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本当は怖い「早期卒業制度・飛び級制度」

 新年度、進級された方も沢山いらっしゃるでしょう。おめでとうございます。
 特に新大学生の方にお伝えしたい情報があるのでここに記します。

姉妹編として「本当に素晴らしい「早期卒業制度・飛び級制度」 」も合わせてご覧下さい。
追記:姉妹編が本編です。勘違いされる方が非常に多いのでこの注意書きを追加しました。(2021年2月19日)

早期卒業や飛び級を勧めない7つの理由

 早期卒業制度・飛び級制度をご存じだろうか。特定の要件を満たせば上の学校に行ける制度だ。日本では1997年から飛び級制度が導入された。高校に3年間通わなくても、大学に入学出来る制度だ。
 多くの大学でも早期卒業制度が導入されている。
 一見、メリットがあってチャレンジしたい人もいらっしゃるだろう。
 しかし、早期卒業をした経験からこの制度のデメリットを挙げていく。

早期卒業や飛び級を勧めない理由その1

 飛び級は中退扱いになる。
 例えば、高校2年生が大学に飛び級をしたとしよう。そうすると、その人は高校中退となり、大学生となる。無事に大学を卒業すれば大学卒業の肩書きを得られるが、何らかの事情で大学を卒業出来なかった場合、最終学歴は大学中退、もしくは中学校卒業となる。中途退学が書けない書類だと、最終学歴が中学校卒業になってしまう。高校で飛び級をする人は優秀であるはずにもかかわらず、何らかの事情で大学卒業が出来なかった場合、中卒になってしまうのだ。高校と大学を飛び級で出て大学院に行き、大学院を中退すると中卒になってしまう。
 「高校飛び級したのに中卒」ということが起きうるのだ。

早期卒業や飛び級を勧めない理由その2

 守りに入ってしまう。
 大学等での早期卒業や飛び級には、GP、GPA、秀・優・良・可・不可、S・A・B・C・D等の評価の内、定められた成績を残さないといけない。私が早期卒業した大学の要件は「所定の単位を取り、その評価のSまたはAの割合が85%以上」であった。幸いにも1年次の前期の成績評価時に指導教授から「早期卒業を狙えるぞ」と言われたので計画を練って履修科目を選んだ。
 だが、面白みが無い。必修科目と選択科目は全部取るのが当たり前だが、教養科目についてはかなり選んでしまった。本音を言うと楽な科目ばかり取ってしまった。シラバスを見てSとAの認定の基準が明確な科目を選んだ。点数で決める科目は良く取ったが、評価を全体の割合で決める(例えば、上位10%がA)科目は敬遠した。また、どんなに頑張ってもAまでしか取れない科目は(担当教官の信念らしいが)、Aを逃すとBになってしまう。SとAの割合が下がってしまうと早期卒業が厳しくなる。
 また、興味本位での履修登録も敬遠してしまった。
 つまり教養が乏しくなりがちなのである。

早期卒業や飛び級を勧めない理由その3

 情報が少ない。
 これに尽きる。
 実際に会える先輩に早期卒業経験者が居る可能性は極めて少ない。大学在学中で早期卒業経験者など居るわけが無い。チャレンジして失敗した人は居る可能性はあるけれど、その人は失敗しているのだ。所属する研究室の大学院生の中に居る場合もあるが、圧倒的に少数である。そこから早期卒業に関する情報を聞ける機会は少ないだろう。
 大学の学生課なども、わざわざ1人のために何か助けをしてくれるわけも無い。毎日朝晩、掲示板を見るしか無いのだ。

早期卒業や飛び級を勧めない理由その4

 物理的に時間が足りない。
 3年間で4年間の全ての必修科目と選択科目を取らないとならない。大学には時間割というモノは無い、と仰る人も居る。
 しかし、3年生の科目と4年生の科目は開講時間の兼ね合いがある。必修科目では重なることは幸い無かったが、2つの選択科目で物理的に分身をしないと解決しない状況に陥った。担当教官に直談判してレポートでなんとかして貰えたが、担当教官次第では物理的に分身の術が必要になるのである。
 もちろん、SかAを取る必要があったので、勉強時間は増したが、それは個人の努力次第である。しかし、3年生の講義+4年生の講義+卒業研究である。人によっては就職活動や大学院入試の勉強も必要になるので結構ハードモードである、

早期卒業や飛び級を勧めない理由その5

 同期の友人が居なくなる。
 文字通りである。3年生までは良いが、早期卒業したら、周りは以前の先輩だけである。そして研究室に来る4年生の元同期は下級生になっている。
 もともと私はぼっちだったが、結構堪えた。卒業年次も違うので大学主催のイベントでも会えない。

早期卒業や飛び級を勧めない理由その6

 周りからのプレッシャーが半端ではない。
 早期卒業チャレンジの許可が2年生の終わりに出ると、とりあえず色々な所に呼び出される。心から余裕が無くなる。結構、辛い。無事に卒業しても、かなりの成果を上げることが期待される。かなり辛い。

早期卒業や飛び級を勧めない理由その7

書類や就職活動が面倒になる。
 就職活動が有利になると思われる人も多いかも知れない。だが、現実は厳しい。
 まず、認知度が低い。
 そして書類が面倒になる。「~大学卒業」と書く欄に「~大学早期卒業」と書きたい。しかし、ご丁寧に「~大学卒業」と予め書かれている書類が多い。訂正するのもアレなので入学年と卒業年を正直に書くと面倒が起きる。
 親切な相手なら「数字が間違っているよ?」と伝えてくれるので、その際に早期卒業の説明をすると納得してくれる。
 しかし、そんな親切な相手など滅多に居ない。書類の不備扱いで返送されてくるか、大抵が音沙汰無しである。お祈りすら来ない。WEBのエントリーシートなどでは、正しい卒業年の選択すら出来ないのである。

結論

 早期卒業や飛び級のメリットは多い。それは別の機会に記す。
 しかし、デメリットも多いことを周知したい。
 普通の生活をしたければ、普通に卒業するのがベストである。
 人と違う生き方をしたい人には一考の余地があるシステムではある。

読んでくださってありがとうございます。暖かいご支援は、主に資料代に充当させていただきます。