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ギターの重さで音は変わるのか?

諸事情あって3.0kgと3.7kgの2本のMayones Setius 6を仕入れた。

メルカリで失敗した結果

で、1本はすぐに売却しようと思ったんだけど、せっかくの機会なのでできるだけ条件を揃えて同じフレーズを録ってみようってことで実験しました。

揃えた条件:Elixirの10/52をDrop Cでセットアップ、リアPU(しか使ってない)はSaymour Duncan SH-4 JB、弦〜PUの距離は3mm。ナット〜ペグ間は黒はミュートしてないように見えるけど黒いスポンジを挟んでミュートしている。ブリッジ〜ボディ穴はミュートなし。ピックとアンプセッティングは当然同じ。歪みの量・質に差が出ないようにドライシグナルのゲインを揃えてからアンシミュに突っ込んでます。

逆に揃えられなかった条件:おそらく黒は初期モデルなのでローズウッド指板、紫は後期モデルなのでパーフェロー指板かな?PUの経年によるヘタり、細かい弦高までは考慮してません。あと弾き方の誤差は当然あるし、個体差もあると思う。

実際の音、あんま変わんなくね?って言われそうだけど、弾いてる本人は生音や本体の振動も込みで結構な差を感じてます。体感の差を伝えたくてマイク録りしてみたけど3分の1も伝わってなくて、実際は結構如実に違う。

エレキギターなのに生音比較する意味あんの?って話だけど、この意義は人による。録り音は(特に歪みでは)動画のとおり誤差レベルだけど、個人的にはやっぱり生音が好みじゃないと弾いていて楽しくないし、「良い楽器だ!」と感じにくい。RECのために弾く時間の100倍は練習とか遊びで弾く時間なわけで、生音も含めて広義の演奏性・使用感だと考えてます。愛着が持てるかどうかに関わる。シリアスにRECの道具として考えている人はあまり考慮しなくても問題ないと思う。

生音の音量は紫(3.0kg)の方が明らかに大きい。やはり軽いとボディがよく鳴るのは確からしい。ボディが鳴るゆえにミッド〜ハイミッドの倍音がホワっと出て、アコギ的・セミホロー的な性格が強くなる。EQカーブでいうとカマボコ。で、「ボディが鳴る=良いギター」ではないのがエレキです。豊富なミッドが歪みを通すと濁りになる感じがある。あと、余弦の「ヒ〜ン」って残響も大きく感じる。
黒(3.7kg)はよりシュッとしてまとまっている印象。悪く言えば平面的でペラい。重いほどローが出るのか、ミッドのマスキングがないからか、ローエンドがより深く重心も低く感じる。つまりドンシャリですね。重いとドンシャリになる。ドライがスッキリしているので歪ませても飽和しにくく音程感が保たれている。重心の低さは歪みでも感じられる。
逆に「ボディが鳴る=悪いギター」でもないし、どちらにするかは用途と好みですね。例えばEBMM JP6のオリジナルは軽いバスウッドにトレモロ付き、かつネックも薄いのでけっこう盛大に鳴ります。モダンメタルに使うには鳴りすぎと感じる。芯がボヤけてアタックが鈍いんです。ただDTはギターが1人なので、バンド全体に音の厚み、幅、拡がりを持たせるためにこの鳴り感が必要なんですね。JP本人も「バンドにギターが1人か3人かでは必要なサウンドは全く異なる」という主旨のことを述べてます

別の言い方をすれば、軽くてよく鳴るギターほど材の特性が出ると感じる。逆に重くてタイトなギターほど材の影響は少なくなり、ハードウェア、弦、PUなど材以外の影響度合いが大きくなる。極端な話めちゃくちゃ重くてめちゃくちゃ鳴らないギターなら、どんな材で作ってもほぼ同じ音になると思う。
(ここらへんの話は島村楽器のサイトでより詳しく解説されています。)

アタックスピードも結構違って感じる点で、よく「軽いほど立ち上がりが速くて明瞭になる」と言っている人を見るけど体感は逆です。重いほどアタックが速いと感じる。ボディの質量があるほど弦の振動エネルギーに影響されにくくになるので、弦振動はナット〜ブリッジ間で完結し、PUにより速く到達するのかな〜と想像してる。

あとは、各弦と各フレットでの音量バランス・音質のバラつきも、重い方が少なく安定していると感じる。全体的に鳴らなくなるので「ある弦あるフレットだけが他より鳴る」という状況が発生しづらいようです。これは個人的には弾きやすくなるので好きな傾向。

その他の点では、紫(3.0kg)はめっちゃヘッド落ちする。つまりボディが軽い。ネックは黒(3.7kg)とたぶんさほど変わらず、ギターの重量差というのはほぼ「ボディの密度の差」と言えると思います。ハードウェアは当然としてネックの体積あたりの重量ってあんまり個体差ないと思う。

結論というか感想
個人的にはやっぱり重いギターの方が好きですね。3.4〜3.7kgくらいがベストかな。重いギターの好きなポイントは、

・歪みメインで何本も重ねるので1本1本はスッキリしていていい。
・クリーンはクリアでパキッとする(マイルドにしたければトーンを絞ればいい)。
・各弦の音量音質が均一で分離がよくアタック明瞭な方がありがたい。
・ヘッド落ちせず弾きやすい。
・重い方が手に取ったときに「良いギターだ」と感じる(←これ結構重要)。

こんなところです。
今まで買った中で軽い(〜3.3kgくらい)ギターはあまり愛着が持てずに手放すことが多くて、この比較でダメならもう軽いギターを買うのはやめようと思っていたけど、やっぱり今後は最低でも3.4kg以上に絞るつもり。
僕はDTMオンリーでメタルコアだけ作ってるのでこの結論ですが、ライブやる人だと軽いギターの方が疲れないとかの需要もあるでしょう。

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