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ブックオフで買った、デカいあしたのジョー

110円で、運動部の弁当箱ぐらいデカい「あしたのジョー」を買った。
「まんがを読んでる!!」って感じがする。

冬場にあったかい蕎麦をすすりながら太宰治の文庫本読んでたときは
「小説を読んでる!!」って感じがしてた。内容うんぬんの前にシチュエーションに満足していた。

「あしたのジョー」は、力石って人が減量中にリンゴ食べるところと、死んだときは実際にお葬式があったこと、さいごに真っ白に燃え尽きたのは知っている。さんざんパロディーにされたのを見てきた。

「あしたのジョー」のでかい一冊では、犯罪少年のジョーが少年院でリンチされてやり返して、まだジャブとストレートの本当に基礎の基礎しか知らない。ボクサーにもなっていない。

意外だったのが、丹下段平との「親子の話」でもあった。血は繋がってないが。

子供にもアル中ルンペンと馬鹿にされ、片目を失明した出っ歯でぼろぼろのおじさんが、ジョーの才能に惚れて、徹夜で工事現場で働いて拳闘をやらせようとする。

「きょう」生きることしか考えられない不良少年だけど、ジョーは本気になれば「あした」がつかめる。段平は何度も「あした」と繰り返す。

思いが伝わらず、少年院に送られたジョー。

そこに、ある日一枚のハガキが届く。

「あしたのために」と題された、ジャブのコツが段平のきたない字で書いてある。少年院の中の、さらに乱暴者を反省させるための一室に届いた、ショートメール以下の文字数のボクシング通信講座。

そこで初めてジャブの練習をして、一度も学校に通ったことのないジョーは
「ものを教わって、できなかったことができるようになるって経験は悪くないな」と、成長の喜びを知る。
そして少年院で一番強いライバル力石を倒すため、自分からハガキを書く。

「どかどかボクシング通信教育を送ってよこせ。」「俺はいま うえている。たのむぜおやじ」

天涯孤独、犯罪を繰り返して手の付けられない野良犬みたいなやつが、ルールのうえで強敵を倒したくて「たのむぜおやじ」と書いたハガキを少年院から出した。
おれの思いは伝わってたんだ!と段平のおっさんが泣いて、対面できるかもわからないのに、差し入れのメシを作ろうとする。すごくいいじゃないか。
正直勝ち負けとかどうでもいい気がしてきた。

このあと、マンモス西ってやつが減量中にうどん食って「うどん野郎」って呼ばれるんでしょ? どんぶりに顔をぶちこまれて鼻からうどんが出てるコマを実写版の映画で再現しているという、どうでもいい情報だけ耳に入ってきている。
漫画もアニメもしばらく離れていたけど、なんか楽しいな。

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。