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慰労金のオンライン申請をして見えたもの

書類を持ってきた先輩が言いました。
「院長がね、慰労金の申請をオンラインでやってみてって言うんだけど、私じゃよくわからなくて。見てみてくれる?」
結局、ものの数分でできたんですけど、書類などを見て、「あーこりゃわかんねーのも当然だわw」という気分になりました。

そもそも慰労金って何?

『新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金』っていうのが正式な名称なのかな? どうやら私のような病院の受付事務でも、5万円、いただけるそうです。申請のためのマニュアルはこちら。

39ページもあります!(笑)ざっくりまとめると、申請事項を記入するExcelファイルをDLして、それをサイトから送信する…オンライン申請なら、これで事足りると思います。他に、紙やCD-ROMでの提出だったり、そもそも申請できる対象の説明、Excelへの記入方法なんかもあるので、まあそれなりのページ数は必要だとは思うんですけど、それにしても39ページ。えー、って感じです。

私たちに渡されたもの

その書類の束の中身とは。
・送るはずのExcelデータを印刷した用紙5枚
・マニュアルの34-39ページ
もうなんか、その印刷されたExcelデータを郵送するのがいちばん早いんじゃないの?と思うんですけど、これがまた違うんですよ。電話して聞いたら「それはあくまで電子申請用で、用紙での請求の場合はまた別のものがあるんです」だって。どーせ必要なデータは同じでしょうに! まずここでびっくり。オンライン関係ないところでびっくり(笑)。
話に戻って。先輩にマニュアルの部分を見せてもらいました。必要なのはこれだけ。

申請画面にアクセスしていただき、「2.5 提出用ファイルの出力」にて出力された提出用のファイルを取り込んでください。

…大方の人は、まあそうだよねと思ってくれるんじゃないでしょうか…。私も想像した通りでした。WEBフォームに記入するかデータシート落として必要事項入れたファイル作るかして、それを送信するだけで済むんだろう、と思ってたので。ただ、そのExcelデータは今、私の目の前で紙の状態で存在しています。ここまでは院長が頑張ってくれたのね、うむ。院長はそこそこデジタル方面にも手を出す方です。Googleツールとかもそこそこわかるし、Evernoteあたりも使っている模様。ただ、資料の読みがちょっと足りなかった、惜しいっ。ここで今までの私だったらメールでもらえば…となりますが、この職場ではそうはいかない。なぜなら、今回の申請に使うサイトは電子カルテ…電カルの入っているPCのデスクトップから行くのが最速だから。電カルが入っているPCは、ネット接続できるところが決まっているんです。普通にYahoo!とかGoogleとか、閲覧できません。当然、メールもできません。そこで私が普段、持ち歩いているものが、USBです。これがないと、こういうとき困っちゃうから。院長、このUSBにさっきの申請資料のExcelデータください。
「え? あの印刷したのをスキャンして送ればいいとかじゃないの?」
ちがーう! そこはマニュアルに書いてあるからちゃんと読めばわかるでしょー!(笑)

どこから送信すればいいんだ…

さて、データが手元に来ました。どこから送信するかというと、毎月、国民健康保険などに診療報酬を請求する(『レセプト送信』なんて言います)ために使うサイトです。先ほどもちらっと書きましたが、ここへの入り口は、電カルの入っているPCのデスクトップにありました。私はまだこの業務に深くかかわっていないので、ここは先輩の助けが必要です。そのサイトにログインしてもらい、トップページを見ました。…申請ボタン、どこやねん。
こういう慰労金の申請って、そんなにしょっちゅうあるものでもないだろうから、トップにわかりやすく「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金の申請はこちらから!」みたいな表示があると思っていた私がバカでした。んなもの、どこにもない。トップページにつらつらと慰労金申請の注意事項や更新状況は書いてあるものの、申請ボタンがぱっと判別できない。その注意事項も、こんな表示にはなってるんですよ。
▶○○○○
でもね、○○○○の部分にカーソル持って行っても、何も変わらないんです。▶にカーソル当てないと内容が開かない(笑)。なんかもう、軽い絶望感。
で、肝心の申請ボタンは、左カラムにずらっと並んだボタンの下のほうにありました。目立つようになっているわけでもなく、ひっそりと。押してみると、データの取り込み画面が出現。そこから送信しました。まあここでも、普通は「送信を受け付けました」みたいなメールが届くのにとか思っちゃうんですが、先ほどもつらつら書いたように、メールの送受信ができないようになっているPCです。そんなものは来ません。まあ、送信完了確認ができる画面があるにはありましたが。
あ、それから院長が持っていたExcelデータの元。この送信のために使ったサイトからDLするんだろうと思ってたら、これはまた違うところから落としてくるんですって。なんじゃそりゃ。わかりにくい。なんでそんなあっちもこっちもアクセスしなきゃならんのだ…。

「あーこりゃわかんねーのも当然だわw」はどこから来るのか

・そもそもスタッフが、ネットで何かするということに慣れていない。
…これはある意味、仕方ないのかもしれません。だって今まで誰もそうしようとしてこなかったんだから。そして、しようと思っても多分、どこから手を付ければいいのかもわからないし、「できなかったら、間違ったら、何かが壊れてしまったら、どうしたらいいんだろう」という恐怖感が付きまとうんだと思います。そこを踏み越えてまでデジタルでしなくても、アナログな方法でしたほうがわかるし安心だし早い。そういう意識って、なかなか吹っ切れませんよね。さらに、スマホでなんでもできちゃうから家でPCなんて開かないし、そもそもPC使わなきゃいけないようなことがない生活スタイルなんじゃないかなっていうことも、想像できます。
・マニュアルがわかりにくいし、量が多い。
・同じデータが揃えばできるはずなのに、電子申請と紙の申請でフォームが別。
・申請用フォームのDLと送信画面が同じサイトにない。
…今までの歴史がこうさせてるのかもしれませんが、なんでこんななんだろ、と感じてしまうのです。こんな中で迅速にデジタル化なんてしていけるのかしら。

心に残る「なんだかなぁ…」

ちょいと前、PCR検査の集計をするためにFAXを送って云々みたいな話、ありましたよね。今時FAXなんて、メールで送ればいいじゃん、って思いますよ、普通。でも、今の私にはわかります。紙のほうが早い。だって、こんな感じですもん。まず、古株のスタッフはメールやらオンラインやらに慣れていない。そしてメールを送るためにはおそらく「メールが送れるPC」を開かなければならない。だったら、手の届く距離に紙のフォームがあって、そこに書いてFAXするほうがずっと早いでしょ。
かと思うと、先日、こんなニュースがありました。

電カル入りのPCでネット閲覧もできないのに、どうやってデータを集めるんだろう。できるとしてもオンタイムじゃなくて「閲覧できるデータは3ヶ月前の分からです」とかなんじゃないかしら、だとしたらあんまり意味ないんじゃない?とか、勝手に推測してしまいます。

以上、オンライン請求から見えたものでした。うちのような小さなクリニックと大病院では、まただいぶ、状況が違うのでしょうが。

皆さんの『スキ』や『サポート』が、私とこのアカウントを育ててくれる源になると感じています。よろしくお願いいたします。