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とし総子
2023年7月21日 11:10
あたしがあの男に出会ったのは偶然だった。初っ端などは、なんて小汚い毛皮だろうと身震いした。それが何を間違えたのか、あたしはあの男から目が離せなくなっていた。それはあれが全く動いていないように見えたからかも知れない。そう、全く動かなかったのだ。胸の上下さえ見えていたら、うっかり近づくこともなかっただろう。高みの見物を決め込んで、黒い奴らが集団でやってくるのを待ったかもしれない。それともすぐに興味を