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【まとめ】SDGs気候変動・脱炭素関連ニュース(2021年1〜4月 )

2021年現在、SDGsという言葉はビジネス界隈ではすっかり浸透してきたように思います。気候変動や脱炭素などのキーワードは、テレビや一般的なニュースでも取り上げられる機会が増えてきており、米国がパリ協定の枠組みに復帰してリーダーシップを取ろうとしたり、4月には気候変動サミットで各国が目標をさらに高く設定するなど、動きも活発です。

これまで僕のnoteでも度々ニュースを取り上げてきましたが、このnoteではこれまでの情勢を少しおさらいした上で、主に2021年に入ってからの気候変動・脱炭素関連のニュースをまとめてみようと思います。

まずは用語の再確認

環境問題で使われる用語の意味を再確認してみました。

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SDGsとは何かについてはこちらを参照ください

トヨタの出しているメディアでも基礎知識を非常にわかりやすくまとめられていますのでこちらもぜひご参照ください

2021年4月 気候変動サミットでの各国の提言

2016年に発行されたパリ協定に基づき、気候変動サミットが4/22に行われました。そもそもパリ協定は、温室効果ガスによって温暖化が進んでいるという前提で、以下の目標を設定しています。

世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。
主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。

詳しくはこのページへ。SDGsのゴール13に該当します。

4/22に開催された気候変動サミットで宣言された各国の目標を基準年を2005年に揃えると以下の通り。

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各国とも2005年比で現在までに大きく削減している国はない上に、2030年まで10年弱なので、かなりのペースで対策を打つ必要があります。

火力発電を減らし、再エネを増やしていくのが基本路線だが、EUは原発に頼る公算が大きいです。一方日本は原発事故の影響で運転を再開できない見込みが高いので、かなり苦しい状況です。

米国は、トランプ政権の時に一度パリ協定から抜けましたが、バイデン政権になって復帰し、かつリーダーシップを取ろうとかなり高い目標を掲げています。

経済成長著しい中国については、数値のコミットメントは避け以下のようなコメントにとどまりました。

・ 2025年までに石炭の消費増加を徹底的に抑え、2025年からはピークアウトする
・昨年宣言した2060年のカーボンニュートラルをきちんと達成する
・すでに産業化を終えた西洋諸国が、素早く削減を実施する歴史的責任がある
・アメリカを含む、国際コミュニティと取り組むことを歓迎している

このほか、インドも削減目標は示さず、ロシアのプーチン大統領も「2050年までにネット排出量を徹底して引き下げる」と強調しただけだったとのことです。

日本における気候変動対策の状況

日本はEUや中国に比べて、環境対策については遅れている状況です。一つには東日本震災時の原発事故がきっかけで原発再稼働が遅れ、火力発電を増やしたことが重しになっていたり、文化的に政府が大きな目標を掲げにくいと言われたりもしています。

そんな中、2020年10月に菅首相が所信表明演説の中で2050年に温室効果ガス排出量をゼロにする(=カーボンニュートラル)と宣言したことで大きくニュースになりました。
12月には小池都知事が2030年にガソリンだけを動力源とする新車販売を禁止にすると宣言したこともかなり話題になりました。

これには世界の情勢も影響しています。各国で2030年までにEVへの移行時期を表明したり、自動車メーカーもEVシフトを宣言するようなニュースがこの半年で相次いだため、日本もそれに遅れまいと各組織、企業が宣言することでESG投資への説明をせざるを得ない状況になってきています。

以下は、NewsPicksの有料記事になるが、連載で非常にわかりやすくまとめられているので紹介します。


世界で注目されるESG投資とは?

上記の通り、気候変動サミットのニュースが大きく取り上げられましたが、それ以前からビジネス界では環境問題への注目は集まっています。

ある企業がどれだけ環境に考慮して事業を行なっているかを評価する機関も存在し、投資家はそれを投資判断要素としてみるようになっています。巨額の投資マネーを持っている世界の年金基金がESG投資を方針に組み込んでいることも影響が大きいです。

企業側としてもESGの取り組みを発表することでブランディングや投資家へのアピールになって株価が上がるという点もあり、積極的に取り組みおよび情報発信をせざるを得ない状況になってきています。


以下、NewsPicksの有料まとめ記事に詳しく書かれています。


B Corpは15年前から、環境・社会に配慮した事業を行い、透明性や説明責任などにおける最も高い基準を満たした企業に認証を行う会社で、欧米で関心が高まっている。B Corp認証を受けると、端的に言えば良い会社であるとお墨付きがもらえることになります。
世界で約4000社が認証を受けているが、日本は立ったの6社。
B Corp認証を受けるとブランディングに良い影響がある他、ESG投資の流れの中で有利になり、環境問題への感度の高いミレニアル世代に共感を得られやすく採用にも好影響があるとのことです。


