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婚活日誌 1人目 ドーナツの男

3月某日、私は新たにマッチングアプリを始めた。
過去にもアプリを利用したことはあり、そこからお付き合いも実現したこともある。そんな私の婚活日誌。リアルタイムの出会いを書いたり、過去の出会いを書いたりしていこうと思う。
なんにせよ毒舌な文章なので気に触ることがあるかもしれない。先に断りを入れておく。


ドーナツの彼は、年下だった。
やり取りが始まって間もなく、私たちは電話で会話することになった。彼は複数人とのやり取りを同時に進めることが苦手と言っていた。

電話をして、それからすぐに会うことになった。
ごはんの場所は当日決めることになった。
待ち合わせ時間の近くになると、「俺はいつ出発したらよいか?」と連絡がきた。
そんなことを聞かれるのは初めてだったので、知らんがなと思いつつも、準備ができたら出発すればよいのではないかと至極真っ当な返事をした。

初対面だったが、彼は鍋を食べたいといった。
とあるチェーン店のスープが仕切られている鍋を食べに行った。
彼と私はそれぞれのスープで鍋を食べた。
何が頼みたいのか一度も聞かれなかった。
気が付くと机には大量のマロニーと糸こんにゃくが置かれていた。彼の大好物らしい。しばらく経ってから、私がもう食べられないことを宣言すると、「じゃあ、これから自己中になって好きなモノを注文する」と言ってきた。いままでの注文方法でどこに人に気を遣う要素があったのかわからなかった。

会話は全然盛り上がらなかった。
ただひたすらに野菜とマロニーと糸こんにゃくとペラペラの肉を食べた。
私がデザートに杏仁豆腐を頼むと、「え、そんなまずいやつよく食えるな」と真っ向から否定してきた。杏仁豆腐に何か恨みでもあるのだろうか。
そんな彼は柑橘系のチーズケーキを頼んでいた。カチカチに凍っているチーズケーキと格闘している彼を、それ以上に冷めた目で見つめてしまった。

彼は友達のことをマブというらしい。
私はそんな言葉を使ったことがないし、言う人は周りにいなかった。
ジェネレーションギャップかなと言っていたが、今の若者は良く使う言葉なのだろうか。おばさんにはよく分からない、ご教示いただきたい。
そもそもマブってなんだ。マブダチのことか。マブしいのことなんだろうか。

2回目あったらもうマブだからと言っていた。
そういえば昔、
一度あったら友達さ、毎日会ったら兄弟さ
という歌があった気がする。
彼の中にはドレミファドーナツの心が深く根付いているんだなと思い、私はその夜そっと連絡先を消したのだった。


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