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台湾の夏はタケノコ料理で決まり!①――沙茶桂竹筍炒肉絲

前話:良質の中華時代劇が描く「現代的テーマ」――夢華録 / 次話:(ある意味)国境はないという話――中国ドラマ「去有風的地方」より

 今回は、台湾の家庭料理をご紹介します。

 の台湾家庭料理の主役は、ずばり――

 スン(タケノコ)です!

 台湾のタケノコは、夏が旬なのです。

 台湾のタケノコにはいくつも種類がありますが、その代表格と言えるのが桂竹筍クイ・チュウ・スン綠竹筍リゥ・チュウ・スンです。

 今回と次回の計2回に渡り、この二つのタケノコを使った家庭料理をご紹介したいと思います。

 第1回は、桂竹筍クイ・チュウ・スンを使った料理――沙茶シャー・チャー・桂竹筍クイ・チュウ・スン・炒肉絲チャオ・ロウ・スーです。 

 先ずは、桂竹筍クイ・チュウ・スンからご覧いただきましょう。

桂竹筍:皮を剥いて茹でた状態で売っている

 上の写真が、今回使った桂竹筍クイ・チュウ・スンです。既に皮を剥き、茹でた状態で冷蔵されています。

 この桂竹筍クイ・チュウ・スン肉絲ロウ・スー(豚肉の細切れ)と一緒に炒めます。

 では、沙茶シャー・チャー・桂竹筍クイ・チュウ・スン・炒肉絲チャオ・ロウ・スーの完成品の写真を御覧いただきましょう。

 ジャジャーン!

沙茶桂竹筍炒肉絲:赤い部分はトウガラシ

 この料理は、台湾の友人(すごく料理上手の人です!)から教えてもらいました。

 家庭料理ですから、レストランのメニューには載っていないと思います。

 友人の作り方は、沙茶醬シャー・チャー・チィアンという調味料を加えるところに特徴があります。

沙茶醬シャー・チャー・チィアンというのは、台湾料理に欠かせない調味料の一つです。

 スーパーに行くと、いろいろなブランドの沙茶醬シャー・チャー・チィアンが販売されているのですが、わたしのお気に入りはこのブランド。

わたしのお気に入り:「清香號」の「沙茶醬」

沙茶醬シャー・チャー・チィアンは、日本ではざっくり、「バーベキューソース」と紹介されることもあるようなのですが、「バーベキューソース」という言葉から日本人がイメージするものとは、台湾海峡より深い溝があります。

沙茶醬シャー・チャー・チィアンというのは、こういうタレです。

これを「バーベキューソース」と訳すのはかなり無理があると思う

 わたしのお気に入り清香號チン・シィアン・ハオブランドの沙茶醬シャー・チャー・チィアンは、魚のカレイをベースに、花生粉ホゥア・シェン・フェン(ピーナッツパウダー)、椰子粉イエ・ヅ・フェン(ココナッツパウダー)、芝麻ヅー・マァ(ゴマ)などの原料から作られています。

 ブランドによっては魚だけでなく、干しエビをベースにしているものもあるのですが、「清香號」のそれには入っていないようです。

 ――と、いくらこうして原料を列挙されても、沙茶醬シャー・チャー・チィアンの味を日本人が想像するのは難しいでしょう。

 ただ、一回食べたら忘れられない味だということは書いておきたいと思います。

 わたしがいつか日本に帰国したとして、ある日、ふと沙茶醬シャー・チャー・チィアンで味つけされた料理を口にしたら、その瞬間、台湾での日々が走馬灯のように脳裡に蘇り、思わず涙をこぼすかも……と、よくわけのわからない想像をしてしまうほど、わたしにとって台湾らしい味なのです。

 さて、台湾の友人に教えてもらった、この沙茶シャー・チャー・桂竹筍クイ・チュウ・スン・炒肉絲チャオ・ロウ・スーですが――

沙茶醬シャー・チャー・チィアンで味つけされた桂竹筍クイ・チュウ・スン脆脆ツゥイ・ツゥイ(シャキシャキ)した食感、それと豚肉のあまみ、辣椒ラー・チャオ(トウガラシ)のピリッとした辛さが相まって……

 夏のおかずとして、もう完璧
 わたしの大好物のひとつです!

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