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どうだじゃ無くてどうぞ

はじめに言っておきたいのは、私は魚津市で1908年から続く、料理屋の5代目として跡を継ぐ、料理人という事です。

もう一つ言いたいのはドラマ「グランメゾン東京」がめちゃくちゃ面白いという事。料理人はもちろんそうで無い人にも沢山見て欲しい。めっちゃざっくり言うと、東京でミシュラン三ツ星を目指し突き進むレストランと料理人のドラマです。(ざっくりすぎてすいません)(ティーバーで見て下さい!)

料理人の夢、しがらみ、挫折、葛藤、プライド、奢り、原点、心情などが上手く表現されていて、正に「料理の今」を見ることが出来るのかなあと思います。

一方私は代々受け継いだ、大衆的な料理メニューや宴会などで運営する地方の店の後継。
ゆえの夢、しがらみ、挫折、葛藤、プライド、奢り、原点、心情。


【“護らないといけないもの”と“護りたいもの”】

語らずとも、跡を継ぐという事は大なり小なり悩みは有りますよね。この記事を読んでくれている方々で有れば理解してもらえると思うので詳しくは書きません。

僕もその一人です。夢があります。ただミシュラン三ツ星なんて言えない。だけど、グランメゾン東京にはめちゃくちゃ共感出来る。

まずは、なりたい自分の姿に向けて日々積み上げて行く事。次に、そこには切磋琢磨し、共有し、同じく高みを目指して行く仲間がいる事。そして、突きつけられる課題に向き合い、料理という手法を用いて解決して行く事。

東京を舞台に、オーセンティックではあるが食の最先端であり世界から注目されているカックイイ料理のレストラン「グランメゾン東京」(ドラマです)(料理の監修はあのカンテサンス、岸田シェフ)

一方、魚津という地方で大衆的な和食店「海風亭」名物はげんげの竜田揚げ。海鮮丼、ばい飯などの地方食材、食文化をシンプルかつお求め安い価格で提供するお店(現実です)

対極的な2つの店。だけど一番大切な物は同じ。目の前のお客様に美味しい料理を提供する為に全力を尽くすという事。あたり前ですが これが一番難しいと鈴木京香演じる倫子シェフも言ってました。

ただ大きく違う物は、“護らなければいけないもの”は彼らには元々無くて、“護りたいと思うもの”に没頭し、前を向けていると言う事。

まだまだ私はステージには立てていない。


【パンチライン刺さりました】

昨日はなんと先日の「chefs for the blue」の皆さんが来てくれて発信して下さった事がきっかけで東京より、自称食いしん坊のグルマンなお客様がおいで下さりました。深夜遅くまで話は弾みました。沢山の貴重なお話を聞けて、本当に感謝です。その方曰くリスペクトするシェフの言葉に

「どうだじゃなくてどうぞの心」

という言葉があり、名店と呼ばれるお店にはそういった心遣いが有ると。
めちゃめちゃ刺さりました。そして今日のグランメゾン東京もそんなエピソードでした。

【対極する2つの海風亭】

最近では、海風亭にも県外から私の哲学やガストロノミーに興味を持つお客様もお見えになる事が増えました。どうだってわけでは無いですが自分なりに郷土の食文化を研究し、その上で世界基準なクオリティを意識してクリエイトします。目指せグランメゾン。(写真は私のシグネチャーメニュー「かんざし爽秋ノ花嫁」)

一方で海風亭の経営を支えて下さっているのは普段使いして下さる地元のお客様や、食材に惹かれて富山に旅に来て海風亭に足を運んで頂けるお客様。やはり求める物は食材とかシュチュエーション。(写真はなんだかんだで一番刺さる海風亭の名物「げんげの竜田揚げ」)

海風亭は今、2つの顔がある。

同じく「対極する2つのともや」
グランメゾンともや(?)と海風亭ともや。

でもしかし、最近はこの2つのともやが仲良くなって来てる。上手く融合し完全体になろうとしている。

「どうだじゃ無くてどうぞの心」

この心を大切にお客様の求める物を聴いて、感じて、料理にして伝える+自分にしか作れない新しい郷土料理の創造。これを続ける事が完全体ともやになれる近道なのかなあと感じました。

だが現状の海風亭に関して言うと、残念だが完全体海風亭にはなれない。やはり、家族と仕事をするのは難しいですね。何がとは言いませんが察してください。だからこそ伝えられる事も有ると思っています。成長出来ている部分も多いです。特に不満は無いです。一生懸命サポートしてくれています。

今はまだ“護らないといけないもの”と向き合いながら成長します。

そしてそれが自立出来るようになった時

完全体となったともやが“護りたいもの”と向き合います。

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