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詩「これは薔薇ではありません」

では百合のような恋とはなんだろう
今目の前で必死に手をつく君を
そっと撫でて眠ることだろうか
それは 素敵だけど 退屈だ
昼下がりの紅茶くらい 退屈だ
花はずっと窓の外を見ている
この風景に飽きたのだろう
同じ方を向くわたしのあごを
もう片方の手でそっと
ああ たおやぐ
爪の先は徐々に蔓となって
先程までさわれもしなかった
わたしの体表を ことほぐ 
わたしはあの花でなくてよかった
この蔓でもなくてよかった
わたしはきっと百合だ
百合のような恋はわからない
しかし
わたしは百合なのである
そうして
揺られているのである


たまにはこんな感じで。


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