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詩「記憶は記憶以上になって」

シャボン玉を飛ばそう 生協の二階に百均ができた 寝間着にカーディガンをはおって向かおう 単位ごとシャボン玉を飛ばそう 今みんな机に向かっている きみはわたしに向かっている だからわたしも きみに向かおう あとはふたりで空を向き 落ちた単位の数 シャボン玉飛ばそう 必死さを覆い隠して笑うより 困り尽くして霧雨の中 目に目をためていよう 溢れる迄
左手を尖らせる 口でお菓子を持っていく 耳元で秘密を破裂させる シャボン玉は飛び続けている 部屋は シャボン玉だらけだ わたしは割ることを許さないし きみは表面に記憶を塗り続けていく 部屋は部屋以上に大きくなる 記憶がそうであるように いつでも身体を確かめながら 三ヶ月前をひややかに観察している いつの間にか一人で植えた植物が葉を増やし きみの裸体が栄養剤のように緑色に突き刺さっている その中で少しの突起に触れてみて わたしの一日が立ち上がり続ける シャボン玉だらけだ。


梅雨入りも近い。


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