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【第二回】VRアバター制作に必要なスキル(インタビュー・飯嶋氏)

原型師に更なる光を。その声の下に立ち上がったプロジェクト、 MINAMOTO

今回のコラボレーションはプラモデルやフィギュアの企画・製造・販売などで広く知られるコトブキヤ。コトブキヤが近年力を注いでいる「VRアバター」というジャンルでのコラボレーション企画だ。前回・絵師100人展とのコラボレーションで生み出された立体作品『九尾の傍観者』をVRアバターにしていく。

九尾の傍観者

そこで、コトブキヤVRアバター担当・飯嶋氏へ行ったインタビューの様子をレポート。第二回目である今回は「VRアバター事業で重宝されるスキル」、「VRアバター業界で生きていくためにテクニック以外で学ぶべきこと」についてお話を伺っていきたい。

(第一回のインタビュー記事はこちら)



VRアバター事業で重宝されるスキル

――どのようなスキルがあるとVRアバター事業で重宝されるのでしょうか?

ファッションセンスですね。特にイラストレーターは、女性ユーザーが見てかわいいと感じる衣装を造れるかどうかが肝です。私は、VRアバター業界ではメイドやナース等の「制服」でキャラクター性を出すという方針はあまり得策ではないと考えています。そのアプローチはアニメの文脈であり、ファッションの文脈ではないためです。VRユーザーはアニメの主人公になりたいわけではないということに留意する必要があります。

これは推測ですが、韓流アイドル、韓流ファッションは押さえておいた方がよさそうです。以前にも触れましたが(前回の記事参照)VRの世界はワールドワイドですので、ワールドワイドで通用する感性が必要です。

――現実での流行がそのままVRアバター業界にも影響するのですね。原型師に対してはいかがでしょうか?

弊社コトブキヤはゲーム会社と仕事をご一緒することも多いのですが、その結果、フィギュア、ゲーム、VRアバターはそれぞれ制作のスタイルが異なることがわかりました。そのため、この話はVRアバター制作に関する場合に限る、とまず断っておきますね。

VRアバターは、ひとりの作家が半年から一年程かけてひとつのアバターを作り込みます。その際、設定資料集などに記載がない部分は作家自ら想像して補わねばなりません。絵に描かれていない部分を、キャラクターに似合うかなどを考慮しつつ提案・造形できるスキルが必要になります。フィギュアの原型制作を経験してきた人はこれらの点を強みにできるのではないでしょうか。

ただ、フィギュアの原型制作と異なる点として、VRアバター制作ではある意味「造形を捨てる」必要があります。

――「造形を捨てる」?

VRゲームやSNSに合わせた仕様に落とし込むための、そぎ落としが必要なのです。そのためには、造形を捨てる覚悟が必要。

例えば、VRアバターとして適切なポリゴン数は、弊社では7万ポリゴンくらいと定めています。そうしないと他のプレイヤーの端末に負荷をかけてしまい、アバターを表示してもらえなくなります。コトブキヤのアバターは1万ポリゴンくらいのものもあります。つまり、造形の解像度がフィギュアの1/100以下になりますよね。その制約の中で何を残し、何を削るのか選ばなけれならない。つまり、「造形を捨て」なくてはならない場面が出てくるのです。

テクニック以外で学ぶべきこと

――VRアバター業界で生きていくために、テクニック以外で学ぶべきことは何だとお考えですか?

観察眼と言語化能力ですね。よいと思うものを言語化して、適切に伝えられるようにする。または、相手から聞き出せる力があるとクライアントは助かると思います。

そのためには、色々見聞きして咀嚼し、引き出しを増やす。自分の作りたいものを適切に管理できるようにすることが重要だと思います。


第二回はここまで。
次回はいよいよ「MINAMOTOコラボについて」語っていただく。


次回もお楽しみに!


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