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女性のストレスの原因!? 映画に登場する韓国の慣習や風習(映画『82年生まれ、キム・ジヨン』について#4)

『82年生まれ、キム・ジヨン』について4回目です。映画の中から、主人公ジヨン(チョン・ユミ)のある症状にまつわる、韓国の古くからの慣習や気になる事柄を紹介します。

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※写真は映画の公式HPから

韓国のお正月、お盆の風習
 韓国の2大名節、お正月と秋夕(チュソク、お盆)は旧暦で行います。その日になると多くの人が実家に帰省しますが、結婚をしている場合は先に夫の実家に行き、そのあと妻の実家に行くことが一般的です。夫の実家から妻の実家に行くタイミングは人それぞれです。

 映画で、お正月にジヨン夫婦が夫のデヒョン(コン・ユ)の実家に行っているシーンで、あとからデヒョンの姉夫婦が来ます。姉も夫の実家に行ってから自分の実家に来たことになります。こうしたタイミングで姑はお嫁さんも自分の実家に行かせることが多いように思いますが、デヒョンのお母さんは自分の娘が夫の実家で家事を手伝って疲れていることがわかるので、すぐにでも娘を休ませようとします。そしてジヨンにそのままもてなしを頼み、その瞬間、ジヨンに「憑依」の症状が出てくるのです。

 ジヨンのように妻が夫の実家で何もかも我慢して奉仕するのは、差はあるとは思いますが、80年代生まれより上の世代は大抵が経験しているような光景だと思います。今はそこまで我慢する人は少ないとはいえ、お正月やお盆に夫の実家で長期間滞在することは妻には大変なことです。伝統的な祭事の準備と、何人も集まる親戚のもてなし。最近はお正月やお盆休みには旅行に行く比率が年々上昇していますし、姑の嫁に対する意識もだいぶ変わってきているとは思いますが、韓国ではお正月やお盆のあとに離婚率が上がるという話もあるぐらいです。

法事
 韓国では家に仏壇はなく日常的に手を合わせることはありませんが、祖父母、両親の命日に毎年法事を行います。法事の伝統的な方式はありますが、最近は家庭によって規模を縮小したり、祖父母の法事は一緒にしたりすることも多いです。法事のため用意する料理も昔はすべて家で作りましたが、最近は専門のお店などで買う人が増えています。もちろん家庭によって差はありますし、宗教によって法事を行わない家庭も多いです。

結婚後の行事
 結婚した夫婦が実家に行く行事といえばお正月、お盆、法事、母・父の日(韓国では母と父の日が一緒)、両親の誕生日などがあります。法事を除いても夫と両実家のことを考えるとかなりの数になります。もちろん家庭によって実家に行かずに済むことも多く、行事の規模や形式も違いますが、いずれもお嫁さんにとって負担になるのは間違いないと思います。お母さん世代がお嫁さんのときはもっと厳しく大変だったので、それを引きついでいる姑もいると思います。

憑依
 憑依は一般的にあることではないので、日常で見る機会はありません。巫女が祈祷などの行事中、大きな刃物を持って踊ったりするのは、時代劇などのドラマや映画で見るくらいです。デヒョンがジヨンの憑依症状を心配して、会社の屋上で同僚に”友だちの妻のこと”だと言いながら憑依のことをさらりと聞いてみると、同僚は巫女を想像し、刃物を振り回すのではないか、怖いというシーンがあります。一般人が思う憑依はその程度で、身近に感じる症状ではないと思います。

マムチュン 맘충
「マム 맘」はママのことで「チュン 충」は「虫」を指しています。映画では育児をしている女性を指す言葉で使っていますが、本来の「マムチュン」は公共の施設などで子どもが周りに迷惑行為をしても注意せず、そのまま放置している母親、いわゆる「モンスターママ」を指す新造語です。


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