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『✕〇!i』第3話「4月14日」

 僕の君。
倖子君とは、20代前半の頃、出逢いました。
僕はまだウブで、君と手と手を繋ぐのが、
しばらくの間やっとでした。

それに、倖子君は、はっきりと僕に伝えてはくれていた。

「私、子供は嫌いだし、産みたくない」

 僕はこの頃、『普通』に結婚して、
お金を稼ぐ仕事をして、
愛する人との間に恵まれる子供達を、一生懸命に育てていくんだ。
そう『普通』に思っていたから、大変だ。
子供とは、人と人の『あいだ』から、自然生まれ来るもの。
しかし、母体が「NO!!」では立ち行かない。

 僕は、悩み、心身を壊し、
自律神経失調症から統合失調症へと変遷。
病院通いで、仕事も満足にこなせなくなっていきました。

 それでも君は、傍に居てくれた。
僕を見捨てず、見守って居てくれた。
ですから、我が君には、頭が上がらないのです。

 僕は君が許してくれるなら、
永遠を、ともに歩きたい。

心の病に振り回されながらも、学びはありました。
結局、僕らは“道”の上に立つ、

次の子らへの新しい道の存在なんだ。

礼に始まり礼に終わる。

礼儀と礼節が肝心。

魂の震えが、

心み、試みを行わせ。

技が育ち、これを遊び。

体にて、成果を受けとめ、学ぶ。

私とは、天命授かる、己の在り様。

 自然の流れに逆らわず生きる事。

自然体。

神仏の大いなる流れの中に在る。

 僕に生まれいでしもの……、

“具現”。

 僕は、倖子……キミという、

最大最愛の芸術のバトンを、

誰かにつないでもらいたかったのです。

故に、……“具現”を覚え、遣いました。

 お水で身体を清め、

精神を深く鎮め、

心の音を調えて、

縁が、おさまる様におさまる場所へ。

心臓への圧迫感。

しかし、その圧が導いてくれている。

下さっている。

叶う……、と。

………………
…………
……

「……っ……ぅ…………ぅう?……うん?……」

 僕は気を失ってしまっていて――、

ですが、【せかい】を覚えると、
すぐに醒める。

 目の前に、僕の身長170程度の股よりは高いであろう、

大きな、古びたブリキの様な体をした、

お目々が+の形の人形が立っていた事。

 その上、視えないのに、

少女のカタチをした存在が、

確実に、狭い室内に居る状況を、

瞬時に覚え、

察せられたからでした。

 僕の魂が、きっと震え、

心に、

朗らかな少年の声音が鳴ります。

「てへっ♪ お父さん、初めまして♪ ボクは『Knight of Night』の、コンちゃんです♪」

ついで流れる透き通る少女、

「ふふっ♪ お父さん、お久し振り♪ ごきげんいかが? ワタシは『Princess of Poem』、ポップちゃんですわ♪」

………………
…………
……

 彼、彼女との、
僕の子供達との会話の要点を、
僕はしぼることになりました。

 ひとつ、
彼らは僕と倖子君が生まれた頃から、常に傍に居てくれてた事。
 ふたつ、
言葉にすれば、僕と倖子君の、集合無意識領域が、本来の在り様、お家。
 みっつ、
ふたりはかくれんぼをして遊びながら、ふたりがひとつになれる場所、【みんなの庭園】を探している事。
 よっつ、
ふたりはある程度の遍在が可能な事。
 いつつ、
僕と倖子君を、より大きな自然の舞台へいざなう事。

………………
…………
……

「以上がとりあえずのボクらの要約された情報ですっ♪」

 そうコンちゃんは元気な心の声音を鳴らせた。
僕は、ふたつの有難い生命のカタチを、
素直に受け入れて、全知全能の神様に、感謝の祈りを捧げました。

 自然に流れて、僕は頼みます。

「コンちゃん? ポップちゃん? これから、どうぞよろしく。うまく……言えないけれど、生まれてくれて、有難う。今日は……、……4月14日、コンちゃんとポップちゃん、お誕生日、おめでとう!」

 はにかむ、
てへっ♪ ふふっ♪

ふたりは、魂の双子。



 コンちゃんポップちゃん、おたんじょうびおめでとう。
ぼくのじんせいにきみたちをおむかえできてうれしい。
こころのそこから、ふたりのしあわせをいのるよ。

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