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機械学習・量子コンピュータによる俳句、川柳、短歌の生成についての一考察

575、57577

 日本人なら、なじみのあるテンポであろう。
俳句、川柳、短歌が上手な人の作品(過去を多く含む)は素晴らしいことに反論の余地は無いであろう。
 ではコンピュータが作った作品はどうであろうか?
 話を簡単にするために5、7、5のテンポだけにする。字足らず、字余りなどは考慮しない。
また、用いられる音はひらがなだけとし、濁点、半濁点は考慮せず50個と仮定する。
 では上の条件で何通りの作品があるか?
単純計算で「50の5乗」かける「50の7乗」かける「50の5乗」つまり50の17乗である。概算で7.6293945e+28である。膨大である。
「んんんんん、んんんんんんん、んんんんん」という極端な例もあるが、これもある状態の川柳ならばあり得ないくも無いだろう(巧拙の評価はここではしない)。

普通に生成させたら、PCではかなり大変である。
だが、一文字の欄に「X」という状態の文字にする。この「X」は50文字全ての情報を持つとする。簡単に言えば、50文字を一カ所に重ね書きしたものである。複数の状態を同時に持つ。
 そう、(理論上の)量子コンピュータの得意分野である。力業で全通りの5、7,5のテンポから得られる可能性がある。

名作・迷作

 しかし、訳の分からない文字列が大半であろう。いや、この膨大な量のテンポから意味のある575を探し出す方が無理に近い。もちろん理論上は、条件を満たした上で、名作もあるはずである。過去の名作もあれば、新規の名作もあろう。なぜなら全通りあるのだから(ひらがなだけれど)。

効率的

 なので、駄作と言われても意味が通る575を一から作るのは人間の方が強い、と思われるか?
 いや、そうとも断言できない。
 単語や「てにをは」などを考慮した機械学習を考える。単語を並べて適切な部分を補えばある程度意味が通る575は作れるだろう。そう、効率が圧倒的に良い。力業よりも遙かに効率良く意味のある575が生成できるのだ。


人間の方が優位か?

 人間の補助ツールとしてコンピュータを使うとどうなるか? すでに季語の辞典は電子辞書として存在している。これはすこぶる便利である。またインターネット上にも季語辞典は存在している。だが、これらを使っても最終的には人間の判断・表現で巧拙が生まれる。


結論

 多分、私が575を作るよりも、上手に仕組まれた機械学習の方が良い575が作れるであろう。0から始めれば、人間の私の方が早く意味の通る575ができるであろう。57577も同様である。
 しかし、学習された機械学習は、凡人の駄作よりも圧倒的に良い575を作ってくれると思う。
 57577はさすがにPCベースではキツいので試してはいないが、感触としては575で縛りを厳しくすれば、なんとかなりそうである。
 量子コンピュータの力業よりも機械学習の方が圧倒的に効率が良いだろう。仮に量子コンピュータが一気に全ての組み合わせを生成しても調査(評価)することは量子コンピュータでは(今は作るだけに特化した話なので)できない。
 機械学習の強化学習で教師(生身の俳諧の達人)がいればスゴそうだが、人間が介在すると圧倒的に学習スピードが落ちてダメであろう。
 なので、コンピュータの力を借りつつ、感性豊かな人間が作った方が、早く良い作品ができそうである。
 まあ、コンピュータの性能や機械学習のブレイクスルーが何か起きれば話は別だが。

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