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本は移動するもの

子供のころからある古本屋へひさしぶりに行って、目についた文庫本をその場で買って、読んだ。

紙の本の終わりがささやかれているのだから、古本屋もなくなるのかもしれないけど、それにしても、昔は知性もエロスも流行も集まる場所だった古本屋から老いが感じられて、かび臭くないのにかび臭くて、流行ってない店特有の、あの感じがしていたのは寂しかった。

図書館でも古本屋でも、本は自分と関係ない人が書いて、人の手を流れ次ぎ、手にしたひとの記憶の一部になりながら自分のもとに来る。
どのルートで来たか知りようがない、本は移動するものだということを思い出した。

本は、気に入ったところに線を引いたり、思ったことを書き込みながら読むと違う体験になるとどこかで聞いて、そんなことをしようと思ったことがないし新しい本には緊張してできないので、古本屋でホコリをかぶっている本を探しに行ったら、店自体がホコリをかぶっていたのだった。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。