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【見習い日記⑭】 思ったことがすーぐ口から出ちゃうんよの話

言いたいことがあっても我慢しなければならない。

もうそういうお年頃なのだ。言葉を呑むということは時に社会人として重要スキルなのである。というか出来て当然の必須スキルだと言っても過言はない。言いたいことも言えないことに異を立てるのは反町隆史か意識高い系の陽キャくらいであろう。

ボクは当然どちらでもないが、思った事がすーぐ口から出ちゃうので困っている。しかし、この体質に甘んじているわけではない。ボクなりに改善策を講じている。

それは「満面に笑みをたたえる」である。

言っちゃうのはどうにも止められないので、どうせ言っちゃうなら人を傷つけず、人間関係を害すること無くあえて全部言っちゃおう!というものだ。これは仕事の場において言いたくないことを 立場上言わなければならない時も同様である。

有吉さんて毒舌言ったあと笑うやん?あれですよあれ。

自分で言うのも何だが、ボクはコミュ力が非常に高い。人見知りなど皆無である。何ならその辺を歩いている見知らぬおっさんとも小一時間喋ることができる。この特異スキルを活用しない手はない。

ある日、ショッピングモール内のスタバで並んでいた。お目当ては新作のなんちゃらフラペチーノ…ではなく定番のアイスカフェラテである。ボクは王道を外して失敗し、臍を噛むことになるのが怖いのだ。

店内は空席があるように見えるがなかなか進まない。あー どうせレジで何にしようかなー とか言っているのだろう。並んでいる間に選んどけ!それか 調子に乗ってカスタマイズしてワタシイカスー的なことをやっているのか?メニュー表にあるものを頼め!

声に出ていた。

たぶん当人には聞こえてはいないが、お孫さんを乗せたベビーカーを押している前列の女性には聞こえただろう。仕方ない。そういう体質なのだ。そして恐怖しただろう。振り返るとそこには満面の笑みで文句垂れてるおっさんが居たのだから。


日本で初めてベビーカーを押した人物は福沢諭吉である。これ豆な。


こいつはヤベー奴だなぁと思ったのか、その女性はボクに順番を譲ってくれた。「スタバのレジ前で煽り運転」の実績解除したのはボクが世界初ではなかろうか?

「あ、いやいや大丈夫です!すんません!」
笑顔で狼狽えるボク。
「あ、いえ、娘を待ってるだけなので…。」

は?こんな日にスタバの入口でベビーカーを押したまま立って待っていた…の…?てっきり並んでるかと思うやん!ここ入口だよ?見てよボクの後ろもほら!

もちろん声に出ていた。

瞬間的にボクの周りの空気が変わった気がしたが、その中心のニコニコマンによってジョークっぽく、且つ鋭いツッコミとして成立したのである。
「あらーごめんなさい!」
「いえいえこちらこそすいません!」
なんとも平和的ではないか。大声で怒鳴り散らかす自称世直し老害おじさんとやってる事は変わらない。しかしそのあとに漂う空気感はエアコンの温度設定で例えるなら24℃なのである。言い換えるなら快適だ。ボクはそう信じている。

空気が悪くならないとは言ったが、意に反して20℃の急速冷風になってしまう時も もちろんある。それは「おやじギャグ」が口から漏れ出た時だ。これはいくら満面の笑みを浮かべていても、基本的に冷笑しか生み出さない。

そこで今日はボクの口から漏れ出た幾千もの「おやじギャグ」の中からいくつか、その場の空気を凍りつかせたものを反省の意味も込めて発表しようと思う。というか、どうしても言いたいのだ。

「姫姉様!今日も内容薄そう!」
「大丈夫よ!誰も期待していないわ。本当よ。」



「お熱くなっておりますのでお気を付けください」
と、お茶を持ってきてくれたホール店員さんに、

「このお茶は あティー ですね」

これは完全にシカトであった。

逆に自分がこんなことを言われたらどうだろう。急なシフト変更があって、テンションが上がらないまま仕事をしていたかもしれない。ドラマの最終回を撮り忘れたことを悔やんでいるかもしれない。そういった中で聞かされたのがこれである。ウケるウケないの話ではなくTPOを間違えた結果だ。異様に喉が渇いたのを覚えている。



休憩中、パートさんの娘さんがカナダに留学するという話をしている輪に自ら入っていって、

「あー、ボクもね、学生時代はオタワにおったわw」

当然ウケない。

まず、カナダの首都がオタワということを知っているようなメンツではない。無論、オタワに滞在したこともない。ダジャレとすら気付いてもらえず、1から説明しなければならなくなった。それこそベタな「ロッキー山脈は迫力マウンテン」くらいでよかったはずだ。相手の目線に合わせた内容でなければならない。


昔はよく合コンに行っていた。そこでよく発生するのが「年齢当てクイズ」だ。

「今おいくつですか?」
「えー、何歳に見えますか?」
「稗田八宝斎」

言うまでもない。

まず、「忍たま乱太郎」を見ていたかどうかを確認すべきであった。なんなら「どこがケツアゴやねん!」くらいの援護射撃が必要であった。千里眼のスキルも死神の目も持っていないボクにとって、これが最適解だと思ったのだが見当違いも甚だしかった。

忍たま乱太郎見てたという人にはウケるはずですが、未だに出会ったことはありません。


おっとこれはいけない。文字数が2000文字を超えている。これ以上 皆さんの時間を無駄にしてはいけない。ここまでくだらない話を聞いてくれてありがとう。ではまた。


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