聞かれます。ぜひ期日前投票時間を延長していただければと思います。

平成28年4月の「期日前投票の投票時間の弾力設定」を可能とする公職選挙法改正を踏まえ、大阪府箕輪市では、 通勤・通学者の投票の利便性をより高めるため、阪急箕面駅前の平尾会館の投票時間を、法で定められた最大の4時間延長し、それぞれ2時間の開始時刻の繰上げと閉鎖時刻の繰下げを行いました。結果として、当該投票所の投票時間は午前6:30から~午後10時までとなり、投票環境の向上に繋げました。

 また足立区では商業施設のアリオ足立に期日前投票所を設置したことで、買い物ついでに投票できる利便性が高く評価され、幅広い層の投票参加が増えたことが報告されています。この商業施設に開設された投票所は、足立区の13箇所の期日前投票所の中で、足立区役所を上回る最多投票される投票所となりました。

 商業施設への設置の一番の課題は「選挙の度に同じ場所が確保できるかどうかわからないこと」とされています。「衆議院議員選挙は予期せぬ解散もあり得るため、使用できない場合があると有権者が混乱する」というのがその理由とのことでしたが、足立区選挙管理委員会はその危惧よりも、有権者の利便性を優先し、判断したと報告しています。このように期日前投票所の場所を増やしていくこともぜひ進めて頂きたいです。

もちろん、時間や場所を延長することで、職員の負担が増加することは確かに課題ですが、選挙は1年間毎日やっている訳ではありませんし、自治体ごとに工夫を凝らして取り組みを進めています。臨時の職員を配置し、シフト体制を設計することで、職員の負担にも配慮しながら、選挙という民主主義の根幹に関わる機会を最大限に保障することに取り組むべきと考えます。期日前投票所の拡大など、投票環境の向上に向けた取り組みについて、区の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
ただいまのみなと未来会議を代表してのさいき陽(よう)平(へい)議員のご質問にお答えいたします。
 投票環境向上に向けた取組についてのお尋ねです。
期日前投票者数の増加等の状況を踏まえ、令和2年の港区長選挙から、さんぽーと港南を期日前投票所として新規開設する等、投票環境の拡充に取り組んでまいりました。
また、今年の港区長選挙と東京都知事選挙においても期日前投票者数が増加しており、選挙管理委員会として投票時間の延長を含めた様々な充実策の調査を開始しております。
今後も、より多くの有権者が投票に参加しやすい投票環境の充実策について、積極的に研究してまいります。  
よろしくご理解のほどお願いいたします。


基金について

最後に、公金管理の体制強化についてお伺いします。

日本では物価上昇率が3年連続2%程度で推移しており、今後もインフレ傾向が続くとされています。港区は約2000億円の基金のうち約1000億円を現預金として保有していますが、インフレ下において現預金でただ保管するだけではどんどん価値が下がり、目減りしていってしまいます。大切な区民の税金によって積み上がった基金の価値を毀損していく状況に突入しつつあります。

また、1000億円にも及ぶ債券運用についても、インフレ率を下回る低い利回りでは、同様に基金の価値は毀損していくことになります。

言うまでもなく、基金は区民の貴重な税金の積み上げによるものであり、その財産を適切にマネジメントしていく使命が区にはあります。

清家区長は「資産マネジメント重視」を公約の一つに掲げ当選されました。そして、先の定例会の我が会派の榎本あゆみ幹事長の質問に対しても「利回りの向上は必要である」と明確に答弁されました。

そのための具体的方策について、幅広い専門家を招いて、より集中的な議論をすることをお願いしたいです。

また利回りの向上を図る視点だけでなくもちろん、公金管理において、リスクマネジメントも極めて重要です。だからこそ、現状のリスクと、課題がないのか、運用を仮に変化させた場合のリスクについても徹底的に洗い出し、どのような方針が望ましいのかを今一度、時間をかけて、専門的な議論を深めて頂くことを提案したいと思います。

 そこでお伺いいたします。公金管理のあり方について、大きな転換点を迎えている今だからこそ、より時間をかけて、検討を深めるための会議体の設置など公金管理の体制の強化に取り組んでいただきたいと思いますが、区長の見解をお聞かせください。

(区長答弁)
最後に、公金管理の体制強化についてのお尋ねです。
基金の運用に当たっては、港区公金管理アドバイザー会議を設置し、年2回定例会を行っております。今年度は、5月に「金利のある世界」での運用について、公金管理アドバイザーの助言を受けるために臨時会を開催いたしました。また、8月の定例会では、初めて外部から運用の専門家をお招きし、新たな金融商品について提案を受けました。
今後は、港区公金管理アドバイザー会議の開催回数を増やし、複数の運用の専門家などに出席をお願いするなど、運用対象金融商品やリスク対応について幅広く提案を受ける機会を設けるなどして、公金管理の体制を強化し、区の基金運用の在り方について、検討を深めてまいります。                                  よろしくご理解のほどお願いいたします。


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