「中秋節」にはなぜ月餅を食べるのか?――台湾の風習とその由来
今日は、旧暦八月十五日。
「中秋節」です。
台湾では、「中秋節」の時節に、「月餅」や、この季節の果物である「柚子」を贈り合う習慣があります。
※ここで言う「柚子」は、日本の「ユズ」ではありません。日本語では「文旦」、あるいは「ザボン」になります。
なぜ「月餅」を贈る習慣ができたのでしょうか。その由来については諸説あるのですが、面白いのが朱元璋に関する伝説です。
――時は元の末期、軍閥が割拠し、世は麻の如く乱れていました。
ここに朱元璋という英雄が現れ、元王朝を転覆し、新たに漢人の王朝を作ろうと画策します。
朱元璋は、元王朝転覆計画を成功させるためには、民衆の力が不可欠だと考えました。ただ、「謀は密なるを良しとす」です。どうやったら元王朝に知られることなく、民衆の決起を促すことができるでしょうか。
この時、軍師・劉基が一計を案じました。
先ず、「これから世の中に大きな災厄が起こる」というデマを流します。更に「月餅にはその災厄を祓う力があるらしい」という噂をまことしやかに流布させました。
その後で、「八月十五夜起義(決起)」と書かれた紙を潜ませた月餅を、遍く民衆に配ったのです。
そして、八月十五日満月の夜――
国中の民衆が蜂起し、見事元王朝を滅ぼしました。
朱元璋は新しく王朝を打ち建て、初代皇帝となりました。それが明王朝です。
以来、旧暦の八月十五日に、「月餅」を贈り合う習慣ができたというのです。
……さて、由来話はこのくらいにして。
そろそろ「月餅」を食べましょう。
「月餅」には、いろいろ種類があります。名店の高級「月餅」セットなどもあるのですが、わたしは今年はごく普通に、「義美」の「豆沙蛋黃」を買いました。
「義美」については、以前このエッセイでもご紹介したことがあるのですが、堅実なお菓子メーカーというイメージのある台湾企業です。日常的に食べるおやつとして、わたしはよくこの会社のお菓子を買っています。
※「義美」のお菓子を取り上げた記事はこちら。↓↓
さて、「豆沙蛋黃」――「豆沙は「こしあん」、「蛋黃」は「アヒルの卵の黄身」を表します。
「蛋黃」が入っていない「月餅」もあるのですが、わたしは入っている方が好きです。
ちょっと切ってみましょう。
「蛋黃」が、まるで夜空に浮かぶ満月のようですね!
「蛋黃」の部分は少し塩辛いのですが、それがこしあんの甘さと相まって、絶妙なおいしさを奏でます。
ちなみに今回買った「豆沙蛋黃」は105TWD / 個でした。現在のレートで日本円に換算すると、503円くらいです。
単価として見ると、ちょっと高いようですが、「月餅」というのはとても質量(?)が高いお菓子です。しかも、「義美」の「豆沙蛋黃」はサイズもなかなか大きいため、わたしは一個を四等分し、四回に分けて食べることにしました。
カロリーも相当高めですから、健康の観点からも、一回で4分の1くらい食べるのが、ちょうどいい分量ではないかと思います。