世界に影響の大きいGAFAMの取り組み

2021年に発表されたわけではないが、世界中の企業に対して影響の大きいGAFAMの取り組みを簡単におさらいします。詳しくは各HPへ飛んでいただきたい。

Apple
2030年までにサプライチェーンまで含めたカーボンニュートラルの達成

Google
2030 年までに 24 時間 365 日カーボンフリー エネルギーで事業を運営する

Microsoft
2030 年までにカーボンネガティブ達成、そして 2050 年までに、マイクロソフトが創業した 1975 年以来直接排出してきた炭素や、電気の使用によって排出した炭素のすべてを環境から除去することも表明しています。

Amazon
二酸化炭素ネット排出量を2040年までにゼロにする自主的誓約「Climate Pledge」に署名、加盟企業は105社

Facebook
2030年までにカーボンニュートラル達成、100%再生可能エネルギーを利用

ということでGAFAMは概ね2030年までにカーボンニュートラルを目指しています。Amazonは倉庫業務がある分、他企業より難易度が高く、取り組みも遅めでしたが、倉庫の自動化やトラックの自動化、ZOOXなどにも出資しており、高い目標を掲げています。

いずれにしろ世界中にデータセンターや生産工場などがあるので、カーボンニュートラルを達成するにはいろんな企業に影響が波及することと思います。


2021年1〜4月 脱炭素系ニュースまとめ

各国のエネルギー政策に最も影響を受け、注目を浴びているのが自動車業界です。EVや自動運転については非常にニュースが多いため、別記事でまとめます。

以下はそれ以外に僕がPickしたものをご紹介します。

「脱炭素社会」実現に向け全国120大学や研究機関が新組織

脱炭素社会を実現するにはあらゆる分野で相当のイノベーションが必要になるので、大学や研究機関の連携が必要になるので、当然の動きだとは思いますが、実際にどうやって連携するのか、実現性がちょっと疑問ではあります。

脱炭素時代の新燃料 アンモニアの安定確保へUAEと連携

天然ガスなどから製造されるアンモニアは燃焼しても二酸化炭素を排出しないことから、政府は火力発電の燃料などとして導入を拡大する方針。安定的な確保や実用化に向けた技術革新が課題となっているため、UAEと連携をとっていくとのこと。古くから活用されているアンモニアですが、火力発電に使われる余地があるとは知りませんでした。

ブロックチェーンで進化する「J-クレジット制度」―“脱炭素”化社会の実現のカギ

J-クレジット制度とは、「削減・吸収できた温室効果ガスの量」という目に見えない価値を「クレジット」として可視化し、売買できるようにした制度のこと。2022年にブロックチェーンを活用した信頼性が高く、申請手続き・取引などが自動化された取引市場を作る方針とのこと。

脱炭素の電力普及へ 1000億円規模のファンド設立 三菱UFJ銀行

【超図解】3分でわかる商社の脱炭素包囲網

NewsPicks有料記事。今まで海外に火力発電所を作るなど、石油などの資源採掘や発電事業などに強みを持っていた総合商社が、SGを意識した事業構造転換を迫られており、水素・アンモニア、再エネ事業を拡大する方向で舵を切っているとのこと。

日航、国内全線で代替燃料に 40年以降、脱炭素へ具体策

ANA、CO2実質ゼロ目標 50年度、廃油の再生燃料活用

コロナ禍で苦しい航空業界も取り組みを発表しないといけないぐらい周りの目は厳しくなっています。むしろ期待を持ってもらうために発表したのかもしれません。

パナソニック、水素で発電する純水素型燃料電池を10月発売--脱炭素社会へ

ユーグレナ、バイオジェット燃料「完成」を発表…年内に商業フライト実現へ

以前からユーグレナの肝入り事業として期待されていたバイオジェット燃料がついに完成したとのこと。航空業界と組んで、活躍するとよいなと思います。

エプソン、ユーグレナ、NECがバイオマスプラスチック推進でコンソーシアム設立。2030年までに20万トン供給へ

バイオプラスチックをミドリムシから作れるようになるとは思っていませんでしたが、ドローンの羽に使えるぐらい強度を出せるとのことで、かなり期待大。

いま「キノコ」がすごい グリーンな建築、ファッション、食の原料に

「省エネ・脱炭素・電気代削減 カオスマップ・業界地図」が公開


まとめ

対策が遅れていると言われた日本でも、菅首相の宣言以降はかなり風向きが変わりました。2030年の目標実現に向けて、あらゆるレイヤーで議論が始まっており、国際社会の目も厳しくなってきています。

ここまでで取り上げたニュースでは割とビジネス寄りの記事が多かったですが、昨年始まったスーパーやコンビニでのレジ袋有料化や、カフェでのプラストローの紙化のような、身の回りの変化も今後も出てくるでしょう。


最後に、先日、動画配信サービスApple TV+で見た「その年、地球が変わった」という作品が非常に興味深かったのでご紹介します。

コロナ禍で人の移動が大幅に減ったことで、二酸化排出量が減り、騒音も減り、結果的に自然が回復したというドキュメンタリーを非常に美しい映像でまとめられていて、一見の価値ありです。

その年、地球が変わった




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