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母とノンタンと私

ノンタン。

かの有名な白い少年猫の絵本は、実家の本棚に以前と変わらず並んでいた。長女である私が幼い頃から、母が少しずつ買い揃えたものだ。

ああ、前言撤回。よく目を凝らせば変化はあった。日に焼けていること、うっすらホコリをかぶっていること、落書きが増えていること、エトセトラ。

帰省の折に、母から「赤ちゃん版」の数冊を持たされた。孫ができたら渡そうと、ずーっと捨てずにとっておいたそうだ。

一番古いものは「にんにんにこにこ」で、背表紙はボロボロ、4きょうだいが遠慮なく読んだりぶん投げたりお城の建材にしたりしてきた歴史が滲んでいる。

ここであることに気づく。

作者 おおともさちこ

ん?キヨノサチコでなく?

以前、職場の関係でいただいたノンタンの絵本の作者は2008年に亡くなったキヨノサチコ氏であった。結婚して名前変わったのかな?

逆でした。

ググってみたらなんと、子供向け絵本には似つかわしくない、大人の事情が色々見えてきた。詳細は省くとして、要は権利問題なのだが、今回初めて知ったことだった。

ノンタンは発行当初、1995年に亡くなった元夫、大友康臣名義だった。その後、連名から大友幸子名義へと変わっていったという。ノンタンの作風に対する大友氏の影響云々については詳しく解説考察されている方が多いのでそちらを参照されたい。

ついでにメモっておくと、検索バーに「ノンタン」と打つと、予測ワードとして「ノンタン ワガママ」「ノンタン 嫌い」などと出てきた。結構アンチが多いことも今回初めて知った。

物を持たない主義が流行りの昨今、私も本はなるべく図書館で借りてきたが、今回のことは母が三十年も本を持ち続けていなければわからないことだった。(裁判決着以降、作者は一貫してキヨノサチコ表示なので)

物を長く持つのも、悪くないなぁと思う。

発行や権利のいきさつはどうあれ、私はノンタンが好きだ。

私が幼い頃好きだったものに、娘も触れてほしい。

彼女が気に入るかどうかは別だけども。

アンチが多くても気にしない。だってノンタンはやっちゃいけないことやってるもん、そりゃ子供に見せたくない人もいましょう。(一応、彼は自分の行動のせいで痛い目にあったりもしている)そんな時はノンタンと同じことしちゃダメって言えばいい。

これから先、娘と一緒にいられたとして18年。

そのうち朝から晩まで一緒にいられるのは育休中の2年間だけ。

一緒に本を読めるのも、一生のうちのほんのわずか。

この時間、大切にしていきたい。

そして、娘との時間と同じくらい、母との時間も大切にしていきたい。もちろん、夫や父やきょうだい達とも。

大切にしたい人がいるって幸せだなあ。

応援してくださるそのお気持ちだけで、十分ありがたいのです^_^