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100年先、1000年先に残るものをつくりたい 書家・アーティストとして活躍中の伊藤潤一さん


癒し・祈り・解放をテーマにし、和の精神、日本文化の探求を軸に、寺社仏閣への奉納を通し、世界に日本文化と思想を発信している書家の伊藤潤一さんにお話を伺いました。

伊藤潤一さんプロフィール
出身地:三重県北牟婁郡
活動地域:三重県を中心に全国で活動
経歴:2007年3月、一人の書家との出逢いをきっかけに、筆と墨を使った表現活動を始める。ストリート時代を経て、現在では創作活動をはじめ、店舗看板やパッケージデザインなども数多く手掛け、他ジャンルとのコラボレーション、ライブパフォーマンス、トークライブ、個展などカタチに捉われないスタイルで活動を展開。2013 年からは活動の舞台を海外にも広げ、国境を越えた文化の力を発信中。フランス、イタリア、スイス、台湾など、世界主要都市にも実績があり、台湾では世界三大博物館のひとつ「國立故宮博物院」より、日本人で初めて国際正会員として認定される。その後、2015年開催のイタリア・ミラノ国際博覧会へも参加し、2016 年には主要国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)配偶者プログラムにてディナー会場の演出も手掛ける。2017年、F1日本GP公式タイトルロゴデザイン担当。
2018年には民間最高の褒賞と言われる東久邇宮文化褒賞を受賞。
現在の職業および経歴:書家・アーティスト
故宮博物院国際正会員 / みえの文化びと登録 / 三重県文化新人賞 受賞 /東久邇宮文化褒賞 受賞
座右の銘:一心不乱

「なくなっていくものを守りたい、なくならないものをつくりたい」

Q:どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍につながっていると思いますか?

伊藤潤一さん(以下、伊藤 敬称略):
一番大きいのは2011年、東日本大震災をきっかけに「なくなっていくものを守りたいとか、なくならないものをつくりたい」っていう意識が一番大きいと思っているんですよ。そして、2015年に僕、本を書いて、12月に本を出版しているんですけど、自分の思いを一つ形にしたことも大きくて、実際に震災以降感じてきたモヤモヤとして言葉にならなかったものを言葉に変えて書けたことをきっかけに、自分に対しても自己解放やったかなって、言葉にすることで自分の心が解されたし、そのことでいろんなことが流れるように巡ってきたというかそんな気はしています。

記者:逆に苦労したところはありますか?

伊藤:最近なんですよ。世間が求めてくれるものが大きくなりすぎて、世間が見ている伊藤潤一というものと自分自身が知っている伊藤潤一というもののギャップが激しいです。世間がこれ位出来るやろ、これ当たり前やろって思っていることが自分にとってはハードルが高かったりとか、今それを超えるのに必死です。

記者:それは例えばどんなことですか?技術的なものなのか、または別のことなのか?

伊藤:技術的なことは自分の中では大きいんですけど、求めてくれる側からいうと、例えばミラノ万博をやったとか、伊勢志摩サミットをやったとか、F1デザインしたとかいう結果だけをみて、それやったらこれできるよねとか言われますが、その三つは僕は技術でとったわけではなくて、運であったりとか、運に巡ってくる縁であったりだとか、良いものを伝えて出してきた結果なので、結果だけを見て頼まれる仕事が今苦しかったりしています。


AIに作れないものが、人間や自分の中にある

Q:AIが活躍する時代に求められるニーズとは何だと思いますか?

