詩「地下水仙深く深く」
水仙 水仙 深く深く アーケードに人 深く深く 小波が街まで聞こえるような静けさの中で 水仙 深く 人はの赤い蔦を絡ませて それぞれの世界がにぎやか 水仙は色と数を増して 深く深く 爪裏から鼻頭までもが 不健康で自然な色味 イメージから出たいと願う女の子は 下腹部から現実を飲み込む
水仙 水仙 深く深く
運転手も誰もいないバスに乗り そっと塒へと帰りゆく時に 「どうして?」と連呼する 呼び止めるものたちを挑発する 自己解決を図っている 起こったこと 起こるであろうことを 瞬きのコイントスに完全にかける
「じゃあ 起きたら あなたはどこに?」
「広瀬通の吉野家で待ってる。」
「そのあと わたしたちはどこに?」
「砂浜にベージュ以外の色を添えに。」
宙に浮いた約束の数だけ あなたは水仙を見るだろう 深く深く 滾る水仙を見るだろう
宇宙に 水仙あり
わたしは 頭をやや膨張させて 美的感覚を最大限に発揮させたあとで 思うのだ
「水仙に毒がある理由はきっと あなたの人差し指が知っている」
あなたは何の気無しにいつか言ったか
わたしはいまもおぼえているか
「あの花綺麗だよね。名前は知らないけれど。」
あの花は 食べられるんだよ
「そうなんだ。」
そうなんだ 水仙 水仙 深く深く
あなたをすいせん ふかく ふかく。
しにすいせんだよ ふかくふかく。
いい気温だ。
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