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あいさつの魔法

「あいさつは大事」とよく言われる。
学校で「朝のあいさつ運動」をやったり、社会人になれば「新入社員の基本はあいさつ」と言われたりする。

しかし「あいさつはなぜ大事なのか」を説明できる人は少ない。

そんな「あいさつは大事だとわかっているし、一応してはいるけれど、できていないときもあるかも…」な私に、気づきをくれる出会いがあった。

それは、職場のAさん(女性・30代)。
彼女のあいさつは明るくて元気がいい。
職員室に入ったらまずドアの前で「おはようございます」。
職員室内ですれ違う人に「おはようございます」。
自席の近くの人に個別で「おはようございます」。

わたしは最初「Aさんは、どうして何度もあいさつするんだろう」と思っていた。
「あいさつなんて入り口で一回すればいいじゃないか」「朝からうるさいな…」と、正直疎ましく思っていた。

でも、Aさんをよくみていると、職場の同僚と会話が弾んでいることに気づいた。
勤務年数が長いから?
それだけじゃない。
同僚と毎日あいさつを交わしているから、話しかけやすい・話しかけられやすいのだ。

「武器としての組織心理学」という本に、「チームの温度差を埋めるためには、あいさつをすることが有効」と書かれていた。

ある会社には2つの工場があり、それぞれ100人ほどの社員が働いています。
一つの工場では、メンタルの不調を訴える社員が複数人出ているのに対して、もう一つの工場では、そのような社員は1人もいないというのです。
この違いは何によるものでしょうか。
人事部の担当者によると、メンタルの不調を訴える社員がいない工場では、工場長が、毎朝、社員一人ひとりに声をかけているのだそうです。

自分に向けられた「お疲れ様」の声かけは、声をかけてくれたその相手とつながっている感覚を与えてくれます。
チームに受け入れられていることを感じ取れる瞬間なのです。


面倒で、ちょっとくらいいい加減に扱ってもよさそうなことこそを丁寧に扱う心のゆとりを生み出せるようになったとき、組織の中で何かが動き出すのだろうと思います。

Aさんとの出会いで、私のあいさつへの意識が変わった。
いまは「1人でも多くの人とあいさつを交わそう」と思って校内を歩いている。

「おはようございます」「こんにちは」「お疲れ様です」「お先に失礼します」…。

誰もが口にしている言葉を、誰よりも明るく元気よく。
ほんの少しの心がけで、毎日のあいさつが、心の距離を近づける「魔法の言葉」になっていく。


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