伊藤:いろんな分野であると思うんですけど、結局、人が作り出したものに勝てるものはないと思っているんですよ。人が作り出すものなんて自然には勝てないと思うし、例えば誰かがとても美しい絵を描くとするじゃないですか、でもその絵よりもやっぱり自然の方が強いんですよ。そんな絵を何十万とか何十億とかで買うのであれば自然を見た方がいいかもと僕は思うんです。

 それと一緒でAIに作れないものが、人間や自分の中にあると思っています。いろんな所で今、AIを使った書道の実験をしてる所があって、AIに書道を何万文字もずっと叩き込んでいって、そのAIが動きを覚えて、筆の強弱とかいろんなものを組み合わせて文字を書けるように研究しているんですよ。
それを見せてもらったんですけど、機械なので確かに美しくは書ける。けど、その書いた文字なんか違うなと思うんです。やっぱり、人の手が加わるだけで全然違うし、AIの時代になって、例えば、AIが書道をやるとしたら、その時代だからこそ、人が作るものに価値が上がっていくと思うし、その為に今は”書”っていうものが続いていく環境を作っていきたいですね。

 例えばAIが30年後50年後に書道ができるようになったとして、その時に書道という環境がなかったら書道=AIになるじゃないですか。やっぱりそこに人間が関わっている環境は残していきたいですね。勝てない部分も多いと思うんですけど、どれだけ機械が心を持ったとしても人間には勝てないと思うし、なんかその辺を忘れずにいる為に、何十年、100年1000年後に残るものをつくっていきます

自然に感謝すること、一番の原点は自然

Q:どんな美しい時代をつくっていきたいですか?

伊藤:今、多分、時代的に日本がずっと守ってきたものがだんだん日本になくなってきていて、それは日本だけじゃなくて世界中であったものがなくなってきていると思うんですよ。それが何かって言った時に自然に感謝することであったりとか、やっぱり一番の原点は自然だと思うんですよ。

 自然にどれだけ感謝出来るかっていう所、だから美しい景色って、僕が世の中で一番美しいと思う景色があって、それは人が胸の前で手を合わせる姿、それが一番美しいと思っています。だから、人がしっかり手を合わせて何かに思いをはせれるっていう、それが当たり前の世界にしたいです。特別なことではなく、なんか宗教とか特別なものではなく、人間の中にある当たり前の動きとして、人間だったら当たり前のこととして、手を合わせるということを出来る時代にしていきたいと思います。
そういう光景をつくりたいと思って大勢の前でパフォーマンスをやってます!

自分を知ること、自分の国を知ることから始めたい

Q:今の時代を生きる人達に向けてメッセージはありますか?
美しい生き方が始められる何かヒントになるようなメッセージをお願いします。

伊藤:それはやっぱり自分達の国を知ることです。
自分達の国をもっと知って欲しい。海外に行って自分の国を語れない外国人に僕、会わないんですよ。皆、自分の国のことを語ってくれます。絶対に語った後に人の国を知ろうとする。だから僕らはたぶん相手を知ることから始まっているんですよね。相手を知ろう相手を知ろうって、例えばビジネスで商談する時に相手を知ろうってなんか譲り合うじゃないけど、相手を知ることから始まるんですけど、僕はやっぱり内を知ることから始めていきたい。自分を知ることから自分の国を知ることからって思った時に今、美しい世の中を作っていく為に、まず日本を知って欲しいです。皆で日本ってここが美しいよねって、日本のこういうところが美しいねと見えるから、それを皆で守っていくような、そんな動きになったらいいなと思いますね。

記者:本日は貴重な時間をいただきありがとうございました。今後のご活躍も応援しています!

伊藤潤一さんの情報はこちら↓↓

HP:http://www.itojunichi.com
FB:https://www.facebook.com/junichi.ito.52

編集後記
今回、インタビューの記者を担当した南出と龍飛です。
伊藤さんは今年11月に東久邇宮文化褒賞を受賞されたましたが、推薦状をいただく前から「この賞を今年とる!」とお知り合いに言っていたところ、その5日後には推薦状が届いたそうです。伊藤さんのエネルギーや強い思いや感謝の心は一貫性があり、それが真っ直ぐとつながって現実をつくっているんだなと感じました。人とのつながり、ご縁を大事にしているからこそ、今のご活躍があるということ、とても学びになりました。これからのご活躍も楽しみです。


この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36


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